・非定型肺炎=マイコプラズマ肺炎、クラミジア肺炎、オウム病、レジオネラ肺炎
【11.1.1】ショック,アナフィラキシー〔呼吸困難,喘鳴,血管浮腫等が発現。また,アジスロマイシンは組織内半減期が長いことから,これらの副作用の治療中止後に再発する可能性があるので注意。[8.2参照]〕【11.1.2】中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN),皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),急性汎発性発疹性膿疱症〔投与中止。副腎皮質ホルモン剤を投与。これらの副作用はアジスロマイシンの投与中又は投与終了後1週間以内に発現しているので,投与終了後も注意。また,アジスロマイシンは組織内半減期が長いことから,これらの副作用の治療中止後に再発する可能性があるので注意。[8.3参照]〕【11.1.3】薬剤性過敏症症候群〔初期症状として発疹,発熱がみられ,更に肝機能障害,リンパ節腫脹,白血球増加,好酸球増多,異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状が発現。なお,ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルスの再活性化を伴うことが多く,投与中止後も発疹,発熱,肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意〕【11.1.4】肝炎,肝機能障害,黄疸,肝不全【11.1.5】急性腎障害〔乏尿等の症状や血中クレアチニン値上昇等の腎機能低下所見が認められた場合には投与中止〕【11.1.6】偽膜性大腸炎,出血性大腸炎〔偽膜性大腸炎,出血性大腸炎等の重篤な大腸炎が発現。腹痛,頻回の下痢,血便等が現れた場合にはただちに投与中止〕【11.1.7】間質性肺炎,好酸球性肺炎〔発熱,咳嗽,呼吸困難,胸部X線異常,好酸球増多等を伴う間質性肺炎,好酸球性肺炎が発現。投与中止。副腎皮質ホルモン剤を投与〕【11.1.8】QT延長,心室性頻脈(torsade de pointesを含む)〔QT延長等の心疾患のある患者には特に注意。[9.1.2参照]〕【11.1.9】白血球減少,顆粒球減少,血小板減少〔[9.7.2参照]〕【11.1.10】横紋筋融解症〔筋肉痛,脱力感,CK上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇等が現れた場合には投与中止。また,横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意〕
B.2 肺炎 Hospital acquired pneumonia
Psittaci(オウム病),Legionella pneumophila(高齢者,免疫不全者に多く,重症になる),Pneumocystis jirovecii(細胞性免疫不全者,HIV感染者),In uenza virusなどがある.③誤嚥性肺炎は,嚥下障害のある寝たきりの患者,意識障害者,特にう歯,歯肉炎の強い人,アルコール酩酊後の人などにおいてみられ,口腔内の嫌気性菌,連鎖球菌によることが多い.時に糖尿病患者などでは肺膿瘍,膿胸を合併しうる.1起因菌が未定であり,細菌性肺炎か非定型肺炎か決められない場合(実際上は大部分の症例)特に患者が重症な場合は,起因菌が判明するまでは,細菌性肺炎と非定型肺炎の両方の起因菌をカバーする初期抗菌薬治療を,可能な限り早く開始する. 起因菌検出に努める. 起因菌と薬剤感受性判明後に可能であればターゲットを絞った抗菌薬治療を行う. 1)入院治療の場合■重症市中肺炎の初期治療(主な起因菌)Streptococcus pneumoniae(60%),Legionella pneu mo -phila(10~20%),その他.(初期治療)細菌性肺炎と異型肺炎の起因菌をカバーすべく次の1.と2.から1剤ずつを併用する.1.細菌性肺炎のカバーユナシンS(ampicillin/sulbactam)1.5~3.0g 6時間ごと または ロセフィン(ceftriaxone)1~2g 24時間ごと または セフォタックス(cefotaxime)1~2g 8時間ごと+2.非定型肺炎のカバージスロマック(azithromycin)500mg 24時間ごと併用またはミノマイシン(minocycline)100mg 12時間ごと併用または(レスピラトリキノロン)クラビット(levo oxacin)500mg 24時間ごと(併用または単独) またはアベロックス(moxi oxacin)400mg 24時間ごと(併用または単独) 元のページ
肺炎は肺に細菌やウイルスが感染することにより、高熱・咳・痰などの症状を起こす病気です。放置した場合は、肺から全身に菌がまわり敗血症といった重篤な状態となることがあります。ご高齢の方や免疫力の低下した方が発症した場合、重症化し生死に関わる病気でもあります。実際、肺炎は2020年には日本人の死因の第5位となっています。
初期には風邪と同じような症状となるため、適切な時期に診断し治療を開始することが重要となります。
[PDF] Ⅰ.肺炎の重症度分類 Ⅱ.細菌性肺炎と非定型性肺炎の鑑別
下の図は東海地方で大人の肺炎の原因菌を調査したものですが、肺炎球菌が最も多く、ついでインフルエンザ桿菌、クレブシエラ菌などが多くなっています。
熱や咳が続いた場合、風邪と肺炎との区別がなかなかつきづらいですが、細菌性肺炎を疑う症状としては、高熱が続く、脈や呼吸が速い、風邪のような鼻水・咽頭痛がない、といった特徴があります。非定型肺炎では、頑固な咳を伴い、痰が少ないなどの特徴があります。両者は使用する抗生物質が異なるため、鑑別を行うことは重要となります。
またヒト側の原因として、脳卒中などで飲み込みの力が低下し食事や唾液を誤嚥(ごえん)することによって起こる誤嚥性肺炎や、他の病気の治療で免疫力が低下して起こる日和見(ひよりみ)感染症といったものが挙げられます。誤嚥性肺炎の場合は、口の中にいる菌(大腸菌や嫌気性菌)が原因菌となることが多いと言われています。
非定型抗酸菌とは抗酸菌の中で結核菌群を除く培養可能な抗酸菌を一括した総称で ..
肺炎の診断の流れは、問診で肺炎を疑い聴診により肺雑音が聴取された場合に、胸部レントゲンやC T・採血検査・喀痰検査を実施し確定診断を行います。
問診では、5日以上高熱が続く、脈や呼吸が早いなどの症状があれば積極的に肺炎を疑い、胸部レントゲン・C T検査・採血検査を行います。胸部レントゲン・C T検査では、肺炎を起こしている部分が、下記のように白く映ることで診断します。採血では、白血球数の上昇や炎症反応の高値がよく見られます。時には尿検査を行い、肺炎球菌やレジオネラ菌に感染しているか調べることもあります(尿中肺炎球菌抗原検査や尿中レジオネラ抗原検査)。喀痰検査では、原因菌を同定するために行います。ただし、喀痰検査により原因菌が判明するのには3−7日と時間を要するため、症状や胸部レントゲン所見、尿中抗原検査により原因菌を推定し治療を行います。
肺炎と同じような経過やレントゲン・C T所見となる病気として、器質化肺炎や好酸球性肺炎、薬剤性肺炎などがあります。時には、肺結核や肺癌などが隠れていることがあります。これらは、レントゲンや採血所見などとも合わせて、呼吸器内科専門医による適切な診断が必要となります。
表 日本呼吸器学会ガイドラインでの細菌性肺炎と非定型肺炎の診断基準
肺炎と診断した場合、次に重症度を判別します。軽症〜中等症の方は外来にて治療を行い、中等症から超重症の方は入院して治療を行います。重症度の判別には、年齢や血圧、意識障害の有無や酸素化の程度、血液検査結果を使用します。
【1】尿道炎・子宮頸管炎,肺炎,骨盤内炎症性疾患を除く感染症:(1)本剤で治療開始し,4日目以降でも臨床症状が不変又は悪化の場合,医師の判断で適切な他剤に変更。(2)外国の臨床における体内動態試験の成績から,本剤500mgを1日1回3日間経口投与することにより,感受性菌に対して有効な組織内濃度が約7日間持続することが予測されているので,治療に必要な投与期間は3日間とする。【2】尿道炎・子宮頸管炎:(1)投与開始後2~4週間は経過観察し,効果を判定。(2)本剤1000mgを1回投与することにより,アジスロマイシン感性のトラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)に対し有効な組織内濃度が約10日間持続することが予測されているので,治療に必要な投与回数は1回とする。【3】肺炎:(1)本剤で治療開始し,4日目以降でも臨床症状が不変又は悪化の場合,医師の判断で適切な他剤に変更。(2)アジスロマイシン注射剤から本剤に切り替える場合,症状に応じ投与期間変更可。
・その他の場合、セフトリアキソン1gを 24 時間おきに。非定型肺炎を疑う場合には、アジスロマイ
肺炎は、適切な時期に診断し治療することで早くよくなる病気です。一方で、風邪などのウイルスが原因の症状には、過度に抗生物質を処方することは効果がなく耐性菌を誘導するため、当院ではあまり行っていません。また背後に肺癌や肺結核などの重篤な病気が隠れていることもあるので、呼吸器内科専門医による診察が重要な病気でもあります。上記のような症状に当てはまり、肺炎が疑わしい場合は、早めに医療機関に受診することをお勧めします。
[PDF] 小児肺炎マイコプラズマ肺炎の診断と治療に関する考え方
関節リウマチ患者の生物製剤投与時における細菌感染症は5.4%~7.9%で、感染部位は呼吸器、皮膚軟部組織、尿路、骨関節の順に多い。呼吸器感染症では、肺炎、肺膿瘍、膿胸、慢性下気道感染症の急性増悪に注意する。関節リウマチ患者では肺炎の頻度と死亡率が高く、TNF阻害薬投与により重症感染症が増えることも明らかとなっている。生物製剤投与時の肺炎のリスク因子として、高齢、既存肺疾患、ステロイド投与、男性、病期分類Steinbrocker III以上の関節リウマチなどが指摘されている。既存肺疾患は関節リウマチの関節外病変と理解され、生物製剤投与前に気管支拡張症、細気管支炎、間質性肺炎など肺合併症の検索を行っておく。また、生物学的製剤で疾患活動性が低下したなら感染症のリスク因子であるステロイドを早めに減量中止する。
わが国では 2011 年中頃より肺炎マイコプラズマ感染症が大流行し、その流行は 2012
特にワクチンの接種はとても有効です。肺炎球菌ワクチンはインフルエンザワクチンと併せて接種することで、肺炎での死亡や入院が減少することがわかっています。抵抗力の落ちる65歳以上の方は、接種を行ったほうがよいでしょう。
(中等~重症) 非定型肺炎も否定できない場合は、下記に加え、ジスロマック点滴静注用500㎎ 1V×24h毎併用
肺炎の初期対応として、まず予後不良な敗血症か否かの評価を行う。特に敗血症性ショックでは適切な抗菌薬投与が1時間遅れると生存率が17.6%低下することが報告されている。敗血症が否定された場合、肺炎の重症度判定(A-DROPスコア、I-ROADスコア)を行い、軽症例では外来治療も可能だが、中等症以上は入院治療を原則とし、重症例以上では集中治療室管理も考慮する。敗血症症例や重症症例では一般細菌と非定型病原体の両方をカバーする抗菌薬を投与する。インフルエンザ流行期では迅速診断キットで検査し、陽性例では抗インフルエンザ薬を併用し、入院を要するインフルエンザ肺炎は個室管理を原則とする。
ICU管理が必要な肺炎の基準として重症肺炎を定義している。 CURB-‐65の年齢 ..
また、肺炎の症状に対する対症療法も行います。対症療法は、原因菌に対する治療ではなく、症状を緩和するために行います。具体的には、発熱があれば解熱剤を使用し、咳が強ければ咳を抑える薬を使用します。しかしながら、咳は原因菌を体の外に出そうとする人間の生理的な反応でもあるので、過剰に咳を止めることはあまりよくないとも言われています。
4.マクロライド系薬の併用により市中肺炎患者の生存率が改善 ..
肺炎では細菌性肺炎(肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌が多いが、薬剤耐性緑膿菌も考慮)、非定型肺炎(マイコプラズマ、クラミジアなど)、抗酸菌症(結核、NTM症)、真菌症(ニューモシスチス肺炎、アルペルギルス症、クリプトコッカス症など)、ウイルス感染症(インフルエンザウイルス、サイトメガロウイルスなど)などの可能性も考慮し検査を行い、下記の表の医療・介護関連/院内肺炎のエンピリック治療を行う。エンピリック治療は3日目に効果判定を行い、効果がない場合は抗菌薬の変更も考慮する。病原体検査が陰性の場合は呼吸器内科医に相談し、薬剤性肺炎、関節リウマチによる気道病変や間質性肺炎の増悪、他の感染症などを考慮する。薬剤性間質性肺炎はMTX(0.4%)、生物製剤(0.3~0.9%)、タクロリムス、アザチオプリンなどでも報告されている。
[PDF] スコアリングを用いた小児細菌性肺炎と 非定型肺炎鑑別に関する検討
肺炎の治療で重要なことは「抗生物質の服用を中断しない」ことです。症状がよくなってきたといって治療を中断してしまうと、肺炎をぶり返したり、抗生物質の効きにくい耐性菌を誘導してしまいます。抗生物質は、特に副作用などがなければ、処方された日数分を飲み切ってください。
非定型抗精神病薬(セロトニン・ドパミン拮抗薬[SDA]) · 非定型抗精神病薬(多元受容 ..
発熱、咳嗽、呼吸困難があれば、インフルエンザ流行期であればインフルエンザ迅速検査を行なう。インフルエンザ肺炎は個室管理が原則である。身体所見(バイタルサイン、聴診、SaO2など、肺炎の重症度を評価する)、臨床検査、胸部レントゲン、胸部CTを考慮し生物製剤は中止する。実質性陰影は細菌性や結核を疑い喀痰培養、血液培養、抗酸菌染色・培養を行なう。間質性陰影は、血中β-D-グルカン測定、可能なら誘発喀痰あるいはBALでPneumocystis jirovecci菌体染色・PCR、マイコプラズマ、クラミジア、レジオネラの検査を行ないニューモシスチス肺炎や非定型肺炎を鑑別する。マイコプラズマ肺炎、クラミジア肺炎、レジオネラ肺炎はペア血清で抗体価の有意な上昇、病原体検出や抗原検出、などで診断する。全て陰性であれば薬剤性肺炎や関節リウマチに伴う関節外病変としての肺病変を疑う。
アジスロマイシン経口剤の一般感染症の臨床試験成績から、高齢者において認められた副作用の種類及び副作用発現率は、非 ..
エキスパートオピニオンでは肺炎治癒後に生物製剤の再投与は可能であるとされるが、既存肺疾患があり再投与で肺炎を繰り返した場合は投与を慎重にする。