薬物相互作用 (27―がん化学療法における制吐剤の 薬物 ..
抗がん薬の催吐性リスクの適正評価は重要で,リスクに応じた制吐療法の標準化が必要である。軽度催吐性リスク抗がん薬に対する制吐療法のエビデンスは国内外において認められず,NCCN ガイドライン2023 ver. 2 ,MASCC/ESMO ガイドライン2016 ,ASCO ガイドライン2020 においても推奨できるものはないとされ,前版でも推奨できる制吐療法は挙げていなかった。しかし,実臨床では軽度催吐性リスク抗がん薬に対する予防的制吐療法は必要と考えられており,患者の状態を評価しながら制吐療法を行うべきである。
治療)に比べて、制吐効果が上回っていた(急性嘔吐でリスク比:1.26、遅発性嘔吐 ..
近年,中等度催吐性リスク抗がん薬に対して,5-HT3 受容体拮抗薬,デキサメタゾンに加え,NK1 受容体拮抗薬の3 剤を併用することが増えている。高度催吐性リスク抗がん薬に対するNK1 受容体拮抗薬を含む3 剤併用下におけるパロノセトロンと第1 世代5-HT3 受容体拮抗薬との比較試験では,主要評価項目である120 時間までのCR 割合に有意差がなかったことを考えると,中等度催吐性リスク抗がん薬に対してNK1 受容体拮抗薬を用いる場合には,第1 世代の5-HT3 受容体拮抗薬を選択することも許容される。
最小度催吐性リスク抗がん薬に対する制吐療法についてはさらにエビデンスが乏しく,予防的制吐療法を推奨するエビデンスはないが,必要時には適切な制吐療法を行う。
制吐療法におけるデキサメタゾン投与の問題点として,ステロイド誘発性糖尿病や骨 ..
パロノセトロンの予防的制吐効果を検証したランダム化比較試験は多数あり,メタアナリシスも行われている。中等度催吐性リスク抗がん薬の悪心・嘔吐予防に関するメタアナリシスの結果,パロノセトロンの制吐効果は第1 世代5-HT3 受容体拮抗薬を上回っていた。また,高度催吐性リスク抗がん薬と比べて,中等度催吐性リスク抗がん薬に対するパロノセトロンの制吐効果は第1 世代よりも明らかに良好であった。このため,中等度催吐性リスク抗がん薬に対してデキサメタゾンに併用する5-HT3 受容体拮抗薬は,パロノセトロンを選択することが強く推奨される。
このような状況において,中等度催吐性リスク抗がん薬に対する予防的制吐療法において,どの5-HT3 受容体拮抗薬を用いるべきか解説する。
制吐作用を発揮すると考えられている。錐体外路症状はハロペリドールと比較して.
軽度催吐性リスク抗がん薬の急性期悪心・嘔吐についての明らかなエビデンスはないものの,実臨床では,デキサメタゾン3.3~6.6 mg 静注(または4~8 mg 経口)の単剤投与,5-HT3 受容体拮抗薬の単剤投与,状況に応じて,ドパミン(D2)受容体拮抗薬の投与が広く行われている。最小度催吐性リスク抗がん薬の急性期の悪心・嘔吐に対する予防的制吐療法は基本的に不要とされている。
5-HT3 受容体拮抗薬は,急性期悪心・嘔吐の予防において重要な制吐薬であり,第1 世代のグラニセトロン,オンダンセトロン,ラモセトロンなどのほか,より半減期が長い第2 世代のパロノセトロンがある。前版までは,対象となる抗がん薬の催吐性リスクや個々の患者のリスク因子に応じて,どちらを選択すべきか,薬価の問題を含め議論が続いていたが,薬価については後発品の登場により両者の差が小さくなった。また,NK1 受容体拮抗薬の登場により,中等度催吐性リスク抗がん薬に対する予防的制吐療法も変わってきた。
吐のマネジメントを行った前後比較試験がある。病態に応じて選択した制吐薬によ
中等度催吐性リスク抗がん薬に対する制吐療法の課題として,2~3 日目のデキサメタゾンを省略するステロイドスペアリングがあり,複数のランダム化第Ⅲ相比較試験が報告されている(→ 参照)。また近年,高度・中等度催吐性リスク抗がん薬による超遅発期(抗がん薬投与開始6 日目以降)の悪心・嘔吐抑制の必要性が注目されており,抗がん薬投与開始から1 週間程度の長い期間を想定した制吐療法の開発が求められている。近年では,高度催吐性リスク抗がん薬における遅発期の悪心・嘔吐に対して,より長い制吐効果を発揮する選択的NK1 受容体拮抗薬の治療成績が報告されており,中等度催吐性リスク抗がん薬においてもその検証が望まれる。
また,軽度・最小度催吐性リスク抗がん薬による遅発期の悪心・嘔吐に対する制吐療法については,同様にエビデンスはなく,実臨床では患者の症状に応じて適切な対応が必要である。
また5―HT3受容体拮抗薬とは異なった作用機序で制吐作用を発揮するアプレピタントも遅 ..
カルボプラチンは中等度催吐性リスク抗がん薬に分類されるが,高用量(AUC≧4)で投与する場合の催吐割合は60%~90%で,高度催吐性リスク抗がん薬に近い。制吐療法研究16 編のメタアナリシスでは,中等度催吐性リスク抗がん薬のうち,カルボプラチンを含むレジメンに対しては有意にNK1 受容体拮抗薬併用の臨床的有用性があったと報告されており,AUC≧4 のカルボプラチンを投与する際には,高度催吐性リスク抗がん薬に準じてNK1 受容体拮抗薬を含む3 剤併用療法を行うことを推奨する(→ 参照)。なお,NCCN ガイドライン2017 ではAUC≧4 のカルボプラチンを高度催吐性リスク抗がん薬に分類しているが,この境界値4 に関するエビデンスは不明である。
従来制吐療法群(アプレピタント+デキサメタゾン+グラニセトロン).
中等度催吐性リスク抗がん薬による悪心・嘔吐に対する国内外の制吐療法ガイドライン共通の推奨は,5-HT3 受容体拮抗薬とデキサメタゾンの2 剤併用療法である。催吐性の高い一部の抗がん薬(AUC≧4 のカルボプラチン等)を投与する場合には,NK1 受容体拮抗薬を加えた3 剤併用療法が推奨される。なお,NK1 受容体拮抗薬を投与する場合には,デキサメタゾンの用量を50%減量する(→ 参照)。
ラインでオランザピン・パロノセトロン・デキサメタゾンの 3 剤併用も同様に制吐対策として.
中等度催吐性リスク抗がん薬の催吐割合は30%<~90%と定義されている。しかし,カルボプラチン(AUC≧4)のように中等度催吐性リスクに分類されていても高度催吐性リスクに近い催吐割合(60%~90%)の抗がん薬もあるため,推奨される予防的制吐療法を行っても,悪心・嘔吐が十分抑制できないこともある。標準的な制吐療法を行いつつ,患者の状態を考慮し,適切な対応を行うことが必要である。
通常、予防的な制吐療法は推奨されない。 軽度・最小度催吐リスク (経口薬)
今回,推奨の根拠となるエビデンスがない制吐療法については,患者の価値観・好みも考慮のうえ,実臨床で行われている制吐療法について記述した(→ 参照)。
吐き気・嘔吐を引き起こす可能性が高い抗がん剤治療には多くの場合、制吐剤が組み合わされています。
5-HT3 受容体拮抗薬の選択においては,3 剤併用療法か4 剤併用療法か,併用する抗がん薬の催吐性リスク,患者リスク因子,患者の希望,初回治療か否か,前治療サイクルにおける悪心・嘔吐発現状況といった要因を考慮することが重要である。特に,デキサメタゾンの投与期間を短縮する場合やオランザピンの追加・併用が困難で3 剤併用療法を行う場合には,第2 世代のパロノセトロンが優先される。
デキサメタゾン(DEX)の3剤併用標準制吐療法を施行することが推奨されています。 ..
一方,5-HT3 受容体拮抗薬としてパロノセトロンを使用した3 剤併用療法に対してオランザピンの上乗せ効果を検証したプラセボ対照ランダム化比較試験では,オランザピン群はプラセボ群より遅発期のCR 割合を有意に改善した。また,5-HT3 受容体拮抗薬の第1/第2 世代どちらも使用可能であったランダム化比較試験でも同様の結果であった。しかし,4 剤併用療法において,第1 世代と第2 世代の5-HT3 受容体拮抗薬の効果を比較した臨床試験は2023 年8 月時点で存在せず,第1 世代と第2世代の5-HT3 受容体拮抗薬の制吐効果の差は不明である。
悪心・嘔吐を予防するため、5-HT3 受容体拮抗剤、デキサメタゾン、選択的NK1 受容体拮抗剤等の制吐 ..
近年,多受容体作用抗精神病薬(MARTA)であるオランザピンが,高度および中等度リスク抗がん薬による遅発期での悪心・嘔吐のコントロールに有用であるとの報告が多くなされている。わが国においても臨床試験結果が順次報告されており,欧米でのコンセンサスや,臨床的意義から2017 年6 月から標準的制吐療法に併用として使用できるようになった(→, 参照)。遅発性悪心・嘔吐の制御を行うための有効な薬剤としてわが国でのさらなる研究が期待される。
[PDF] 化学療法により誘発される悪心・嘔吐(CINV)が患者
高度催吐性リスク抗がん薬に対する予防的制吐療法については,前版一部改訂版(ver.2.2)では,NK1 受容体拮抗薬,5-HT3 受容体拮抗薬およびデキサメタゾンの3 剤併用療法を推奨グレードA として提示しており,オランザピンの追加・併用については,「本邦における推奨用量,使用方法についてはまだ検証段階であるため,適切な患者に慎重に投与することが望まれる」としていた。一方,NCCN ガイドライン2017,ASCO ガイドライン2017 では,オランザピンを含む4 剤併用療法が推奨として追加された。今回,本邦において実施されたランダム化第Ⅲ相比較試験が報告され,より適正な制吐療法およびそのオプションの提示が必要と考えられ,本CQ を設定した。
制吐薬の変更、他の作用機序の制吐薬、ステロイドの追加をする。 4
パロノセトロンの予防的制吐効果を検証したランダム化比較試験はこれまでに複数あり,メタアナリシスも行われている,。メタアナリシスでは,高度催吐性リスク抗がん薬における急性期および遅発期の制吐効果について,第1 世代5-HT3 受容体拮抗薬に対するパロノセトロンの優越性が示されているが,その差は必ずしも大きくはなく,併用する制吐薬によっても異なる。
[PDF] 選択的NK1受容体拮抗型制吐剤 アプレピタントカプセル
近年,高度催吐性リスク抗がん薬に対しては,5-HT3 受容体拮抗薬,NK1 受容体拮抗薬,デキサメタゾンに加え,オランザピンを併用する4 剤併用療法(→ 参照)が普及しつつあり,5-HT3 受容体拮抗薬の選択の重要性は以前より低下している。また,後発品の登場により両者の薬価差が小さくなったため,高度催吐性リスク抗がん薬に対する5-HT3 受容体拮抗薬はパロノセトロンを用いることが一般的になっている。
37のうち、34の試験で他の制吐剤の使用が両群で許容された。ほとんどの試験で ..
本CQ では,高度催吐性リスク抗がん薬による治療を受ける患者を対象に,悪心・嘔吐予防として,4 剤併用療法(5-HT3 受容体拮抗薬+NK1 受容体拮抗薬+デキサメタゾン+オランザピン)と3 剤併用療法(5-HT3 受容体拮抗薬+NK1 受容体拮抗薬+デキサメタゾン)を比較した際の「血糖上昇」「嘔吐抑制」「悪心抑制」「有害事象」「コスト(薬剤費)」の5 項目をアウトカムとして設定し,システマティックレビューを行った。
• 制吐療法の診療ガイドラインでオキサリプラチンの催吐リスクは中等度.
5-HT3 受容体拮抗薬は,急性期悪心・嘔吐の予防において重要な制吐薬であり,第1 世代のグラニセトロン,オンダンセトロン,ラモセトロンなどのほか,半減期が長く,遅発期悪心・嘔吐に対して第1 世代より高い抑制効果を有する第2 世代のパロノセトロンがある。前版までは,対象となる抗がん薬の催吐性リスクや個々の患者のリスク因子に応じ,どちらの世代の5-HT3 受容体拮抗薬を選択すべきかについて議論が続いていた。