[PDF] 1.令和3年シーズンのインフルエンザワクチン接種後 ..
副作用等報告の概要 専門委員による評価 1 60代男性 副作用名:気管支肺炎,肝機能異常 間質性肺疾患,脊髄小脳障害の既往歴あり。また,過去にインフルエンザ感染により呼吸機能が悪化した既往歴あり。インフルエンザワクチン接種6日後に心肺停止状態で救急搬送され死亡。 過去にインフルエンザ感染で呼吸機能が悪化した既往があるが,以前にインフルエンザ感染で肺炎を起こした人であっても,ワクチンがアレルゲンとして働く可能性はほとんどない。CRPが高値となっているので何らかの感染も関与していると考えられる。肺炎による死亡と考えられるが,得られたデータからインフルエンザワクチンとの因果関係を積極的に肯定できる所見はない。 2 60代男性 副作用名:発熱,急性心不全 慢性腎不全により血液透析を行っている。ワクチン接種4日後に発熱,白血球数は低下。その翌日に呼吸停止,心停止し死亡。 ワクチン接種による発熱は通常1~2日目に生じる。ワクチン接種4日後の発熱はCRPの値を考えると他の要因と思われる。インフルエンザワクチンは不活化ワクチンであるので,ワクチンによる感染の可能性は考えられない。透析をしているため免疫機能が低下しているところに,何らかの原因で感染を合併したとも考えられる。死因は原病の悪化あるいはワクチンとは関係のない感染による多臓器不全と考えるのが妥当で,インフルエンザワクチンとの因果関係は少ないと思われる。 3 80代女性 副作用名:呼吸困難 基礎疾患に糖尿病,高血圧あり。ワクチン接種3日後,就寝中に呼吸困難,救急搬送され気管内挿管するも心停止し死亡。 ワクチン接種後3日後に呼吸困難,心停止。ワクチンが原因とすれば通常は接種日又は24時間以内に症状が出現することから,ワクチン接種によるショックやアレルギー反応は考え難い。また,ワクチン接種当日に血清クレアチニンが高値であり,何らかの原因により腎不全状態であったと考えられ,それが心停止につながったと考えられる。インフルエンザワクチンとの因果関係は少ないものと考える。 4 70代男性 副作用名:死亡 ワクチン接種13時間後に入浴中に溺水。救急搬送されるも死亡。ワクチン接種から溺水までの経過は不明。 ワクチンによるショックや痙攣であれば接種後の時間が経過しすぎている。インフルエンザワクチンとの因果関係はないと考えられるが情報が乏しく十分な評価はできない。 5 80代男性 副作用名:死亡 基礎疾患に脳血管障害あり。ワクチン接種2時間後に家人が起こしに行ったところ反応なし。緊急往診で心マッサージするも死亡。 時間的経過からワクチン接種との因果関係は否定できない。また基礎疾患である脳血管障害の再発も考えられる。いずれにせよ,解剖を行っていないので死因を特定するのは困難である。 6 90代男性 副作用名:急性心筋梗塞 基礎疾患に大腸癌,貧血,心障害あり。ワクチン接種9時間後興奮状態になり座位,立位が取れなくなり救急搬送。急性心筋梗塞と診断され漸次状態悪化。接種から15時間後に死亡。 ワクチン接種と死亡との因果関係は時間的経過からは否定できないものの,高齢者でかつ種々の重篤な基礎疾患を持っており,副反応の証拠は見出せない。したがって因果関係を特定するのは困難である。 7 50代男性 副作用名:発熱 ワクチン接種2日後に発熱。接種23日後に肺炎,多臓器不全で死亡。 情報が極めて少なく根拠に欠ける。因果関係を評価することはできない。 表3 平成15年度インフルエンザワクチン予防接種における後遺症の症例 No.
ショック,アナフィラキシー,アレルギー反応に伴う急性冠症候群の発生を確実に予知で
副作用等報告の概要 専門委員による評価 1 70代男性 副作用名:片麻痺,構音障害,痙攣,意識レベルの低下 ワクチン接種16日後に左半身麻痺,構音障害,痙攣出現。翌日意識障害が進行。MRIによりウイルス性脳炎と診断。 MRIで右側頭葉に病変があり,ウイルス性脳炎と診断されているが,インフルエンザ不活化ワクチンでウイルス性脳炎を起こすとは考えられない。情報が不足しており判断できない。 2 30代女性 副作用名:横断性脊髄炎 鼻咽頭炎,喘息の既往あり。ワクチン接種前に咳,発熱あり。ワクチン接種時,アモキシシリン,カルボシステイン,d-マレイン酸クロルフェニラミン,アセトアミノフェンを服用中であり,ワクチン接種4日後尿閉。翌日,尿閉は改善せず感覚障害出現。髄液検査及びMRIで急性散在性脳脊髄炎と診断。 感冒症状があり状態の悪い時にワクチンを接種しているので,基礎にあったウイルス感染症が原因で症状が発現したと思われる。しかしADEMはインフルエンザワクチンの副反応として知られており否定はできない。 3 80代女性 副作用名:注射部位疼痛 基礎疾患に高血圧,鉄欠乏性貧血あり。ワクチン接種2日後に,注射部位の腕の運動時に痛みが激しく,腕が上げられない状態となる。湿布等により軽減するも5ヵ月後も疼痛あり。 注射部位の疼痛であるのでワクチン接種との因果関係を否定できないが,客観的データもなく情報が不足しているので因果関係を評価するのは困難である。 4 60代男性 副作用名:洞不全症候群 ワクチン接種翌日より倦怠感あり。接種4日後胸部不快感,痛み,意識消失,呼吸停止,心停止あり。洞不全症候群と診断。 ワクチン接種後の倦怠感は良く見られる副反応である。心筋炎の正確な診断を下すには心電図が必要である。本例では虚血性の心筋障害,それによる洞不全症候群を呈したと思われるが,ワクチンとの関連性は完全には否定できない。 5 60代女性 副作用名:白質脳脊髄炎,意識レベルの低下 基礎疾患に脳障害,シェーングレン症候群,本態性高血圧,不整脈あり。ワクチン接種16日後に頭痛,動作緩慢,食欲低下。発熱,嘔吐,傾眠状態で救急搬送。意識障害が数日続いた後徐々に回復。MRIではADEMの所見なし。 ADEMのMRI所見が接種医と診察医により異なっているが,ADEMと確認できればインフルエンザワクチンの副反応である可能性は否定できない。現時点では情報が不足しているため因果関係は不明である。 (3)インフルエンザワクチンの安全対策 未知の副反応として報告された血小板減少,急性腎不全・ネフローゼ,意識障害,下痢,関節痛,筋痛等について,インフルエンザワクチン副反応検討会を開催し,添付文書の改訂等の必要性について検討を行った。 平成14年度以前に集積された症例も含めて個々の症例を評価した結果,全ての副反応においてインフルエンザワクチンとの因果関係は否定できないものの,重大な副作用の項等に副反応として記載する根拠とするには不十分であり,今回は添付文書の改訂等は必要ないものの,今後とも情報収集に努めることとされた。表4 予防接種実施要領に基づく平成15年度インフルエンザワクチンにおける副反応報告 総数 治癒 死亡 重篤 入院 後遺症 その他 記入無 34 1 1 8 1 17 6 1 即時性全身反応 5 1 4 1A アナフィラキシー 3 1 2 1B 全身蕁麻疹 2 2 2 脳炎,脳症 1 1 3 けいれん 4 運動障害 5 その他の神経障害 6 4 2 6 局所の異常腫脹(肘を越える) 7 全身の発疹 5 3 2 8 39°以上の発熱 1 1 9 その他の異常反応 4 1 1 1 1 10 基準外報告 12 2 1 6 3 10A 局所反応(発赤腫脹等) 7 1 1 3 2 10B 全身反応(発熱等) 2 1 1 10C その他 3 2 1 目次へ2.塩酸チクロピジン製剤とCypherステントの市販後安全対策について 塩酸チクロピジンの安全対策については,医薬品等安全性情報No.156(平成11年8月号)及び緊急安全性情報(平成11年6月30日,平成14年7月23日)において適正使用をお願いしてきたところであるが,今般,Cypherステントの承認に伴い改めて注意喚起することとした。 塩酸チクロピジン製剤とCypherステントの適正使用については,平成16年7月30日付薬食審査発第0730001~5号,薬食安発第0730001~5号及び薬食総発第0730001号において,当該ステントを用いた冠動脈ステント治療の安全対策のため,関係企業に対して,適正使用の徹底を通知するとともに,都道府県,関係学会及び関係団体に対して協力依頼・周知をお願いしたので,当該通知の内容を紹介し,改めて医療関係者に注意喚起することとした。(1)概要 2004年3月に薬剤溶出型冠動脈ステント「Cypherステント」(承認番号21600BZY00136)が承認された。当該ステントは,国内初の薬剤溶出型冠動脈ステントであり,従来型冠動脈ステントと比較すると次のような特徴がある。(1)冠動脈ステント表面にコーティングされた薬剤の薬理作用により,冠動脈の内膜の再狭窄を低減。(2)細い血管(2.5mmクラス)にまでステント治療が可能。 ステント治療には抗血小板療法を行うことが必須で,当該ステントに係る標準的な抗血小板療法の期間は,承認申請された試験データをもとに,従来型の冠動脈ステント治療における標準的な抗血小板療法期間(1ヶ月程度)より長い3ヶ月と設定され,当該療法に際しては,塩酸チクロピジン製剤の使用が推奨された。 従来から,医療関係者等に対しては塩酸チクロピジン製剤による血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)や無顆粒球症等の重篤な副作用の発現防止のための適正使用の徹底をお願いしてきたが,当該ステントの販売開始に当たって,関係企業に対して,適正使用の徹底について通知するとともに,都道府県,関係学会及び関係団体に対して適正使用の推進に係る協力依頼及び周知をお願いしている。(2)塩酸チクロピジン製剤及びCypherステントの適正使用のお願い 塩酸チクロピジン製剤に係る血栓性血小板減少性紫斑病(TTP),無顆粒球症,重篤な肝障害等の重大な副作用を防止するため,当該ステントの添付文書に次の警告を記載している。この点に御留意いただき,塩酸チクロピジン製剤及び当該ステントの適正使用をお願いする。<警告>(1)冠動脈造影法,PTCA,冠動脈用ステント留置術,抗血小板療法に十分な経験を持ち,本品に関する所要の講習を受けた医師が使用すること。(2)留置から1年を超える長期予後は現在のところ十分な確認はされていないこと,留置後の抗血小板療法である塩酸チクロピジン製剤の投与が,薬剤塗布のないベアメタルステントに比べて長期にわたって必要であり,塩酸チクロピジン製剤による出血及び重篤な副作用の発現のリスクが高まること等を踏まえ,本品の使用に当たっては,各患者における利点とリスクを考慮し,使用患者を慎重に選定すること。患者の選定に当たっては,病変部(血管)の位置,対照血管径,病変長とその特徴,急性又は亜急性血栓症により危険にさらされる心筋領域の大きさを考慮すること。(3)使用前に,本品の特性(利点とリスク)とともに,留置後の抗血小板療法に伴うリスク等について患者に十分に説明し,理解したことを確認した上で使用すること。留置後,胸痛等の虚血症状が見られる場合は,医師に連絡するよう十分指導するとともに,特に塩酸チクロピジン製剤の投与については,生命に関わる重篤な副作用が発生する場合があることを説明し,以下について患者を指導すること。 ア)投与開始後2ヶ月間は定期的に血液検査を行う必要があるので,原則として2週間に1回,来院すること。 イ)副作用を示唆する症状が現れた場合にはただちに医師等に連絡すること。 (4)留置後は定期的なフォローアップを行うとともに,使用に当たっては,適切な抗血小板療法,抗凝固療法を行うこと。特に抗血小板療法については,留置時に十分に効果が期待できる状態になるよう,十分な前投与を行うこと。なお,塩酸チクロピジン製剤の投与においては,血栓性血小板減少性紫斑病(TTP),無顆粒球症,重篤な肝障害等の重大な副作用が,主に投与開始後2ヶ月以内に発現し,死亡に至る例も報告されているので,以下の点に十分留意すること。 ア)投与開始後2ヶ月間は,特に上記の副作用の初期症状の発現に十分留意し,原則として2週間に1回,血球算定(白血球分画を含む),肝機能検査を行い,上記副作用の発現が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと。本剤投与期間中は,定期的に血液検査を行い,上記副作用の発現に注意すること。 イ)本剤投与中,患者の状態から血栓性血小板減少性紫斑病,顆粒球減少,肝障害の発現等が疑われた場合には,必要に応じて血液像もしくは肝機能検査を実施し,適切な処置を行うこと。 ウ)投与開始後2ヶ月間は,原則として1回2週間分を処方すること。 (5)患者の生命に関わる合併症が発生した場合のため,冠動脈ステント留置術は,緊急冠動脈バイパス手術が迅速に行える施設のみで行うこと。(3)塩酸チクロピジン製剤の服薬指導時のお願い 服薬指導時に次の点に御留意いただくようお願いする。(1)塩酸チクロピジン製剤を処方された患者の薬剤服用歴の確認,以下のような自覚症状を認めた際の主治医への迅速な受診の勧奨等適切な服薬指導等を実施すること。 a)発熱 b)のどの痛み c)鼻や歯ぐきからの出血 d)血尿又は尿の着色(茶色) e)あざができる(紫色,赤色) f)皮膚や目が黄色くなる g)湿疹 h)食欲不振 i)意識低下 j)重篤な疲労感(2)塩酸チクロピジン製剤が新規に投与される患者の場合,必要に応じて,投与開始後2ヶ月間は,原則として2週間に1回受診し,血液検査を受けているかについて,患者への確認,疑義照会等を行うこと。(4)企業に対する指導の概要 当該ステントを用いた冠動脈ステント治療の安全対策のため,関係企業に対して,適正使用の徹底を通知している。(1) Cypherステントの適正使用について ア)(2)の<警告>を添付文書に記載すること。 イ)患者手帳及び説明同意文書を整備し,これらを用いて患者へのインフォームドコンセントが適切に行われるよう医療機関への情報提供を徹底すること。 ウ)当該ステント治療中に患者が転院する場合に,転院先の主治医に対して,当該患者が当該ステントを用いた治療中であること等の情報を的確に伝達することができるよう適正な情報提供文書等を作成し,当該ステントを販売する全ての医療機関に配布すること。 エ)当該ステントの適正使用のための講習会や医局説明会等を実施し,終了した医療機関のみに販売を限定すること。 オ)定期的に訪問し,患者手帳等が適切に管理されているか確認等すること。 (2) 塩酸チクロピジン製剤の適正使用について 塩酸チクロピジン製剤を使用,処方する全ての医療機関及び調剤薬局に対して,当該製剤の警告内容等について,周知徹底すること。(5)最後に Cypherステント留置患者においては,従来型の冠動脈ステント留置患者より,塩酸チクロピジン製剤を長期間服用することが推奨されていることから,塩酸チクロピジン製剤の副作用発生リスクが増加する恐れがある。医薬関係者においては,より一層の適正使用に努めていただくとともに,塩酸チクロピジン製剤の副作用又はCypherステントの不具合を入手した際には,薬事法77条の4の2第2項の規定に基づき,厚生労働省医薬食品局安全対策課に報告をお願いする。目次へ3.重要な副作用等に関する情報 前号(医薬品・医療用具等安全性情報 No.204)以降に改訂を指導した医薬品の使用上の注意のうち重要な副作用等について,改訂内容,参考文献等とともに改訂の根拠となった症例の概要に関する情報を紹介いたします。【1】 タクロリムス水和物(経口剤,注射剤) 販売名(会社名) プログラフ顆粒0.2mg,同顆粒1mg,同カプセル0.5mg,同カプセル1mg,同カプセル5mg,同注射液5mg(富山フジサワ) 薬効分類等 他に分類されない代謝性医薬品 効能効果 (1)下記の臓器移植における拒絶反応の抑制 腎移植,肝移植,心移植,肺移植 (2)骨髄移植における拒絶反応及び移植片対宿主病の抑制 (3)全身型重症筋無力症(胸腺摘出後の治療において,ステロイド剤の投与が効果不十分,又は副作用により困難な場合)(プログラフカプセル5mg,同注射液5mg除く) 《使用上の注意(下線部追加改訂部分)》 [副作用(重大な副作用)] 膵炎:膵炎があらわれることがあるので,定期的に検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には,減量・休薬等の適切な処置を行うこと。 〈参 考〉 企業報告 NO.
Influenzaeの胆嚢炎
いくつかの症例報告がある。Hib、NTHi両方で報告されている。 【耐性の機序】
①β-ラクタマーゼ産生 (TEM-1と ROB-1のいずれか)
②fts-1遺伝子の変異(ペニシリン結合蛋白3の変化によりアンピシリン・アモキシシリンに耐性となる。アメリカでは稀だが日本で多い)
β-Lactamase Producing Ampicillin Resistant (BLPAR) ① AMPC/CVA ABPC/SBTで治療可能
β-lactamase negative and ampicillin resistant (BLNAR) ② AMPC/CVA ABPC/SBTに耐性。
β-Lactamase Producing Amoxicillin/Clavulanate Resistant (BLPACR) ①+②両方の耐性機序を持つ。 【治療】
(参考分献)このサイトの監修者 亀田総合病院
臨床検査科部長、感染症内科部長、地域感染症疫学・予防センター長 細川 直登
【専門分野】
総合内科:内科全般、感染症全般、熱のでる病気、微生物が原因になっておこる病気
感染症内科:微生物が原因となっておこる病気 渡航医学
臨床検査科:臨床検査学、臨床検査室のマネジメント
研修医教育