介⼊期間を短縮し、10⽇を超えてデキサメタゾンが投与されないよう


レムデシビルは、新型コロナウイルス感染症の重症化を抑制するための治療薬として使用されています。人工呼吸や酸素投与が必要なほどに重症化した場合にレムデシビルを投与しても、大きな効果は期待できないとされています。


ただし、患者の状態や症状に応じて、医師が投与期間を判断します。 モルヌピラビル

低酸素血症のある肺炎患者を対象にした研究において、投与期間が5日間と10日間で効果・副作用に差がなかったとされています。そのため、原則としては5日間の投与が推奨されています。ただし、患者の状態や症状に応じて、医師が投与期間を判断します。

エンシトレルビルは、高熱や強い咳や咽頭痛などが見られた場合に投与を検討する抗ウイルス薬です。有効性については、症状が現れてから3日以内に投与を開始することを推定されています。

発症から投与までの期間をみると、改善した患者の56%余りは4日以内、改善し ..

中和抗体薬は、発症から長時間が経過していない軽症の患者に投与することで、重症化の抑制を目的とした薬です。抗体を投与することで、ウイルスの増殖や感染の進行を抑えます。

カシリビマブとイムデビマブは、新型コロナウイルスの中でもオミクロン株に対する有効性が低い恐れがあるため、他の治療薬を使えない場合に投与を検討される薬です。

酸素投与が必要な期間,注意深いモニタリングのもとでデキサメタゾン経口投与

新型コロナウイルス感染症の症状が現れてから速やかに投与する必要があるとされており、症状が現れてから8日目以降に投与した場合の有効性は認められていません。

ソトロビマブは、重症化リスクがありかつ酸素投与を必要としない患者に投与されます。発症から時間が経っていない軽症例において、重症化を抑制する効果が期待できます。

副作用に十分注意しながら酸素投与期間中は1日1回デキサメタゾン

チキサゲビマブとシルガビマブは、新型コロナウイルスの中でもオミクロン株に対する有効性が低い恐れがあるため、他の治療薬を使えない場合に投与を検討される薬です。新型コロナワクチンの接種を推奨されない人や、免疫機能が低下しているためにワクチンの十分な効果を見込めない人に投与する意義が大きいとされています。

デキサメタゾンは、重症または致死的状況に陥っている患者に投与することが推奨されている副腎皮質ステロイドです。致死的状況とは、急性呼吸窮迫症候群や敗血症性ショックが起きている状況などを指します。


デキサメタゾン群には2100人の患者が登録され、用量としてはそれほど多くない1日6mgのデキサメタゾンを10日間投与した。 ..

重度の低酸素血症を呈する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の成人入院患者において、デキサメタゾンの12mg投与は6mgと比較して、28日後の生命維持装置を使用しない生存日数を改善せず、28日と90日後の死亡率にも差はないことが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のMarie W. Munch氏らCOVID STEROID 2 Trial Groupが実施した「COVID STEROID 2試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2021年10月21日号で報告された。

本研究は、重度の低酸素血症を有するCOVID-19患者におけるデキサメタゾン12mgと6mgの有効性の比較を目的とする医師主導の二重盲検無作為化試験であり、2020年8月27日~2021年5月20日の期間に、4ヵ国(デンマーク、インド、スウェーデン、スイス)の26病院で行われた(Novo Nordisk財団などの助成を受けた)。

対象は、年齢18歳以上、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染が確定されて入院し、(1)酸素補充療法(流量≧10L/分)、(2)低酸素血症に対する非侵襲的換気または持続陽圧呼吸療法、(3)侵襲的機械換気のいずれかを受けている患者であった。

被験者は、最長10日間、デキサメタゾン12mgを静脈内投与する群または同6mgを投与する群に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。

主要アウトカムは、28日時点の生命維持装置(侵襲的機械換気、循環補助、腎代替療法)なしでの生存日数とし、層別変数で補正された。副次アウトカムは事前に8つが設定され、今回の解析では、そのうち5つ(90日時点の生命維持装置なしの生存日数、90日時点の生存退院日数、28日時点と90日時点の死亡、28日時点の1つ以上の重篤な有害反応)が評価された。

982例(年齢中央値65歳[IQR:55~73]、女性31%)が解析に含まれ、デキサメタゾン12mg群に497例、同6mg群に485例が割り付けられた。このうち971例(12mg群491例、6mg群480例)で主要アウトカムのデータが得られた。介入期間中央値は両群とも7日で、12mg群の9例(1.8%)、6mg群の11例(2.3%)が医師の指示に反して28日以内に退院した。

28日時点の生命維持装置なしの生存日数中央値は、12mg群が22.0日(IQR:6.0~28.0)、6mg群は20.5日(4.0~28.0)であり、両群間に有意な差は認められなかった(補正後平均群間差:1.3日、95%信頼区間[CI]:0~2.6、p=0.07)。

副次アウトカムである90日時点の生命維持装置なしの生存日数中央値は、12mg群が84.0日(IQR:9.3~90.0)、6mg群は80.0日(6.0~90.0)であった(補正後平均群間差:4.4日、99%CI:-1.6~10.4)。また、90日時点の生存退院日数は、それぞれ61.5日(0~78.0)および48.0日(0~76.0)だった(4.1日、-1.3~9.5)。

さらに、28日時点の死亡率は、12mg群が27.1%、6mg群は32.3%(補正後相対リスク[RR]:0.86、99%CI:0.68~1.08)、90日時点の死亡率は、それぞれ32.0%および37.7%(0.87、0.70~1.07)であり、いずれも有意差はみられなかった。

28日までに1つ以上の重篤な有害反応(敗血症性ショック、侵襲性真菌症、臨床的に重要な消化管出血、デキサメタゾンに対するアナフィラキシー反応)が発現した患者の割合は、12mg群が11.3%、6mg群は13.4%であり、両群間に差はなかった(補正後RR:0.83、99%CI:0.54~1.29)。体外式膜型人工肺(ECMO)は、12mg群が3例(0.6%)、6mg群は14例(2.9%)で使用された。

なお著者は結果について、「本試験は、有意差を同定するには、検出力が十分でなかった可能性がある」としている。

○デキサメタゾンの投与群と標準治療群の比較で死亡率が減少 ..

抗ウイルス薬、中和抗体薬、抗炎症薬ともに複数の製品が承認を受けています。投与経路や期間、特徴などが異なり、薬剤の在庫や状況に応じて使い分けられています。

投与期間も臨床判断で早めに中止すること(発症から12日程度を目安に)も ..

COVID-19に対するステロイド療法は、2020年7月にオンライン上で公表されたRECOVERY試験の結果に基づいて推奨されているのが現状です(N Engl J Med. 2021 Feb 25;384(8):693-704.)。この試験では、デキサメサゾン6mg/dayを7-10日間投与する群と投与しない群にランダムに割り付けて28日以内の死亡を比較しています。この試験結果が発表されて以降、多くのCOVID-19に対するステロイドの効果を検証する前向き介入試験が相次いで中止になり、同年9月2日にはThe WHO Rapid Evidence Appraisal for COVID-19 Therapies (REACT) Working Groupによって、複数のランダム化比較試験(RCT)を用いたメタ・アナリシスの結果が発表され(JAMA. 2020;324(13):1330-1341.)、同時にWHOからCorticosteroids for COVID-19 Living guidanceが公開されました。その内容は、人工呼吸器使用例や酸素投与のみ使用例には、デキサメサゾン6mg/dayの7-10日間投与を推奨し、酸素投与を必要としない例には投与しないことを推奨しています。
以下、各項目に分けてお答えします。

有益性投与, 催奇形性なし, 主に妊娠中期以降の使用報告ではリスクはみられていない ..

現在のCOVID-19に対するステロイド療法は、大規模なランダム化比較試験であるRECOVERY試験の結果に基づいています(N Engl J Med. 2021 Feb 25;384(8):693-704.)。つまり、酸素を必要とするCOVID-19患者に、デキサメサゾン6mg/dayを7~10日間投与するというものです(酸素を必要としない患者へのステロイド投与は、予後を悪化させる可能性が示されています)。しかし、SARS-CoV-2による肺炎は、発症7~10日目に悪化しやすい特徴があります。そのため、発症早期に酸素化が悪化しステロイドを投与した例では、発症7~10日またはそれ以前に投与を終了すると再増悪することを経験します。したがって、ステロイドの投与期間は7~10日間と限定せずに、投与開始日と病態のピークを勘案しながら、長期投与および状況に応じて漸減することを検討する必要があります。一方で、発症7~10日目以降にステロイド投与を開始した場合は、短期間で終了することも考えられます。
ステロイドパルス療法の効果については、ステロイドを使用しない群を対照にしたランダム化比較試験は、小規模ながら報告があります(Eur Respir J. 2020 Dec 24;56(6):2002808.)。この研究では、酸素を必要とする患者にメチルプレドニゾロン125mgを3日間投与することで、非投与群に比較し有意に死亡率が低下しています。デキサメサゾン6mg/dayとステロイドパルス療法を直接比較した介入試験は、現在のところ報告されていません。コロンビアの一施設において、デキサメサゾン6mg/dayの7~10日間投与(111例)を行って時期と、メチルプレドニゾロン250-500mgを3日間投与した後に、デキサメサゾン6mg/dayを11日間投与する治療法(105例)に変更した時期を比較したヒストリカルコホート研究が報告されています(PLoS One. 2021;16(5):e0252057.)。後者の方が回復までの期間が短縮し、ICUへの移送が減少したことが示されています。ただし、この結果には治療法が変更になった以外にも、他の医療水準が改善したことが影響している可能性があります。
パルス療法ではありませんが、メチルプレドニゾロン2mg/kgを1回投与後1mg/kgで5日間投与する群(44例)と、デキサメサゾン6mg/dayの10日間投与する群(42例)を用いたランダム化比較試験では、前者の方で改善が早く、人工呼吸器への移行も少なかった(18.2% vs 38.1%, p=0.040)ことが示されています(BMC Infect Dis. 2021;21(1):337.)。メチルプレドニゾロン群で良好な結果が示された理由は、ステロイドの種類というより力価としてデキサメサゾン6mg/dayより高用量であることが影響しているように思われます。
RECOVERY試験で示されたデキサメサゾン6mg/dayでは、治療量として不足する患者が一定数存在する印象を持ちます。デキサメサゾン6mg/dayにて改善が乏しい場合、もしくは当初からでも、より重症、増悪速度が著しい、肥満がある場合等は、ステロイドパルス療法を検討する必要があると考えます。

・妊娠可能な女性に対しては,本剤投与中および最終投与後,一定期間は適切な避妊を行 ..

COVID-19は、発症後の時間経過で悪化することが分かっています。軽症と診断される時期に早期にステロイドを投与すると、その予後を悪化させることが推測されます。通常、感染から7日間はウイルスが増殖する期間であり、この後に異常免疫、すなわちサイトカインストームによって重症化すると考えられています。そのため、ステロイドは感染7日以降に投与することが望ましいとする考え方がありますが、WHO REACT Working Groupによるサブ解析ではその有意差は見られなかったとされています。現状では、少なくとも酸素投与を必要としない症例には投与すべきでなく、人工呼吸器や酸素投与が必要となった症例では、感染7日目以内であっても投与を検討することが妥当と考えられます。悪化の速度は一律ではないため、慎重に経過を観察しながら投与のタイミングを逃さないようにすることが肝要です。

COVID-19 患者に対するステロイドの種類、投与量、投与期間、開始時期に関する比較研究 ..

RECOVERY試験のデザインに準じて7-10日間が最もエビデンスレベルが高いのが現状です。WHO REACT Working GroupによるRCT7報のメタ・アナリシスでは、投与期間は5-14日間としている試験を紹介しています。

症状発現からコルチコステロイドの投与開始までの期間が7日を超えていた患者では, ..

長期に投与することは、その後の生じるかもしれない肺の線維化を抑制する可能性がありますが、同時に他の感染症や血栓化の危険性が増加します。投与開始時期によって投与期間も調整する必要がありそうですが、それらを示したエビデンスは存在しません。パルス後に漸減するのであれば比較的長期になりますが、数日の間隔で早めに漸減することも可能と考えます。