レクサプロ (エスシタロプラムシュウ酸塩) 持田 [処方薬]の解説、注意


選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI:Selective Serotonin Reuptake Inhibitors)は、脳内神経伝達物質のセロトニン濃度を高め、神経伝達能力が上がることにより、抗うつ作用および抗不安作用を示すと考えられています。うつ病のほか社会不安障害など適応が広く、内科領域でも使用する場面が見られます。警鐘事例であげた「自殺念慮」は、プラセボと有意差がないことを理由に添付文書に副作用として記載されていません(「注意」事項として記載)。若年者への適用や攻撃性リスクの追記など、今後も重大な副作用への警戒が必要な薬効群です。また、発売当初は「依存性がない」と宣伝され、離脱症候群も充分に警告されていなかったと言えます。


[PDF] レクサプロ錠 10mg、20mg に係る医薬品リスク管理計画書

警鐘事例のほか、副作用モニターで集約したグレード2、3の副作用には、パロキセチン塩酸塩による躁転、不眠や肝機能障害、発疹、エスシタロプラムシュウ酸塩による徐脈、血圧低下などが報告されています。エスシタロプラムシュウ酸塩は海外において過量投与により胃腸障害、心血管障害(低血圧、頻脈、QT延長、不整脈)が報告されており、QT延長のある患者では禁忌、著明な徐脈等の不整脈またはその既往歴のある患者では慎重投与になっており、製造販売後調査で検討が必要とされています。

大うつ病性障害患者を対象とした国内臨床試験(4試験)において、総症例550例中、409例(74.4%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められている。その主なものは悪心131例(23.8%)、傾眠129例(23.5%)、頭痛56例(10.2%)、口渇53例(9.6%)、浮動性めまい48例(8.7%)、倦怠感39例(7.1%)、下痢34例(6.2%)、腹部不快感32例(5.8%)等であった。(承認時)

同一成分薬: レクサプロ錠 10mg、レクサプロ錠 20mg(持田製薬株式会社).

(参考)アクチベーションの好発時期は服用開始後2週間以内あるいは増量時で、アメリカ食品医薬品局・FDAでは次の11の症状をあげている。(日本うつ病学会「SSRI/SNRI」を中心とした抗うつ薬適正使用に関する提言」:不安、焦燥、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア、軽躁、躁)

エスシタロプラムシュウ酸塩の主要代謝酵素であるCYP2C19のPM(遺伝子型CYP2C19欠損又は低活性)は、欧米人で1~4%であるのに対し、日本人では18~23%であり、用量依存的に高くなることが認められている本剤においては、副作用の発現可能性も高くなると考えられます。

障害(低血圧、頻脈、QT 延長、不整脈)、電解質及び水分バランス異常 ..

エスシタロプラムシュウ酸塩は選択的にセロトニン5-HT再取り込みを阻害する薬剤であるため、投与初期に消化管の5-HT受容体を刺激して消化管運動が低下することにより嘔気・嘔吐、下痢などの消化器症状が起こると考えられています。服用前に遺伝子型EM群(CYP2C19活性)を確認することは困難であり、心電図検査が実施されなければQT延長のような副作用を発見することはできません。製造販売後調査の情報を注視するとともに、服用が選択された場合には原因不明の突然死等を発生させない注意深い監視が不可欠です。

SIADHの診断は、1)低ナトリウム血症、2)尿浸透圧:300mOsm/kgを上回る、3)尿中ナトリウム濃度:20mEq/L以上、4)腎機能・副腎皮質機能正常、5)血漿バゾプレシン(抗利尿ホルモン・ADH:Antidiuretic hormone)値が測定感度以上であることが主なポイントです。

(レクサプロ錠:2011 年 4 月 22 日承認、申請資料概要 2.7.2.3)

パニック発作、アカシジア、精神運動不穏、失神、幻覚、神経過敏、離人症、ジスキネジー、運動障害、無オルガズム症

また、パロキセチンの代謝酵素は主にCYP2D6であるため、代謝が早い人と遅い人が存在し、血中濃度の個人差が20~30倍もあり、さらに服用量と血中濃度との関係も代謝酵素の飽和があるため非線形性がみられ、増減により急増、急減します。同じSSRIのフルボキサミンマレイン酸塩(デプロメール錠、ルボックス錠等)と比べて離脱症状、依存、攻撃性の報告が多いことからみても、使用にあたっては相互作用も含め、注意深い観察が必要です。(民医連新聞2006年11月20日)


【状況】 嘔吐恐怖症などの不安障害でレクサプロを処方されました。しかし副作用が吐き気、ということでなかなかスムーズに服用ができません。

うつ病歴は10年以上です。
いろいろな抗うつ剤を試してきましたが、無気力状態が強過ぎるためか、効果を感じたことは、ほとんどありません。が、現在は、レクサプロを服用しています。
これまで、さほど気にしていなかったのですが、10年くらい前は、正常の血圧だったのが、最近、病院で測定したところ、90-60くらいでした。
立ちくらみがひどく、最近、階段付近でクラっとなって、倒れることが2回あり、測定したものです。
貧血気味でもあるので、鉄剤も服用していますが、レクサプロが低血圧を助長している可能性はあるでしょうか?
レクサプロも効果を感じず、少しずつ減薬していきたい気持ちもあるのですが、とりあえず、続けたほうが無難でしょうか?
回答、よろしくお願いいたします。

起立性低血圧の疑いがあり、胃も弱いです。 うつ病 | 病気、症状・7閲覧 ..

ご相談ありがとうございます。レクサプロで低血圧を引き起こす可能性はあります。多いのは起立性低血圧といって立ちくらみを起こすパターンです。抗うつ薬によっては血圧を上げる副作用のあるものもあります。サインバルタや最近出たイフェクサーSRです。これらはSNRIといわれるタイプの抗うつ薬で、ノルアドレナリンという物質を引き上げる効果があり、ノルアドレナリンは昇圧剤としても使われる薬剤でもあります。
おっしゃるように効果を感じられないようであれば、レクサプロの減薬中止も検討の余地ありです。
まずは主治医の先生と相談しながら、決めていってくださいね。
あと、余談ですが、なかなか治らないうつ病に双極性障害が隠れている場合があります。
いままで、2日以上ハイテンション、イライラしたり、することはありませんでしたか?
また、そのときは自信過剰、興味が次々とうつる、買い物や性に依存する、寝ないでも平気、だったりしましたか?
この質問にイエスであれば、双極性障害を疑いますので、その場合はうつ病とがらっと薬を使う方法を変えないといけません。
その場合もしっかり、主治医の先生と相談して下さいね。

胸の不快感、脈が速くなる、めまい、気を失う)、QT 延長(めまい、動悸、

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)は国内では1999年に『デプロメール』『ルボックス』、2000年に『パキシル』、2006年に『ジェイゾロフト』、2011年に『レクサプロ』の5剤が販売されました。またSNRI(選択的セロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害薬)は2000年に『トレドミン』、2010年に『サインバルタ』の2剤が、Nassa(ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ薬)は2009年に『リフレックス』『レメロン』の2剤が販売され、今後も新規抗うつ薬の販売が予定されています。従来の抗うつ薬に比べ、低血圧や口の渇き、便秘などの強い副作用が少なく、今では抗うつ薬の半数以上のシェアを占めるといわれています。製薬会社のPRもあり心療内科、精神科に限らず、内科や脳外科、整形外科などの身体科で処方されることも多くなりました。また、うつ病の診断はICD-10やDSM-Ⅳなどの診断基準により簡便化され、うつ病の診断が増加する一因となりました。こうした社会的風潮を背景に、以前よりもうつ病の治療を受けやすくなった点では新規抗うつ薬の功績とも言えるでしょう。

しかし販売開始から13年経過した今、新規抗うつ薬の罪過が徐々に表面化しつつあります。それは「うつ病治療の迷走化」です。うつ病の診断基準は医療コラムでも記載していますが、単純に気分の落ち込みがあるかないかで症状の有無を判断するわけではありません。症状がうつ病の水準にあるか否かという程度を判断するには十分な問診が必要であり、正確な診断のためには複数回の面接や心理テストが必要な場合もあります。病的水準にはない「うつ状態」や他疾患による二次的な「うつ状態」、躁うつ病のうつ状態をうつ病と診断し、即SSRI処方という薬物療法が行われることが増えています。その結果、副作用に苦しんだり、躁状態となって浪費をしたり怒りっぽくなる、認知症の方の徘徊や暴言・暴力が増えたなどの事例が後を絶ちません。また抗うつ薬により衝動性のコントロールが悪くなり自殺を誘発する場合もあるといわれており、本来中止するべき状況にあって漫然と投薬が続いている事例をみることもよくあります。

新規抗うつ薬そのものは、多くの人から支持され有用な薬物であることは明らかでしょう。問題は専門外の医師に使用を促した製薬メーカーとその内容を鵜呑みにし安易に処方した医師(当然専門医も自戒するべきでしょう)にあるように思います。服用する際には専門医の正確な診断と症状の評価、計画的な薬物療法が必須であり、やる気の出る万能薬のような過信は禁物のように考えます。

睡がみられる。 処置:特異的な解毒剤は知られていない。直ちに胃洗

フルボキサミンは、日本で最初のSSRIとして1999年に発売され、欧米ではこれに先立った使用経験があり、大量服用時にも安全性が高いと言われていますが、一方では胃腸管系への影響や性機能障害、セロトニン症候群、錐体外路障害などの副作用が認められると言われています。PDR(米国医薬品添付文書集)には、肝トランスアミナーゼの上昇は頻繁に起こり、黄疸はまれに生じるとの記載があります。また、英国のモニタリングでは、他のSSRIよりも悪心・嘔吐および倦怠感・疲労感がもっとも頻繁であると報告されています。国内外27例の肝機能障害中、重篤な13例が、国内で起きたことが根拠となり、2001年6月に改訂された添付文書では、「重大な副作用」の項にも記載し注意喚起することになりました。

海外の疫学調査において、妊娠中に SSRI を投与された妊婦から出生した新生児にお

ミルタザピンは、ノルアドレナリン神経活性化を介して、セロトニン遊離促進を図る薬剤であり、SSRI、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬:Serotonin & Norepinephrine Reuptake Inhibitors)とは異なる作用機序を持っています。薬物構造は、四環系のミアンセリン(テトラミド錠)に類似しています。効果発現の早さが期待された薬剤で、特に睡眠障害はプラセボ対照試験において1~2週目で有意な効果を現しています(うつ病中核症状は5~6週目に有意な効果がみられました)。単回投与時の半減期は32時間であり、特に初回服用翌日の眠気、ふらつきに注意が必要です。

レクサプロ』の5剤が販売されました。またSNRI(選択的セロトニン ..

ミルナシプラン塩酸塩とデュロキセチン塩酸塩(サインバルタ錠)は、セロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害することにより濃度を高め、効果を発現するSNRIに分類される抗うつ薬です。副作用としては、口渇、悪心・嘔吐、便秘、眠気、排尿障害(尿閉、排尿困難)、ふらつき・めまい、不眠、性機能障害、体重増加などがあります。

レクサプロは初期用量から効果発現するため、使いやすいですが、QT ..

妊娠末期に本剤あるいは他のSSRI、SNRIを投与された妊婦から出生した新生児において、入院期間の延長、呼吸補助、経管栄養を必要とする、離脱症状と同様の症状が出産直後にあらわれたとの報告がある。臨床所見としては、呼吸窮迫、チアノーゼ、無呼吸、発作、体温調節障害、哺乳障害、嘔吐、低血糖症、筋緊張低下、筋緊張亢進、反射亢進、振戦、ぴくつき、易刺激性、持続性の泣きが報告されている。

【精神科医が解説】デュロキセチン(サインバルタ)の効果と副作用

海外の疫学調査において、妊娠中に本剤のラセミ体であるシタロプラムを含む他のSSRIを投与された妊婦から出生した新生児において、新生児遷延性肺高血圧症のリスクが増加したとの報告がある1,2)。このうち1つの調査では、妊娠34週以降に生まれた新生児における新生児遷延性肺高血圧症発生のリスク比は、妊娠早期の投与では2.4(95%信頼区間1.2-4.3)、妊娠早期及び後期の投与では3.6(95%信頼区間1.2-8.3)であった2)。]

3.低ナトリウム血症、頭痛、集中力欠如、記憶障害、錯乱、幻覚、痙攣、失神、抗 ..

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・自己判断で服用を中止しないでください。
・治療・処方に関する個別の相談には応じかねます。