このずれを生活サイクルの周期と合わせるように修正するカギになるのが朝の太陽の光です。 ..
近年、体内時計は皮膚、肝臓、心臓、血管などあらゆる部位にそれぞれ備わっており、その体中に備わっている体内時計に指令を出しているメインの体内時計が、視床下部の視交叉上核(しこうさじょうかく)という部分にあることがわかってきました。視交叉上核にある体内時計は他の体内時計をコントロールする働きを持っていることからマスタークロック(主時計)と呼ばれています。
実は、生体リズムのそれぞれの周期は機械の時計のように正確ではありません。たとえば、概日リズムの周期はちょうど24時間ではなく24時間数分~数十分であり、個人差があります。これが、概日リズム(おおよそ1日のリズム)と名づけられている理由なのですが、この数分~数十分の周期のずれを修正しないままでいると、24時間かけて自転する地球の周期(生活サイクル)とどんどんずれていくことになります。
このずれを生活サイクルの周期と合わせるように修正するカギになるのが朝の太陽の光です。朝日を浴びることで眼から入った太陽の光の情報を、網膜を通して視交叉上核が受け取ると、視交叉上核にある体内時計がリセットされ、24時間という一定のリズムに調整されるのです。リセットされた情報は、すぐさま全身の体内時計に伝達されます。
その際、直接太陽を見ないように注意しましょう。 効果は三つあります。 【光を浴びる効果】
不規則な生活を送ることで体内時計は簡単に乱れてしまいます。体内時計の乱れに最も影響を受けやすいのが睡眠です。
朝の強い光の情報によって体内時計がリセットされると、その信号により眠りを促す睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌が抑制されます。メラトニンは抑制されてから14~16時間後に再び分泌され始め、メラトニンの分泌量が増えるとその作用で深部体温が低下し眠くなります。これが「朝の強い光」と「体内時計」と「睡眠」の正しい関係です。ところが、夜中に照明やパソコン・テレビの画面などの強い光を浴びてしまうと、夜にメラトニンの分泌量が減少することになり、睡眠覚醒リズムが乱れ、不眠などの睡眠障害の原因となります。
不眠は、肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病などに悪影響を及ぼし、また、脳卒中や心筋梗塞など命にかかわる病気を引き起こす危険性も高まります。
体内時計の乱れは、睡眠だけではなくホルモンバランスや自律神経の働きのリズムにも影響を及ぼし、食欲や意欲の減退などの体調不良を引き起こしたり、骨粗しょう症、がん、抑うつなどの原因になったりすることがわかっています。
1987年秋田大学医学部医学科卒業。医師、博士(医学)。精神保健指定医、日本精神神経学会専門医・指導医、日本睡眠学会専門医。日本睡眠学会、日本生物学的精神医学会、日本時間生物学会の理事、日本学術会議連携会員などを務める。秋田大学医学部精神科学講座准教授、バージニア大学時間生物学研究センター研究員、スタンフォード大学睡眠研究センター客員准教授、2006年より国立精神・神経医療研究センター睡眠・覚醒障害研究部部長を経て、2018年より現職。これまでに睡眠薬の臨床試験ガイドライン、同適正使用と休薬ガイドライン、睡眠障害の病態研究などに関する厚生労働省研究班の主任研究者も歴任。
太陽の光が網膜に入ると、セロトニン神経が刺激され、セロトニンの分泌が ..
「太陽の光を浴びることが大切」と聞いたことがあるかもしれません。私たちが日常的に浴びている光は、体内時計を調節し、朝目が覚めて夜になると眠くなるというリズムをつくるために大切なものです。
太陽の光を浴びると、約15時間後に睡眠の質を上げるために必要なメラトニンが分泌されます。メラトニンは、別名睡眠ホルモンとも呼ばれ、眠気を誘う作用があります。
太陽光を浴びすぎると、紫外線による肌の老化や、皮膚がんにつながる ..
多くの生物でメラトニンは生体リズム調節に重要な役割を果たしています。鳥類での渡りのタイミングや季節性繁殖(メラトニンには性腺萎縮作用があります)などの季節のリズム、睡眠・覚醒リズムやホルモン分泌リズムなどの概日リズム(サーカディアンリズム)の調整作用があります。
NAT活性は外界の光の影響も受けます。光が瞳孔を通って網膜にあるメラノプシン発現網膜神経節細胞(intrinsically photosensitive RGC:ipRGC)を刺激すると、そのシグナルが網膜視床下部路を経て視交叉上核に到達して体内時計を活性化し、上述の経路を通じてNAT活性を抑制します。日中は照度が数万〜十数万ルクスもある太陽光のような強い光によってメラトニン分泌量は著しく低下しますが、夜間であっても明るい人工照明が目に入ることによってメラトニン分泌量は低下します。例えば家庭照明の数百〜千ルクス程度の照度の光でもメラトニン分泌が抑制されることがあります(個人差あり)。ipRGCは青色光(ブルーライト)に反応しやすく、白色LEDには青色光成分が多く含まれているため、睡眠や体内時計を乱すのではないかと指摘され、「ブルーライト問題」として有名になりました。このように、メラトニン分泌は体内時計と環境光の両方から調節を受けています。
すると、食事で摂取して血液中にあるトリプトファンというアミノ酸が分解されてセロトニンが産生され、メラトニンがつくられる。 ..
たとえば朝7時に起きて太陽の光を浴びることで、15時間後の22時にはメラトニンが分泌され、自然と眠くなるのです。
メラトニン(Melatonin, N-acetyl-5-methoxytryptamine)はその大部分が脳内の松果体で産生されるホルモンです。メラトニンは必須アミノ酸のトリプトファンを原料(基質)として合成されます(図)。その過程で、セロトニンをN-アセチルセロトニンに変換するN-アセチルトランスフェラーゼ(NAT)の活性が体内時計と外界の光の両者の調節を受けます。具体的には、体内時計(視床下部の視交叉上核:しこうさじょうかく)が発振する概日リズムのシグナルは室傍核(しつぼうかく)、上頸神経節を経て松果体に伝達されてNAT活性を「抑制」します。体内時計の活動は昼高夜低であるため、結果的に松果体でのメラトニンの産生量、すなわち血中メラトニン濃度は逆に昼間に低く夜間に高値を示す顕著な日内変動を示します。
このメラトニンはたくさん日中に太陽光線を浴びることにより夜に大量に分泌され
●「トリプトファン」が含まれた食材を食べる
「セロトニンの材料になる栄養素は『トリプトファン』といって、自分では作れません。外から摂取することが必要なので、トリプトファンが含まれた食材を積極的に摂るよう意識したいですね。トリプトファンが多く含まれる食材は、豆腐・納豆・味噌・醤油・がんもどきといった大豆製品。牛乳・バター・チーズ・ヨーグルトといった乳製品にも豊富に含まれています。またセロトニンを合成するためには炭水化物とビタミンB6も補助的に必要になります。ビタミンB6はナッツや青魚などに多く含まれています。偏食さえしなければ日常的に十分摂取できるので、バランスの良い食事を心がけましょう」
メラトニンとセロトニンというホルモンがサーカディアンリズム(特に睡眠 ..
●リズム運動を行う
「一定のリズムでできる簡単な運動を取り入れるのも効果的です。例えば、ウォーキングで身体を動かす、朝ごはんをリズムよく咀嚼して食べる、吐く息を意識して深呼吸をするなどです。私のおすすめは、朝起きて太陽の光を浴びながら30分ほど、疲れない程度に散歩することですね。これで日光浴とリズム運動を同時に行うことができます。ただし、『集中して行う』ことがポイント。“ながら”ではセロトニン活性化に繋がらないので、行動に集中して行ってください」(有田先生)
この神経節細胞が太陽光の青色光(いわゆるブルーライト)を認識すると、視神経を介して脳に伝わり、メラトニン ..
起床時に曇りや雨だったとしても、カーテンを開けて太陽の光を浴びることは、一定の効果があります。ぜひ習慣付けておきましょう。
日ざしと心の健康 ~太陽の光でポジティブに~ | 気象病を防ぐ方法
●太陽の光を浴びる
「最も手軽な方法は、太陽の光を浴びること。目の網膜が光を感じることでセロトニンが活性化されるので、窓の近くや外に出て10〜30分ほど、しっかりと太陽の光を浴びましょう。光の強さは2500~3000ルクス以上(※1)が望ましいため、500ルクス程度しかない家の中の電灯はNGです」(有田先生)
(※1)太陽の光は真夏で10万ルクス、曇りの日でも1万ルクスの照度と言われています。
にメラトニンが作られていないことが多いです。 寝るための準備は、朝起きたときから始まって
朝食を摂ることで、睡眠の質を上げるために必要なメラトニンの原料となるセロトニンが摂取できます。また食事の際の咀嚼を多くすることでセロトニンが生まれるのです。食事をする際は、しっかり咀嚼しましょう。
起床後、太陽の光を浴びることが、夜のよい睡眠に繋がります。 asa ..
朝、散歩したり、通勤時は日の当たる道を歩いたりして、太陽光を15~30分浴びよう!
カーテンを開けて太陽光をとりこめば、部屋の中でもOK。
SCNは太陽の周期や明暗の変化を感知し、太陽光に応じて私たちの体内時計を調節します。 ..
そもそも人間は、日の出とともに活動して、日没になったら休むというサイクルで生活してきたんだ。
ところが、現代は夜でも明るいし、テレビはほぼ24時間やっているから、昼夜逆転の生活になりやすい。
太陽の光は、みんなが思っている以上に大事なんだ!
太陽の光を浴びないデメリットとは; 日光浴は美肌にも効果あり ..
体内時計を整える光の浴び方のポイントは、日中に浴びる光と夜間に浴びる光の差をできるだけ大きくすることです。原始的な人間の暮らしでは、日中は太陽の光を浴び、夜はせいぜい月明かりやたき火程度の暗い空間で過ごすのが当たり前でした。しかし現代人の場合、日中は屋内にいることが多く、太陽光ほど強い光を浴びることが少ない一方、夜も照明がついていて明るい場所が多いため、昼と夜の差が小さくなっています。
メラトニン受容体作動薬にはメラトニン(商品名:メラトベル)と ..
セロトニンは、脳から分泌される睡眠ホルモンであるメラトニンの原料。メラトニンには、季節のリズム、睡眠・覚醒リズム、ホルモン分泌のリズムといった 概日リズム(サーカディアンリズム)を調整する作用がある。
以前から睡眠時間が短いと糖尿病になりやすいことが知られていたが、最近ではメラトニンが不足すると糖尿病の発症率が高くなるという研究が報告されている。
日光浴をすると、私たちの身体は太陽光から2つの刺激を受け取ります。 ..
セロトニンは脳内で情報を運ぶ神経伝達物質で、太陽の光を浴びたり運動したりすることによって、分泌がすすみます。そして日も暮れて暗くなると、誘眠ホルモンメラトニンに変換されるというわけです。
毎朝、太陽の光を浴びることにより、体内の生時計をリセットし、24時間周期 ..
日中はできるだけ光をたくさん浴びるようにしましょう。浴びるべき光の量や時間について、基準値などは確立されていませんが、1,000ルクス以上の光を最低1時間浴びることが一つの目安になると考えられます※10。屋外で太陽の光を浴びるのがベストですが、屋内であっても光の差し込む窓際であれば、おおむね1,000ルクス以上の光を浴びられるでしょう。屋内外を問わず、暑い季節は熱中症に十分気をつけてください。
睡眠の質と深い関係があるセロトニンとメラトニンの秘密をご紹介します。 セロトニン
太陽に当たることは、日中ボーとしている時間を少なくすることに有効で、起きている時と寝ている時のメリハリをつけることに有効です。また、太陽に当たるとセロトニンという物質が増え気分がすがすがしくなるともに、セロトニンが夜にメラトニンとなることで睡眠に入りやすいホルモンバランスになります。
通常人は夜になると眠り、朝になると起きるという睡眠・覚醒リズムで生活しています。体はこのリズムに合わせて、夜はリラックスした休息モード。日中は活動モードになっています。夜遅くまで活動したり、朝遅くまで寝ていたりするとこのリズムが乱れて質の良い眠りがとれなくなってしまいます。
【医療の視点から】「太陽光」と体内時計・睡眠・うつは関係 ..
したがって、朝起きたら必ず太陽の光を浴びることが必要なのです。雨の日でも外に出れば太陽を浴びたことになります。
このメラノプシンは、とくに朝の太陽光に含まれる青色の波長域の光を受ける ..
就寝中の光については、暗ければ暗いほど良いといえます。アイマスクを付けて光が目に入らないようにするのも一考です。しかし、寝室を真っ暗にすると、特に高齢者はトイレに起きたときの転倒リスクなどが懸念されます。間接照明を使うなど、危険ではない程度に暗くしましょう。また、寝室に遮光カーテンなどを使用して、光が外から入ってこない環境を作ることが勧められます。「朝日を浴びて目覚めると良い」といった話も聞かれますが、平城京スタディでは、目が覚める前に寝室に光が入ってくることで睡眠が中断してしまい、睡眠障害が増加するという結果が出ています※12。夜型の生活を送っている人ほど、十分な睡眠を取れないまま朝日を浴びてしまう可能性がありますので、寝室には光が入らないようにして、起きてから太陽の光を浴びるようにするほうが良いでしょう。