コブラは、1984年にジョン・ゾーンが作曲したゲームの理論を応用した即興演奏のシステム。プロンプターは、お馴染みの巻上公一が担当。


文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。


[PDF] ジョン・ゾーン《コブラ》の研究 : 即興演奏を素材 とした ..

「コブラ」とは、ジョン・ゾーンが作った複数のミュージシャンのための曲であり、ゲーム形式の即興演奏システムである。参加人数は10名前後が望ましいとされる。演奏は、プロンプターがカードを示して、開始、停止といった単純なものから、デュオの設定、曲想や音量の変化、演奏のメモリーなどの複雑なものに至る演奏形態を指示し、また逆にミュージシャン側も目や鼻、耳と指を使ってプロンプターに意思表示をすることで進行する。この曲の大きな特徴は、ゲリラ・システムを内包していることで、これによってミュージシャン側もタクティクスを使うなどして独自に演奏を展開することができる。(『ユリイカ』1997年1月号、青土社、88ページ)

文豪・田山花袋が明治40年に発表した代表作で、日本の私小説の出発点とも言われる「蒲団」を原案に描いた人間ドラマ。物語の舞台を明治から現代の令和に、主人公を小説家から脚本家に置き換えて映画化した。 仕事への情熱を失い、妻のまどかとの関係も冷え切っていた脚本家の竹中時雄は、彼の作品のファンで脚本家を目指しているという若い女性・横山芳美に弟子入りを懇願され、彼女と師弟関係を結ぶ。一緒に仕事をするうちに芳美に物書きとしてのセンスを認め、同時に彼女に対して恋愛感情を抱くようになる時雄。芳美とともにいることで自身も納得する文章が書けるようになり、公私ともに充実していくが、芳美の恋人が上京してくるという話を聞き、嫉妬心と焦燥感に駆られる。 監督は「テイクオーバーゾーン」の山嵜晋平、脚本は「戦争と一人の女」「花腐し」などで共同脚本を手がけた中野太。主人公の時雄役を斉藤陽一郎が務め、芳子役は「ベイビーわるきゅーれ」の秋谷百音、まどか役は片岡礼子がそれぞれ演じた。

ジョン・ゾーン《コブラ》はどのような〈ゲーム〉なのか : 奏者間のやり取りに着目した検討

アルバムに収録されたテキストと実際のパフォーマンスから「コブラ」の概要をごく大まかに説明すると次のようになる。パフォーマンスの場では、参加メンバーのうちの一人が指揮者に相当するプロンプターという役割を担う。プロンプターの目の前には記号が書かれたカードが多数置かれており、プロンプターはこのカードとハンドサイン等を用いて腕を振り下ろすことで演奏者に指示を出す。演奏者はプロンプターと向かい合って半円形に並び、指示に応じて即興的に演奏を行う。だが演奏者は指示を受けるだけでなく、自らハンドサインで意思表示をすることができ、時には「ゲリラ」というシステムを通じて演奏者が一時的に独立したポジションをキープし、他の演奏者に対して指示を出すこともできる。ゲリラ・システムは複雑にルール化されているが、演奏者がヘッドバンドを装着し、プロンプターが帽子を被ることで、ゲリラが発生していること自体は観客にもわかるようになっている。こうした「コブラ」の特徴とより具体的なプロンプターの指示内容について、ジョン・ゾーンを特集した『ユリイカ』1997年1月号に掲載されたテキストが要点を簡潔にまとめているので、重複する箇所もあるが引用しよう。

当日の模様をレポートする前に、まずは「コブラ」について簡単に触れておきたい*。「コブラ」はアメリカの音楽家ジョン・ゾーンが1984年に発表したゲーム・ピースで、集団での即興演奏をシステマティックなルールにもとづいて行うための作品である。タイトルは戦争を題材とした同名ボードゲームからインスピレーションを得ているという。通常の作曲作品のように譜面やテキストは公開されておらず、口承伝承を重視するゾーンの意向によって、その詳しい内容は秘匿とされている。ただし、1987年の2枚組アルバム『Cobra』には「コブラ」で使用するカードやハンドサインの種類および指示内容について簡潔に記載されたテキストが収録されている。とはいえあくまでも一部であり、このテキストからルールの全貌を把握することは難しい。また、インターネット上で検索するとより詳細に解説が加えられた非公式のテキストを見つけることもできるものの、その内容が実際にゾーンが手がけた作品とどこまで一致しているのかは確認することができない。

COBRA JOHN ZORN ジョン・ゾーン コブラ 2LP オリジナル盤 洋楽

2009年6月14日(日)
John Zorn’s Cobra Tokyo Sengawa operation 内橋和久部隊
青木タイセイ (tb)
イクエ・モリ (electronics)
石橋英子 (key, vo, etc)
内橋和久 (g)
ジム・オルーク (g)
シルヴィー・クルボアジェ (p)
千住宗臣 (ds)
七尾旅人 (vo)
ナスノミツル (b)
山本達久 (ds)
横川理彦 (vl)
渡邊琢磨 (p)
巻上公一 (prompter)

奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。

ゲーム的即興パフォーマンスを強豪メンバーが奏でる、ジョン・ゾーンの「コブラ」

死刑囚の告発をもとに、雑誌ジャーナリストが未解決の殺人事件を暴いていく過程をつづったベストセラーノンフィクション「凶悪 ある死刑囚の告発」(新潮45編集部編)を映画化。取材のため東京拘置所でヤクザの死刑囚・須藤と面会した雑誌ジャーナリストの藤井は、須藤が死刑判決を受けた事件のほかに、3つの殺人に関与しており、そのすべてに「先生」と呼ばれる首謀者がいるという告白を受ける。須藤は「先生」がのうのうと生きていることが許せず、藤井に「先生」の存在を記事にして世に暴くよう依頼。藤井が調査を進めると、やがて恐るべき凶悪事件の真相が明らかになっていく。ジャーナリストとしての使命感と狂気の間で揺れ動く藤井役を山田孝之、死刑囚・須藤をピエール瀧が演じ、「先生」役でリリー・フランキーが初の悪役に挑む。故・若松孝二監督に師事した白石和彌がメガホンをとった。

集団即興演奏のプロンプターとして、そして陽気なサックスプレイヤーとして、またNYのライブハウスの芸術監督として多面的に活躍するジョン・ゾーン本人の姿を捉えたドキュメンタリー。ジョン・メデスキやマイク・パットン、ネイト・スミスとのライブや練習風景、NYのサウンドスタジオでジョンのレコーディングに飛び入り参加する本作の監督でもあるマチュー・アマルリック、日本の歌謡曲研究家としても知られたジョンの日本での足跡を辿るパートではヒカシューの巻上公一など、各国のアーティストとジョンの交流が多彩な音楽とともに描かれる。


COBRA JOHN ZORN ジョン・ゾーン コブラ 2LP オリジナル盤

ジョン・ゾーンが考案した複数のミュージシャンのためのゲーム形式の即興演奏システムである。プロンプターからの指示と、ミュージシャンによる合図、メンバー全体の意思疎通によって予測不可能な演奏が進行していく。システムの詳しい内容はジョンゾーンの口伝により、限られたミュージシャンにしか伝えられておらず、今回はジョンの意向により巻上公一がプロンプターを務め、この日限りの特別メンバーによるCOBRA東京作戦が開催される。

本論文は,アメリカの音楽家,ジョン・ゾーン(John Zorn 1953- )の代表作《コブラ(Cobra)》

本作の上映はゾーンによるライブと共に開催されることが条件となっており、今回は特別にゾーンの許可を得て、巻上率いる「John Zorn’s Cobra東京作戦アニバーサリー部隊」の演奏が企画された。複数のミュージシャンのためのゲーム理論を応用したゾーンの代表作“COBRA”に参加するのは、(ギター)、(シンセサイザー)、山本達久(ドラム)、そして(プロンプター)ら総勢14名のメンバーが出演する。

世界フリージャズ記(4)知略を尽した即興音楽(ジョン・ゾーン)

ハングルを作り出したことで知られる世宗大王と、彼に仕えた科学者チョン・ヨンシルの身分を超えた熱い絆を描いた韓国の歴史ロマン。「ベルリンファイル」のハン・ソッキュが世宗大王、「悪いやつら」のチェ・ミンシクがチャン・ヨンシルを演じ、2人にとっては「シュリ」以来20年ぶりの共演作となった。朝鮮王朝が明国の影響下にあった時代。第4代王・世宗は、奴婢の身分ながら科学者として才能にあふれたチャン・ヨンシルを武官に任命し、ヨンシルは、豊富な科学知識と高い技術力で水時計や天体観測機器を次々と発明し、庶民の生活に大いに貢献する。また、朝鮮の自立を成し遂げたい世宗は、朝鮮独自の文字であるハングルを作ろうと考えていた。2人は身分の差を超え、特別な絆を結んでいくが、朝鮮の独立を許さない明からの攻撃を恐れた臣下たちは、秘密裏に2人を引き離そうとする。監督は「四月の雪」「ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女」のホ・ジノ。

じゅうたん爆撃のようにファンの財布を直撃する怒涛の50歳バースデイお祝いシリーズ音源も大好評のNY(もしくは高円寺)の鬼才ジョン・ゾーン。

1970年代半ばにNYのダウンタウンの音楽シーンに入り、即興的なアーティストとコラボレーションしながら実験的な音楽を作曲する新しい方法を開発した。1985年にノンサッチ・レコードからエンニオ・モリコーネの映画音楽を過激に再構築した『The Big Gundown』がリリースされ、広く賞賛された。自身が率いるバンド〈Naked City〉、〈Painkiller〉などでパンク・映画音楽・カントリー・フリージャズなどの影響の元さまざまな手法を取り入れた実験的な演奏を行い、そのアルバムに世界から大きな関心が寄せられた。
親日家としても知られ、80年代後半から90年代前半、高円寺に住んでいた時期があり、日本の歌謡曲・映画などにも非常に詳しく、山塚アイ、巻上公一、灰野敬二、吉田達也など、日本のミュージシャンとの共演も多数、日本の音楽シーンに多大な影響を及ぼした。90年代半ばに自身のレコード・レーベル〈Tzadik〉を設立、増え続ける膨大な新曲を録音し、リリースしている。また多くの注目すべき実験音楽・映画音楽・ユダヤ人アーティスト・若手アーティストの作品を多くリリース、プロモーションしている。
自身の出自であるユダヤ文化の研究に取り組み、クレズマーなどユダヤ音楽のアイディアに着想を得て〈Masada〉プロジェクトシリーズとして数百曲を作曲し、マサダ・カルテットやマサダ・ストリングスなどの、ジョン・ゾーンが愛する仲間といくつかのグループで発展しながら演奏されている。
〈John Zorn’s COBRA〉など即興演奏家のためのゲームスタイルを取り入れたゲームピースも多数考案している。
クラシック音楽家のための作品も多数作曲し、Kronos Quartet やニューヨークフィルハーモニーなど世界中のオーケストラやアンサンブルで演奏されている。
ミュージシャンによる作曲プロセスについてのインタビューやエッセイを集めた書籍「Arcana」シリーズを継続して発表し続けている。
また2005年に前衛的なパフォーマンス・スペースであるThe Stoneをニューヨークのダウンタウンに設立、現在もグリニッジ・ヴィレッジのザ・ニュー・スクールで継続して寄付と限定CDの販売のみで運営している。どの作品もプロジェクトも非常にユニークで実験的で思索的であり、膨大な仕事量と作品群は他の追随を全く許さない。世界中の音楽ファンから尊敬され、注目され、影響を与え続ける天才中の天才である。
主な共演者に、マーク・リボー/Marc Ribot、フレッド・フリス/Fred Frith 、マイク・パットン/Mike Patton、ビル・ラズウェル/Bill Laswell 、ビル・フリーゼル/Bill Frisell 、クリスチャン・マークレー/Christian Marclay、アート・リンゼイ/Arto Lindsay、ネッド・ローゼンバーグ/Ned Rothenberg、ジョイ・バロン/Joey Baron、イクエ・モリ/ Ikue Mori 、シロ・パプティスタ/Cyro Baptista など。

John Zones COBRA第8回50期の会ジョンゾーンズコブラ

こうしたユーモアは「コブラ」の一つの醍醐味とも言えるのかもしれない。ユーモアということで言えば、2セット目ではその後、坂口がキーボードの上に短いシールドケーブルをガサゴソと擦りつけるシーンがあり、この音を模してドラムスの秋元修と山本達久が微かな響きをパーカッシヴに立てる一方、コンピュータのokachihoは目元を擦るような仕草で対応。他の場面でokachihoは、サンプリングしたアニメーションのセリフを絶妙なタイミングで流して笑いを誘うこともあった。だがユーモアだけが続くわけでもなく、2セット目の終盤では、この日最も激しかっただろう全員でのノイジーな合奏へと突入し、さらには各メンバーがプロンプターの素早い指示に従って矢継ぎ早に短いフレーズを交代しながら繰り出していくスリリングなシーンへと展開していった。2セット目の最後は山本と秋元がドラムロール合戦のような演奏を行ったあと、巻上公一がゲリラ・システムを受けて着用していたキャップを不意に落とし、会場が笑いに包まれ拍手で締め括られた。

2006年、岩手大学の学生有志と教育学部の山本先生で行ったジョン・ゾーンの即興ゲームピース「コブラ」の盛岡初演。

アマルリックはゾーンに信頼された数少ない映画監督として、2010年から12年にわたり音楽制作の現場に密着し、知られざる彼の生の姿を貴重な映像に捉えてきた。サックスプレイヤー、作曲家、集団即興演奏のプロンプター、NYのライブハウスの芸術監督と、多面的に活躍するゾーンが、ジョン・メデスキや、ネイト・スミス、マーク・リボー、ヒカシューのなど、各国の名だたるアーティストと交流する姿も映されている。

ジョン・ゾーン・インタビュー PAGE-1 取材・文:大場正明

旧ソビエト連邦史上最悪の連続殺人鬼を追う刑事の戦いを、実在の連続殺人犯たちをモデルに描いたサイコスリラー。 1991年、何者かに襲われて怪我を負った女性が森の近くで保護された。女性の証言によると、彼女に怪我を負わせた犯人の手口は3年前に捕まったはずの連続殺人犯のものと酷似しており、3年前の犯人は誤認逮捕だったことが判明。本当の連続殺人犯は10年以上にわたって残忍な犯行を繰り返し、36人を殺害していた。捜査責任者イッサは新たな容疑者アンドレイ・ワリタを追い詰め、尋問をする中で彼こそが真犯人だと確信していく。やがて、ワリタの口から驚くべき真実が明かされる。 本作が長編デビューとなるラド・クバタニアが監督・脚本を手がけ、1978年から90年にかけて50人以上を殺害した容疑で逮捕されたアンドレイ・チカチーロをはじめとする数々の連続殺人犯をモデルに、刑事や精神科医、犯罪学者にインタビューをしながら犯人の人物像を組み立てた。刑事イッサ役に「葡萄畑に帰ろう」のニカ・タバゼ。

ジョンゾーンが高円寺の三畳間に住んでいた頃、大井武蔵野館などで良く邂逅することがあり、フランクに挨拶などして好感を持っていた。

現代の音楽シーンを牽引し続ける音楽家の生誕70周年を記念した特別イベント「JOHN ZORN’S DOCUMENTARY & COBRA」が11月26日、東京・池袋の新文芸坐で開催される。ゾーンと親交の深い日本の音楽家、(ヒカシュー)が主催し、ドキュメンタリー映画3部作の上映後、この日限りのスペシャルメンバーで即興ライブが行われる。

JOHN ZORNS DOCUMENTARY&COBRA公式HP

秘密裏のルールにもとづいてセッションを行うということからは、草創期のビバップを彷彿させるところもある。現在ではコード・プログレッションとアドリブの演奏方法がある程度ルールとして明文化されているため、セッション時になにが行われているのか観客もその気になればそれなりに理解することができるようになっている。だが草創期には、一体なぜアドリブがあのように進行しているのか、全くわからずに聴いていた観客も多くいたのではないだろうか。ただし、ビバップではビバップの音楽のルールが共有されているものの、「コブラ」では一つの音楽の言語を共有しているわけではなく、あくまでもゲーム・システムが共有されているに過ぎない。そこでどのような演奏がされるのか、どんな音を出すのかは演奏家に委ねられており、そのため、決して同じ音楽の言語を共有していなくとも、セッションを成立させることができてしまう。先にも記したように、それが成立するのは、ソロとしても音楽を成り立たせることができるような卓越した即興演奏家であることがまずは大前提としてある。