新規ブロモメラトニン誘導体の卵巣摘出ラットおよび低カルシウム食ラットの骨代謝に及ぼす影響


本当です。「メラトニン」という眠気を誘う物質が、1ミリリットルあたり16~26ピコグラムとごく少量ですが、含まれていることがわかったのです。本来、このメラトニンは、夜間に脳の「松果体」という器官から分泌されるホルモンで、脈拍や体温、血圧を低下させるなど、睡眠を促す作用があるんです。それに、牛乳に多く含まれるカルシウムに鎮静作用があることはよく知られていますね。カルシウム不足でイライラしないためにも、就寝前に牛乳や乳製品を摂ることはおすすめできます。


メラトニンは夜暗くなると分泌され、体温を下げて眠りにつかせる役目をするので ..

そこで次に、時計のリズムはどのような細胞内伝達系を使ってメラトニンリズムを駆動しているのかを検討した。これまでメラトニンの分泌がサイクリックAMP (cAMP)によって促進されることが報告されていたことから、時計のリズムもcAMPを介している可能性を推測した。そこで、恒常暗下で培養されたヒヨコ松果体細胞のメラトニンリズムの上昇期にcAMP依存性プロテインキナーゼAの阻害薬を培養液に添加したところ、メラトニンの上昇は阻止された。さらに、細胞内外カルシウムのキレート剤を添加したところ、cAMPの合成とメラトニン合成が平行して抑制された。以上のことから、時計のリズムは細胞内カルシウムを動員し、これによってcAMPの上昇を起こし、これがさらにメラトニン上昇を起こしていると推察された。もし、この仮説が正しければ、ヒヨコ松果体には細胞内カルシウムで活性化されるアデニル酸シクラーゼが存在することになる。最近、この酵素をクローニングし、カルシウム-カルモジュリン感受性のアデニル酸シクラーゼタイプVIIIが存在することを確認している。

最近の研究では、ラット松果体のメラトニン合成がPituitary adenylate cyclase-activating polypeptide (PACAP)によって促進されることが報告されている。ヒヨコ松果体のメラトニン合成がVIPによって促進されることが知られていたが、PACAPとVIPは同族ホルモンで受容体には両者を認識するものもある。そこで、ヒヨコ松果体がラットと同様にPACAPに反応し、メラトニン合成を促進するか否かを検討した。その結果、PACAPの添加量に依存してメラトニン分泌量が促進された。VIPのアンタゴニストと同時にPACAPを添加すると、PACAPの効果は若干減衰したが、完全に阻止することはできなかった。このことからヒヨコ松果体にはPACAPに特異的な受容体(VIPに感受性の無い)が存在する可能性が推察された。そこで、次に、RT-PCRで受容体のタイプを検討した結果、PACAP-r1と言うPACAP特異的受容体の存在が確認された。以上の結果から、ヒヨコ松果体細胞にはPACAP特異的受容体が存在し、メラトニンの合成系に作用することが示唆された。次に、このPACAPがメラトニン合成系のみならず、時計に対しても、あるいは時計を介して作用している可能性を検討するため、PACAPのパルス添加による位相変位の有無を調べた。しかし、PACAPパルスに対してリズムの位相には影響が認められなかった。このことからPACAPはメラトニン合成に直接作用していると推察された。

「メラトニン」という眠気を誘う物質が、1ミリリットルあたり16~26ピコグラムと ..

次に、光はどのようにして時計を同調(リセット)しているのか?と言う疑問を解く一助として、光受容器から時計へのシグナル伝達について検討した。光の同調作用は、光パルスが時刻依存性にリズムを前進させたり、後退させたりすることを基本としている。そこで、ヒヨコ松果体細胞に光パルスを与え、メラトニンリズムの位相が前進するときに、種々のシグナル伝達阻害剤を添加した。その結果、細胞内カルシウムの枯渇剤であるタプシガルジンやシクロピアゾン酸によって光による前進作用は阻止された。さらに、カルシウム貯蔵の小胞体のライアナジン受容体アンタゴニストであるダントロレンやルテニウムレッドによっても光による前進作用は阻止された。以上のことから、光による時計の同調、特にリズム前進作用は細胞内小胞体のカルシウムの一過的放出によるのではないかと推測された。一方、光による後退作用には先の薬物は無効であり、前進作用と後退作用の細胞内伝達機構は異なることが示唆された。ラットの場合、一酸化窒素が光による時計同調作用に関与していることが示唆されているが、ヒヨコ松果体では一酸化窒素合成阻害薬は効果が無かった。このことは鳥の松果体と哺乳類の視交叉上核の時計の光同調機構が異なることを示唆している。

本研究では,骨芽細胞(骨をつくる細胞)と破骨細胞が共存し,哺乳類の骨と同様のホルモン応答を示すキンギョのウロコを骨モデルとして用いた宇宙実験を実施しました。まず,ウロコの骨芽細胞でメラトニンが作られるとともに,宇宙空間ではメラトニンの合成が低下することを明らかにしました。そこで,メラトニンを添加した培地と無添加の培地でウロコを培養して比較したところ,メラトニン無添加の培地では,わずか3日間の培養でいくつもの破骨細胞が融合して多核化の活性型の破骨細胞になり,その破骨細胞がウロコにある骨質層の溝の幅を広げ,ウロコの骨吸収を促進していることが分かりました。さらにウロコの骨芽細胞において,骨吸収を促進する因子である(※2)の遺伝子発現が上昇し,骨吸収を抑制するホルモンである(※3)の遺伝子発現を抑制することも分かりました。他方,メラトニンを添加した培地で培養すると,ウロコの骨芽細胞におけるRanklの発現が抑制され,カルシトニンの発現が正常に戻ることが明らかになりました。

それに、牛乳に多く含まれるカルシウムに鎮静作用があることはよく知られていますね。

(図下)地上実験において,骨芽細胞におけるメラトニン受容体,メラトニン合成酵素およびカルシトニンの発現を調べた結果,メラトニンはウロコにおけるカルシトニンの産生を促進し,発現が上昇したカルシトニンが破骨細胞を抑制した。
(図上)宇宙実験において,宇宙飛行中の微小重力は,ウロコの破骨細胞における多核化および吸収活性を促進させた。このとき,破骨細胞を活性化させるRANKLの遺伝子発現は上昇し,破骨細胞を抑制するカルシトニンの遺伝子発現は減少した。メラトニンを作用させると,宇宙飛行中のこれらの因子は正常な遺伝子発現レベルを維持し,その結果,微小重力刺激による活性化破骨細胞は抑制された。


【用語解説】
※1 メラトニン
メラトニン(N-acetyl-5-methoxytryptamine)は夜間に分泌される,アミンに属するホルモンであり,トリプトファンからセロトニンを経て合成される。合成に関わる重要な酵素として,アリルアルキルアミンN-アセチルトラスフェラーゼ(AANAT)とアセチルセロトニン-O-メチルトランスフェラーゼ(ASMT)が挙げられる。主に松果体から分泌されるが,他の組織においても産生されることが知られており,脊椎動物,無脊椎動物,植物さらにはシアノバクテリアにも存在する,種を越えて保存されたホルモンである。

※2 Rankl
Receptor activator of nuclear factor kappa-Β ligandの省略形。骨芽細胞で合成され,破骨細胞で発現しているRANK(Receptor activator of nuclear factor kappa-Β)と結合することにより破骨細胞を活性化させ,骨吸収を促進する。本研究では,Ranklの遺伝子発現を解析した。

※3 カルシトニン
哺乳類では甲状腺の傍濾胞細胞,哺乳類以外では鰓後腺から分泌される32アミノ酸残基を有するペプチドホルモンである。主な作用は,破骨細胞の活性を抑制して,骨吸収を抑制する。その結果として,血液中のカルシウム濃度が低下する。

(2) メラトニンを増やす食品メラトニンは体内の「眠気」を誘発するホルモンです。 ..

以上のことから、鳥類松果体のメラトニンリズムの入力系、出力系をまとめると、ヒヨコ松果体1個1個に光受容器、時計機構およびメラトニン合成機構が備わっており、明暗条件下では光は受容器で感知されると細胞内小胞体中のカルシウムを一過的に放出させ、時計のリセットを行う。光シグナルのない恒常暗条件下では時計からのシグナルはカルシウムを動員し(あるいは細胞外カルシウムの取り込みを起こし)、カルシウムーカルモジュリンによりアデニル酸シクラーゼタイプVIIIを活性化する。 その結果、cAMPの上昇が起こり、これによってメラトニン上昇を誘導する。またメラトニン合成系にはPACAP依存系も存在する。松果体から分泌されたメラトニンは中枢へ作用し、行動抑制と体温抑制を起こす。すなわち、鳥類の松果体は外界の光条件に同調し、夜間に分泌が亢進し、行動や体温抑制を行う主時計(マスタークロック)としての機能を果たしていると考えられる。

2章と3章ではcAMP依存性プロテインキナーゼAの阻害薬およびカルシウムキレート剤を用いたヒヨコ松果体細胞培養系の実験から、時計のリズムは細胞内カルシウムを動員し、これによってcAMPの上昇を起こし、これがさらにメラトニン上昇を起こしていると推察された。最近、カルシウム・カルモジュリン感受性のアデニル酸シクラーゼタイプVIIIが存在することが確認されている。また、ヒヨコ松果体細胞にはPituitary adenylate cyclase-activating polypeptide (PACAP)特異的受容体が存在しメラトニンの合成系に作用することから、PACAPはメラトニン合成に直接作用していると推察された。


骨の成長や維持には刺激が必要であり,重力のない宇宙では,骨からカルシウムが抜

(1) トリプトファンを含む食品
トリプトファンは、リラックスを促すセロトニンや睡眠ホルモンであるメラトニンの生成に関与します。次のような食品に多く含まれています。

メラトニンには睡眠と覚醒のリズムを調整する働きがあり、メラトニンが ..

マグネシウムは、人体に必要なミネラルの一種で、リンやカルシウムとともに骨や歯の形成に関わるほか、脳・神経に存在し、神経情報の伝達にも役立っています。(※1)また、セロトニンから睡眠に大切な「メラトニン」を合成するときにも、マグネシウムは欠かせません。