(1) 斜視手術患者における PONV におけるデキサメタゾンま
医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書
オンダンセトロン塩酸塩水和物 術後の悪心・嘔吐の予防及び治療
デキサメタゾン+ハロペリドールorドラセトロン,デキサメタゾン+オンダンセトロン+ドロペリドール,
「公知申請への該当性に係る報告書(事前評価報告書)」では「成人及び小児におけるPONVの予防及び治療に関するオンダンセトロンの有効性は期待できると考える。」とされており、また、用法及び用量の「設定の妥当性について」では「投与タイミングについては、各国の承認内容、診療ガイドラインの記載内容は様々であること、患者背景や手術の状況(麻酔薬の種類、手術時間、術式等)により適切な投与タイミングは異なると考えられることから、投与時期を規定する必要はないと考えた。」とされています。
以上のように、腸管手術を受ける患者に対する術前Dexamethasone投与により、PONVの発現率を有意に低下させ、救済治療の必要性を減少し、経口摂取回復までの期間を早めた。また、有害事象の増加を認めなかったことから、腸管手術を受ける患者に対しては術前Dexamethasone投与が推奨されると考えられる。
デキサメタゾンと 5HT 拮抗薬は、小児の制吐薬として最適です。 0 危険因子
オンダンセトロン注は患者背景や術式等を考慮し、術前から術後の適切なタイミングで投与してください。(添付文書 7.用法及び用量に関連する注意)
2020年に米国PONVガイドラインの改訂版である『Fourth Consensus Guidelines for the Management of Postoperative Nausea and Vomiting』が公開されました。ガイドラインではオンダンセトロンは成人のPONV及び小児のPOV*/PONV予防にエビデンスレベルA1で位置付けられています。
また、術後嘔気・嘔吐(PONV)に対しては、従来から抗コリン薬や抗ヒスタミン薬 ..
手術後の悪心/嘔吐は30%以上に認められ、術後の回復や退院の遅延につながることから、その発症予防は非常に重要である。これまでに、副腎ステロイドのDexamethasone投与により、手術後の悪心/嘔吐の発症頻度が減少するという報告はあるものの、消化管手術を対象とした大規模な比較試験はなかった。
主要評価項目である術後24時間以内のの発現率は、標準的ケア群33.2%、Dexamethasone群25.5%であり、Dexamethasoneで有意な低下を認めた(Risk rate=0.77, 95% CI: 0.65-0.92, p=0.003)。術後24時間以内のを発現した395例中251例(63.5%)は治療医および患者双方によりエピソードが記録され、119例(30.1%)は患者のみ、25例(6.3%)は治療医のみの記録であったが、Dexamethasoneによる治療効果は、治療医のみの記録、患者のみの記録でも同様であった。なお、術後25~72時間のは両群に有意差を認めず(Risk rate=0.90, p=0.14)、術後73~120時間では両群で同程度であった(Risk rate=1.02, p=0.87)。術後24時間以内のにおけるサブグループ解析では、手術の種類、術後回復力強化プログラム(ERAS)施行の有無、喫煙状況、ASA grade、術後疼痛緩和の方法、性別のいずれにおいても有意差を認めなかった。
小児湿疹、ビダール苔癬、その他の神経皮膚炎、脂漏性皮膚炎、進行性指掌角皮 ..
*POV:postoperative vomiting(術後の嘔吐)
※本邦でのPONVの診療ガイドラインは作成されていません。
準拠添付文書:2022年2月作成(第3版、効能変更)
髙折修二他監訳:グッドマン・ギルマン薬理書(下)
薬物治療の基礎と臨床第12版(廣川書店)2013;1725-1726
デキサメタゾン酢酸エステル dexamethasone acetate (別名:酢酸デキサメタゾン).
抗がん薬投与後,24 時間以内に出現する急性嘔吐は,抗がん薬の治療アドヒアランスを妨げる最も大きな要因の一つであり,その予防制吐効果の成否は遅発性嘔吐の治療効果にも影響を及ぼす。したがって,特に催吐性リスクが高度および中等度の抗がん薬投与に際しては,急性嘔吐を未然に防ぎ,さらに遅発性嘔吐の治療反応性を良好に保つためにも,積極的な制吐薬の投与を行う必要がある。以下に急性嘔吐の予防を目的として,抗がん薬投与前に行うべき対処を催吐性リスク別に概説する。
医療用医薬品 : デキサート (デキサート注射液1.65mg 他)
NK1受容体拮抗薬であるアプレピタント125 mg 経口投与もしくはホスアプレピタント150 mg 静脈内投与と5-HT3受容体拮抗薬およびデキサメタゾン9.9 mg 静注(12 mg 経口)の3 剤併用が推奨される。第1 世代の5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾンの2 剤併用に比べ,アプレピタントを加えた3 剤を併用することで制吐作用の著しい改善が示されている~。第1 世代の5-HT3受容体拮抗薬(→ 参照)は,単剤間の直接比較およびデキサメタゾン併用下での比較において,薬剤間またその投与経路によって効果に大きな差はなく,用量や投与回数の影響を受けないことから,抗がん薬投与開始前に必要量を単回投与とする。第2 世代5-HT3受容体拮抗薬のパロノセトロンは,単剤間の直接比較およびデキサメタゾン併用下での比較において,急性嘔吐の予防効果は他薬剤と同等であるが,遅発性嘔吐の予防において優れている(→ 参照)。デキサメタゾンの用量(→ 参照)については,第1 世代の5-HT3受容体拮抗薬との2 剤併用では13.2~16.5 mg を静注(16~20 mg を経口)とされてきたが,アプレピタントとの併用では,アプレピタントがCYP3A4 を阻害することによりデキサメタゾンの濃度-時間曲線下面積(area under the concentration-time curve; AUC)が増加するため,3 剤併用では9.9 mg 静注(12 mg 経口)に減量する。ただし,副腎皮質ステロイドが抗がん薬として投与されるCHOP 療法などではレジメン内のステロイドは減量してはならない。アプレピタントの投与期間は3 日間が推奨される。ホスアプレピタントはアプレピタントの水溶性を向上させたリン酸化プロドラッグであり,静脈内投与後に体内の脱リン酸化酵素によって速やかに活性本体であるアプレピタントに変換される。ホスアプレピタントはオンダンセトロン,デキサメタゾンとの3 剤併用でアプレピタントとの同等性が示されており,5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾン併用下での抗がん薬投与30 分前,150 mg の単回使用が推奨される。ただし,副作用として注射部位痛/発赤/血栓性静脈炎の頻度が高いことに留意すべきである。
グルココルチコイドであるデキサメタゾンは術後の悪心・嘔吐を予防するが,手術部位感染のリスクを上昇させる可能性への懸念がある.
抗がん薬の催吐性リスクは,高度,中等度,軽度,最小度の4 段階に分類される。良好な治療アドヒアランスを得て,がん治療を円滑に進めるためにも,催吐性リスクの適正な評価と個々の症例に応じた予防的対処を行う必要がある。
術後の悪心/嘔吐に対するDexamethasone(DREAMS試験)
軽度リスクの経口抗がん薬に対して,MASCC/ESMO ガイドライン2016 では,制吐薬3 種類(5-HT3受容体拮抗薬,デキサメタゾン,ドパミン受容体拮抗薬)を単剤で使用することが勧められているが,最小度リスクに対する制吐薬の予防的使用は推奨されていない。一方,NCCN ガイドライン2017 では,軽度・最小度リスクの経口抗がん薬を含めて,悪心・嘔吐が生じた際にメトクロプラミド,プロクロルペラジン,5-HT3受容体拮抗薬などの連日投与(必要に応じてオランザピンやロラゼパムを併用)が推奨されている。しかし,経口抗がん薬に対する制吐薬の比較試験がないため,これらの推奨される制吐療法の信頼度は低い。ただし,これらの経口抗がん薬の有効性のエビデンスを示した比較試験のプロトコールをみると,Grade 2 の悪心・嘔吐が発現した場合にはおおむね支持療法を行うかまたは休薬し,支持療法によってコントロールできない場合には,投与量を一段階減量する,さらにGrade 3 の悪心・嘔吐が発現した場合は,投与量を一段階減量することが一般的である。したがって,がん薬物療法のエビデンスを示した臨床試験のプロトコールを参考に,日常臨床で使用されている薬剤を使用するほか,食事の工夫,カウンセリングなどの支持療法を実施し,コントロール不良の際は休薬し,抗がん薬を一段階減量して再開するという原則を守り,Grade 3 以上の悪心・嘔吐を発現させず,Grade 2の悪心・嘔吐が継続しないように内服を継続することが求められる。
重症例の致死率を下げるエビデンスが、11 つのランダム化比較試験をもとにした2つのメ
これら経口抗がん薬の治療効果を得るためには,服用アドヒアランスを損なわないよう悪心・嘔吐対策が重要である。
[P32-5] 術後悪心嘔吐に対するデキサメタゾン予防投与は有効か?
以前よりわが国では,経口抗がん薬のうちフッ化ピリミジン薬の使用頻度が高く,大腸がんにおけるUFT/ロイコボリン,カペシタビン,胃がんにおけるS-1,肺がんにおけるUFT は比較試験により術後補助薬物療法の有効性が示されている。また,切除不能再発胃がんや大腸がんに対しても,S-1 やカペシタビン,UFT/ロイコボリン,大腸がんにおけるTAS102(トリフルリジン・チピラシル塩酸塩)は,ガイドラインで推奨されている治療の一つである。これらの経口抗がん薬は単回での催吐性リスクは少ないが,連日内服による消化器症状がある。
麻酔後合併症抑制においては有用な麻酔法は何か?(CQ18-1 )
NCCN ガイドライン 2015 では,アプレピタントの代わりに多受容体作用抗精神病薬(MARTA)であるオランザピンをパロノセトロンとデキサメタゾンと3 剤併用で用いるオプションが示された。さらに同2017では,新たにアプレピタント(またはホスアプレピタント),パロノセトロン,デキサメタゾンの3剤併用にオランザピンを加えるレジメンも提示された。これらは,シスプラチンとAC療法を含む高度リスク抗がん薬投与に際し,オランザピンが,パロノセトロンとデキサメタゾン併用下においてアプレピタントと同等であることが示された第Ⅲ相ランダム化比較試験や,アプレピタント(またはホスアプレピタント),パロノセトロン,デキサメタゾンの3剤併用にオランザピンを加える有用性が示された第III相ランダム化比較試験の結果を受けている。ASCO ガイドライン2017 でもオランザピンを加えた4剤併用が推奨療法として追加された。オランザピンはわが国でも複数の臨床試験が行われた。オランザピンは公知申請により2017 年6 月から,他の制吐薬との併用において成人では5㎎ を1 日1 回経口投与(患者状態により最大1日10㎎ まで増量可能),最大6 日間を目安として先発品と一部の後発品で保険下にて使用が可能となった。本邦における推奨用量,使用方法については未だ検証段階であるため,適切な患者に慎重に投与することが望まれる。慎重投与すべき患者としては,糖尿病患者ならびに高血糖あるいは肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者であり,使用に際しては副作用の傾眠や血糖上昇に十分注意する。高齢者への投与も慎重に行うべきである。作用点が重複するドパミンD2 受容体拮抗薬ドンペリドン,メトクロプラミド,ハロペリドール,リスペリドンなどとの併用は勧められず,また,睡眠薬との併用には注意を要する。投与量に関してはランダム化第Ⅱ 相試験ではあるが,高度リスク抗がん薬投与に対し3剤併用に加えたオランザピン5 ㎎ と10 ㎎では遅発期の悪心・嘔吐の制御において同等であったとの報告もある。
GI cancer-net消化器癌治療の広場
現在, 抗がん薬の副作用である悪心・嘔吐の評価方法としては, CTCAE (Common Terminology Criteria for Adverse Event) v4.0-JCOG が用いられているが,これは制吐療法の評価方法ではない(→)。従来のわが国の制吐療法における臨床試験では,悪心・嘔吐が「ない」,「我慢できる」から,「ほとんど食べられない」といったチェック項目を患者に提示して個々の治療効果を示してもらうなどの方法がとられていた。最近の臨床試験では,がん薬物療法施行後0~120 時間の完全制御割合,0~24 時間の完全制御割合(急性),24~120 時間の完全制御割合(遅発性)などが評価項目として用いられている()。しかし,医療者は過小評価の傾向が指摘されており,悪心・嘔吐の予測がどの程度できているかの評価も重要である。また, 患者自身による主観評価にあたる Patient-Reported Outcome (PRO) の重要性も認識されてきており, がん臨床試験における患者の自己評価に基づき, 有害事象評価の正確性と高い精度のグレーディングを追及したツールとしてPRO-CTCAEが公開されてきており(), 日常診療として客観的評価とどのようにして関連づけて評価していくか等に関する検討が必要になるであろう。
表1 PONVのリスク因子
5-HT3受容体拮抗薬は,第1 世代,第2 世代と多くの種類があるが, 最大限の制吐効果を得るために最新の高価な薬剤を使っても有効性の優劣が明確でない場合もある。抗がん薬の催吐性リスクだけでなく, どの化学療法レジメンで, どのような制吐レジメンを用いるかで, 第一世代と第二世代の使い分けが示されており(→), 有効性が同等であればより安価な方を選択し適切に制吐療法を行っていくことが推奨される。