トレチノイン(ベサノイド)は急性前骨髄球性白血病に対し、病気の原因となる分子に作用することによって白血病細胞を成熟させ、がん化を抑えます。


米国食品医薬品庁(FDA)の公表する、イソトレチノイン(アキュテイン)に関する患者向け情報より抜粋


添付文書に精神的な副作用の表示がなされることが合意されました3。 大規模なコホート研究

参考:iPLEDGEプログラム(米国食品医薬品庁(FDA)がイソトレチノインのリスク管理のために製造販売業者に求めているプログラム)の患者向け資材

イソトレチノインは炎症をともなう重症ニキビ(難治性ニキビ)に対して非常に高い効果があります。スイスの製薬会社ロシュが開発したもので、海外では古くから重症ニキビ治療薬の第一選択として使われています。イソトレチノインの商品名としてアキュテイン、ロアキュタン、ロアキュテイン、アクネトレントなど複数あります。
皮脂腺の分泌を抑制し、皮脂腺そのものを小さくさせる効果があります。治療効果の高さだけでなく、再発しにくく長期寛解が期待できるという特徴も兼ね備えています。顔面のみならず、背中や胸のニキビに対しても優れた効果を発揮します。医療に絶対などということはありませんが、難治性の重症ニキビに対してほぼ確実に効果があると言われています。しかし、日本では保険適応がないため自由診療になります。費用はかかりますが、それだけの価値は十分にあります。
重症ニキビが長引くとニキビ瘢痕が形成されることがあり、かつニキビ瘢痕の治療は非常に難しいことが知られています。ニキビ瘢痕の治療は近年、自由診療のフラクショナルレーザーという分野で急激に進歩しているようですが、費用も時間もかかります。予防に勝る治療法はありません。

4) オルセノンR軟膏 0.25%添付文書,2009 年 6 月改訂(第

1日の投与量は0.5mg/kgです。例えば体重50kgであれば1日の投与量は25mgとなります。食中または食後に内服してください。空腹時に内服してはいけません。治療期間は6ヵ月間(24週間)が目安です。服用開始してから最初の1ヵ月で一時的に症状が悪化する場合がありますが、自然に改善するのを待ちましょう。次第に落ち着きます。投与前に血液検査を行います。健康診断など直近の採血データを持参いただければ代用できます。再発または効果不十分の場合には最低8週間以上の間隔を空け2回目の治療を行います。

※うつ病などの精神疾患があっても当院では治療可能です。詳細は診察時にご相談ください。

漢方薬で甘草が入った処方には、必ず添付文書に「むくみ」「倦怠感」など ..

当院ではイソトレチノイン以外にスピロノラクトンによるホルモン治療も行っています。作用メカニズムの観点から女性のみ対象となりますのでご注意ください。スピロノラクトンは利尿薬や心不全治療薬として使われる薬剤ですが、抗アンドロゲン作用があり男性ホルモンを抑え、ニキビに対して高い有効性があることが知られています。イソトレチノインほどではありませんが、通常の保険治療よりも強力な治療効果が期待できます。また安全性が高く、イソトレチノインよりも治療費を抑えることができます。デメリットとして効果が現れるまで多少時間がかかり、中止後は再発しやすいことです。内服4カ月(早ければ1~2カ月)で徐々に効果が現れ、1年後の有効率は95%以上です。

なお、電解質異常や急性腎不全も副作用としてあげられていますが、実際には持病がなく、ニキビを生じるような若い方にそのような症状が生じることはほとんどありません。もし口喝が生じたりしたら、水分摂取を習慣づけてもらえば十分です。

[PDF] 急性前骨髄球性白血病治療剤 トレチノインカプセル

ほぼ同じだと思われがちですが、よく考えてみると両者は異なることに気がつきます。重症ニキビに対してベピオゲルやデュアックゲルなどの標準治療を適切に行えば、それなりの効果が得られ、やがて軽度~中等度の症状に落ち着きます。しかし、そこからなかなか良くならず治療が長期におよぶ場合があります。つまり症状は軽度~中等度であるが、難治性のニキビというわけです。そのようなケースではやはりイソトレチノイン内服が推奨されます。重症でなければ適応外などという保険診療にありがちな処方制限がないのが自由診療のメリットです。

中等度のニキビ患者638名にイソトレチノインを1日20mg(低用量)投与したところ、12~20歳の患者で94.8%、21~35歳の患者で92.6%が良好な結果が得られたと報告されています(文献1)。重症ニキビはもちろん、中等度ニキビにも優れた効果を発揮します。中等度ニキビに対するイソトレチノイン低用量での内服治療は、患者満足度が高く、かつ副作用の少ない最適な治療法であると報告されています(文献2)。ただし低用量だと再発率が高くなるという意見もあるため注意深い経過観察が必要です。


[PDF] 褥瘡・皮膚潰瘍治療剤 〈トレチノイン トコフェリル軟膏〉

②中等度ニキビではイソトレチノインは低用量でも十分な効果が期待できるが、再発率が高くなる可能性がある

ある。医療現場で医師・薬剤師等の医療従事者が日常業務に必要な医薬品の適正使用情報

一方でイソトレチノインは皮脂腺を退縮させる作用があるため、再発を抑えることができ、かつ再発しても症状は軽度で済みます。ただし、再発率は文献によってかなりのばらつきがあるためあまり参考になりません(そもそも再発をどのように定義すべきかという問題があります。定義が変われば再発率も変わります)。再発率はイソトレチノインの投与量、投与期間、併用薬の有無、重症度、年齢、性別など様々な要素が関与するため一概には言えませんが、おおむね30%程度と考えておけば良いでしょう。Quéreuxらは再発率が高くなる患者背景として、年齢が若いこと、家族歴があること、胸や背中にもニキビがあることを挙げています(文献1)。これらに該当する場合には投与量を多くすることが望まれます。なお、最新のメタアナリシスによれば再発率を下げるにはイソトレチノインは低用量ではなく、通常量が推奨されています(文献2)。

また、0.5%トレチノイン トコフェリル軟膏(本剤の2倍濃度の

海外では中等度~重度のニキビに対するイソトレチノインは第一選択として位置づけられおり、世界のスタンダードなのです。すでにお気づきのように日本のニキビ治療は海外に比べて大きく遅れています。当院でイソトレチノインを希望される患者さんの重症度はそれほど高くはない印象です。むしろ中等度で再発率の低い治療を希望される方が多いようです。難治性ニキビはもちろん、治療満足度が低い場合にも有力な選択肢です。当院ではマニュアル通りに処方するのではなく、イソトレチノインの最適な内服量や使用法を提示します。また副作用を軽減させるための対策も説明します。

軟膏剤)を1日1回平均5.8g、皮膚潰瘍患者4例に7ないし15日間

スピロノラクトンは降圧剤ですが、成人女性のニキビに高い有効性があることが知られています。米国FDAからニキビ治療薬として認可を受けていませんが、中等度以上のニキビに対して海外のガイドラインでも推奨されています。1日50~200mg内服するのが効果的であり、皮脂の分泌を抑える作用もあると報告されています(文献1)。しかし、イソトレチノインに比べて中止後の再発率が高いことからも、皮脂腺の退縮作用があるかどうか明確ではありません。

したがって、この医薬品を使用するときに特に知っていただきたいことを、医療

スピロノラクトンは長期安全性が高い薬ですが、生理不順などの副作用が用量依存性に起こる場合があり、長期継続するには低用量の方が無難です。近年、スピロノラクトン少量内服とベピオを併用することで良好な結果が得られたと報告されています(文献2)。別の見方をすれば、ベピオやデュアックゲルなどで効果不十分な場合でも、スピロノラクトンを少量追加することで良好な結果が得られる可能性があります。

べサノイド(一般名トレチノイン)は、レチノイン酸というビタミンAの誘導体です。 ..

また中等度以上のニキビに対してミノサイクリン(ミノマイシン)などの抗生剤内服が行われることがありますが、スピロノラクトンと抗生剤内服はほぼ同等の治療成績であることが報告されています(文献3)。ただし、抗生剤は炎症のあるニキビには有効ですが、微小面皰には無効であり、また耐性菌を生み出す可能性があるため、診療ガイドラインでも長期使用は推奨されていません。治療を止めれば再発率100%です。したがって抗生剤を不規則かつ長期内服するくらいならスピロノラクトンを長期内服する方がよほど理に適っています。最後にもう1点付け加えておくと、抗生剤はミノサイクリンよりもドキシサイクリンの方が推奨度が高く、当院でも主にドキシサイクリンを処方しています。

0.5%トレチノイン トコフェリル軟膏(本剤の2倍濃度の軟膏剤)10g.

重症ニキビに対する最高の治療法はイソトレチノイン内服です。しかし、適切な使用方法を知らないで治療を行うと、有効率が低くなり、再発率も高くなります。最大限の効果を得るための作戦を立てることが重要です。

イソトレチノインはざ瘡の治療薬として米国で使用されている.本邦では適応 ..

各国のガイドラインごとに推奨される量に差がありますが、体重に応じて投与量は変わります。例えば欧州ガイドラインでは投与量0.3~0.5mg/kg/day(最重症型では0.5mg/kg/day以上)を推奨しています。一方で米国ガイドラインでは最初の1カ月間は0.5mg/kg/day以下で開始し、その後は最大1mg/kg/dayまで増量することを推奨しています(体重60kgの場合、0.5mg/kg/dayで計算すると投与量は1日30mgになります)。治療期間については欧州ガイドラインでは最低6ヵ月間、Gollnickらは16~24週間以上を推奨しています(文献1)。明確な治療期間を設定するのではなく、ニキビ完全消失後からプラス1ヵ月間の投与が最も合理的とする意見もあります(文献2)。以上より治療期間は状況次第と考えてよいと思われますが、添付文書には6ヵ月間と記載されています。また内服開始後の一時的な増悪(フレア)予防のため、初期開始量を0.2mg/kg/day以下に抑えることを推奨する意見もあります(文献3)。

トレチノイン療法においてトレチノイン耐性に対する対策が急がれる中、より ..

トータルの投与量について米国ガイドラインでは120~150mg/kgを推奨しています。この量になると十分な効果が得られるというのがその根拠です。前述のように体重60kgで1日30mg内服するならば120mg/kgを達成するには240日(8ヵ月)かかるという計算になります。一方で欧州ガイドラインでは累積投与量に関しては根拠がないとしています。他国のガイドラインに比べ米国ガイドラインではより高用量を推奨している印象です。また欧米人に比べ、日本人では投与量は少なくても良いとする意見もあるようですが、明確な根拠はありません。各国のガイドラインにややばらつきがあるのは重症ニキビの分類基準が異なることが1つの要因と考えられます。

・イソトレチノイン、トレチノイン製剤、ビタミンAでアレルギーを起こしたことのある方

①初期投与量0.5mg/kg/day以下で開始し、状況に応じて増量を検討する

all-trans-レチノイン酸 all-trans-Retinoic Acid

1982年~2000年までの間にイソトレチノイン内服治療を受けた患者で431例のうつ病、自殺/自殺企図/自殺念慮があったことを米国FDAが報告しました(文献1)。このうち実際の自殺者は37名(男性31名、女性6名)、年齢の中央値17歳で若い男性に多かったことが報告されています。米国FDAは警告を発し、1998年より添付文書に精神疾患がある場合は慎重に投与すべきと記載されるようになりました。しかし、イソトレチノイン内服治療と精神疾患との因果関係は不明な点が多く、今日まで多くの論争があります。

添付文書(以下、添付文書)が

海外の研究では思春期の重症ニキビはメンタルに悪影響を及ぼし、生活の質を著しく低下させ、自殺念慮を引き起こす頻度が男性で3倍以上、女性で2倍以上になると報告されました(文献2)。しかし、近年のメタ解析ではイソトレチノイン内服治療によってうつ症状が著明に改善され、うつ病のリスク増加と関連しないことが示されました(文献3)。また、台湾においてイソトレチノイン内服治療患者29,943名を調査したところ、治療期間が長期に及んだり投与量が多くなっても、精神障害を起こすリスクは上昇しなかったと報告されました(文献4)。同じアジア人での研究結果は重要な意味を持つと考えられます。

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さらに2023年の最新の世界的なコホート研究でも自殺やうつ病のリスクを上昇させないことが報告されました(文献5)。この研究ではイソトレチノイン内服群と抗生剤内服群とを比較し、カプランマイヤー曲線を用いてイソトレチノインを内服した方が自殺率が低くなることが証明されました。ただし、この論文にはいくつかの批判もあります。例えば両群の患者背景(特に精神疾患の重症度)が異なることや観察期間が長すぎるなどバイアスがあると指摘されています(文献6)。これに対してKridinらは、重症ニキビ患者はもともと精神疾患を抱えるリスクが高く、むしろイソトレチノインの安全性を過小評価していると反論しています。また2024年の最新のメタ解析でもイソトレチノインは自殺や精神疾患のリスクを高めることはなく、むしろ治療後2~4年で自殺企図のリスクが低くなると結論づけられています(文献7)。