2024防府航空祭「陸自攻撃ヘリ AHー1Sコブラ機動飛行‼」


画角が広いから、俳優を映す画面の両端でエルロンやラダーが動いていて、「飛行機が本当に飛んでいて、空気を受けているぞ」というのがありありと感じました。ほかの映画だとけっこう省略されるところでしょうし、実際の軌道に合わせてCGを作ると機体が横に傾いたとしてもエルロンとかが稼働してないこともあると思うんです。実機で撮影していることで整合性が保たれていることがすごいですよね。あとは、ちゃんと乗って撮影していることで、Gを感じて呼吸が変わる点も映し出されていました。フッフッと出産するときのような特殊な呼吸法をしたり、表情が変わったりして。役者である彼らが体験した本物の訓練が効いているんじゃないかと思います。実機も本物だし、受けているGも本物、そしてそれが撮影されているということが何より特徴的ですよね。実際のコンバットマニューバが行われている映像としては「トップガン マーヴェリック」は一番クオリティが高いものだと思います。


ドッグファイトシートを使って、コブラ機動の急減速による接近を再現

飛行機の側方からカメラを向けて、回転させながら去っていくシーンが観られましたが、そこってアニメでやっても映画でやってもカッコいいですよね……。

実はそこが少し気になっていて。例えばさっきお話に出たブラックバードのような偵察機が登場したときに、これは懐古趣味ではないというか、「前作を観た人たちが過去を懐かしむことを善とする作品ではないのかな」と思ったんですよ。飛行機ってカッコいいし、ロマンがあるよねって話でもあると思うんですが、人間ドラマでもあるんですよね。そこは若い世代にも満足してもらえるんじゃないでしょうか。

空中戦闘機動に関するトピックを扱うカテゴリ。 カテゴリ「空中戦闘機動」に ..

今後は無人機に置き換えるかもしれないって話が冒頭でありましたけど、有人機でマッハ10を越えるなんていうのはもともとが少しバカげた話ですよね。そもそもそんなに速い飛行機に人を乗せる理由もなくなってくるんですけど、じゃあ人間が飛行機を飛ばす喜びがなくなったかと言えば、そうではないと思うんですよ。実際、手のひらぐらいのドローンを飛ばすレースでは、ラジコン的に飛んでるドローンを見て操作するんじゃなくて、ゴーグルを付けて飛んでるドローンの目線でレースをするんだそうです。

コブラ機動(プガチョフコブラ)は、出現当時から、「対抗機は、オーバーシュートしてしまう。」「いや、単なるデモンストレーション用の機動であり、実戦では役に立たない。」との両方の意見がありました。
そこで、ドッグファイトシートを使って、定量的な再現を試みます。

【DCS解説】Su-27フランカー コブラ機動チュートリアル!

まず、空戦機動の1つにコブラと呼ばれるものがあって、高度を変えずに機首を上げることによって、空気抵抗を受けて一瞬で減速するんです。自分が追いかけられてるときにそれをすると、後ろの飛行機を前に行かせることができるんですよ。今作でも序盤から観られるんですが、「しょっぱなからエグいのかましてくるなあ」と思いました(笑)。空中戦って敵の上や後ろを取ることでしたり、旋回能力の差とかが勝敗を決めるんですよね。そういう場面を描いてくれることがすごくうれしいです。


プガチョフコブラ(コブラ機動)についての資料を何点か、

『「次の機動は”プーガチョフ・コブラ”で、高度10,000ft(3,030m)、速度220kt(407km/h)から始まった。85%のパワー・セッティングのままで急激に操縦桿を引き、姿勢を90°近くにした。最大姿勢角を採った後の指示速度は83kt(154km)であった。」』

コブラ(クルビット)と呼ばれるマニューバ(飛行技法)についてです。 画像1 ..


これらから、ドッグファイトシートで再現する開始速度、コブラ後の速度、コブラ実施時間を決めます。
開始速度は200kt程度(M0.3なのでエネルギー機動からは、よろしくない状態)。コブラ後の速度は、デモンストレーションではなく実戦ならば100kt程度が妥当と(素人)判断。コブラ実施の時間は、3秒の前後を含めてトータル時間5秒とします。

コブラ機は、形勢の逆転を狙い”コブラ”機動、コブラにより速度は200ktから100ktへ減速。コブラ機と対抗機との速度差は100ktになり、コブラ機は100kt≒50m/sの接近率で、後方の対抗機へ”向かい”ます。
500m接近し横並びになるまでには10秒間を要し、対抗機がコブラ機をオーバーシュート、コブラ機が対抗機へGUN射撃可能な位置につくのは、コブラを開始してから20秒後。


F-18のコブラ機動について(MSFS2020)これはコブラ機動になってますか? ..


距離がほぼ無い状態でコブラをすれば、真横を通り過ぎる新幹線にように、一瞬でビュワーんとなります。
が、その前段階で対抗機は射撃が成功しなくミニマムレンジに入りそうになるなら、離脱を想定しているでしょう。
そもそも、ジェット機のドッグファイトで、対抗する2機が、反航ではなく同航でミニマムレンジ以内に接近する状況が発生するものなのでしょうか?(コブラを意図してミニマムレンジ同航になるよう仕掛ける?)
と、コブラが成功するには、する前のお膳立てと、した後の思惑通りの対抗機の動きが必要です。

専門家にとって、この機動は実際の空中戦で役立ちますが、映画で見られる ..


当ブログでは、コブラ機動を成功させるのは、操縦者の腕ではなく、脚本家の腕との結論です。