重篤な欠乏症では不可逆的な脳・臓器障害を来すことが多く、低血糖による昏睡などで死に至ることもあります。
(1)糖尿病患者は易感染性なので、外科処置を行う際には術前に局所の除石処置、消炎処置を行うこと。また、術前2時間前に通常投与量のアモキシシリン(サワシリン等)を投与してもよい。
(2)歯科開業医で外科処置を避けた方が良いケースとしては、①1型糖尿病患者に対する比較的大きな侵襲の観血的処置、②糖尿病治療の中断もしくは治療がなされていない場合、③HbA1cの値が7.0%台なら注意が必要、8.0%台は避けた方が良い。
(3)ニューキノロン抗菌剤(クラビット等)やNSIDs(非ステロイド性消炎鎮痛剤、ロキソプロフェン等)と糖尿病薬のスルホニル尿素薬(アマニール等)を併用すると作用が増強し、低血糖をきたす事がある。
(4)低血糖症の対処法。意識がある場合は砂糖を10gまたはブドウ糖を含むジュース150~200mlを与えるとよい。しかし、歯科開業医で低血糖の判断は難しい。このため、診察時に食事を摂ったかどうかを確認しておくことが大切である。
(5)エピネフリン含有の歯科用カートリッジ麻酔薬の使用について。エピネフリンのβ2作用により肝臓ではグリコーゲンが分解し、嫌気的解糖が進む。その結果、血糖値が上昇するので、糖尿病患者への使用は原則禁忌とされている。しかし、エピネフリンを含まない麻酔薬は効き目が弱い場合が多く、患者は不安や痛みによって体の中でエピネフリン(内因性カテコルアミン)を産生する。この内因性カテコルアミンの量は麻酔薬に含まれているエピネフリンの量の数百倍にあたり、これによって血圧が一気に上昇し脳血管障害を引き起こす危険性がある。エピネフリンを含んだ麻酔薬を糖尿病患者に使用する際には、愛護的にゆっくりと時間をかけて麻酔薬を注入し、薬剤の効果が十分現れるまで5~6分待ってから外科処置を行うのが望ましい。
糖尿病患者、腎機能障害者は低血糖のおそれがあります。 キノロン系の ..
愛知学院大学歯学部附属病院では、抜歯後術後感染予防の抗菌剤投与は①サワシリン(アモキシシリン・合成ペニシリン製剤)、②ケフラール(セファクロル・セファム系抗生物質)、③ダラシン(クリンダマイシン・リンコマイシン系抗菌剤)の3剤から選択している。服用後の血中濃度や耐性菌の観点から第三世代セフェム系抗生物質(フロモックス、バナン、メイアクト等)は、術後の感染予防としては投与していない。
薬の味は、小児の服薬アドヒアランスに影響を与える重要な要素
ピボキシル基を持つ抗菌薬には、低カルニチン血症・低血糖のリスクがある
「飲みやすい薬に変えてあげたい」という感情だけで対応すると、患者に不利益を与える可能性がある
※注意:ピボキシル基を有する抗菌薬による低カルニチン血症と低血糖について.
インスリンの作用不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝性疾患群のこと。日本での糖尿病有病者(糖尿病が強く疑われる人)の割合は、男性で19.7%、女性で10.8%である。1型糖尿病は主に自己免疫機序による膵β細胞の破壊によりインスリンが絶対的に欠乏して発症する。一方、2型糖尿病は、自覚症状がないまま徐々に病態が進行し、血糖値やHbA1cの異常が指摘されて初めて診断に至るケースが多い。
糖尿病の合併症として①糖尿病性腎症(人工透析が必要)、②糖尿病性網膜症(失明原因の第1位)、③糖尿病性神経障害(歯科では、麻酔や抜歯後に神経麻痺が起こることがある)、④心筋梗塞、⑤脳梗塞があげられる。
日本では第三世代のセフェム系抗生剤の5日投与という方法をされている先生もいますが、まだ国際的には認められているものではないと思いますし、個人的な意見としては第三世代のセフェム系を安易に使用しない方が良いと思っています。この抗生剤にはまだリュウマチ熱を予防できるというエビデンスがないこと、また抗生剤に含まれるピボキシル基の副作用で低カルニチン血症があるためです。カルニチン欠乏症は、筋肉症状(筋肉痛、ミオパチー、筋肉壊死など)、低血糖、脂肪肝などの脂肪蓄積、脳症、高アンモニア血症(肝性脳症)、心筋症・心不全などを引き起こします。 重篤な欠乏症では不可逆的な脳・臓器障害を来すことが多く、低血糖による昏睡などで死に至ることもあります。
けている糖尿病患者では低血糖を起こすことがあるので空腹時の歯科診療は避けること,低血糖が疑われる
またソルビトールや果糖を含有する静脈点滴製剤では、「遺伝性果糖不耐症の患者」に投与した場合、▼低血糖▼肝不全▼腎不全―などが誘発される恐れがあり慎重投与が求められる―。
・ピボキシル基を有する抗菌剤(セフカペンピボキシル(フロモックス)、セフジトレンピボキシル(メイアクト)、セフテラムピボキシル(トミロン)、テビペネムピボキシルなど)
:低カルニチン血症(小児で低血糖、痙攣、脳症を起こす)の副作用あり。テビペネムピボキシル(オラペネム)は7日間までの処方制限あり
低血糖、けいれん、脳症を起こし後遺症に至った症例が報告されている
▽【慎重投与】の項に、新たに「遺伝性果糖不耐症の患者」(本剤の添加剤D-ソルビトール(またはソルビトール)が体内で代謝されて生成した果糖が正常に代謝されず、▼低血糖▼肝不全▼腎不全―などが誘発される恐れあり)を追記する
▽【慎重投与】の項に、「遺伝性果糖不耐症の患者」(本剤の添加剤果糖が正常に代謝されず、▼低血糖▼肝不全▼腎不全等が誘発される恐れあり)を追記する
低血糖:低血糖及び低血糖症状(脱力感,倦怠感,高度の空腹感,冷汗,顔面蒼白,動悸,振戦,頭痛,
*アモキシシリン(AMPC サワシリン){A・Ⅳ}
1回250mg 1日3~4回
小児 1回10~15mg/kg 1日3回
低血糖が疑われた場合には、普段血糖測定されている方はすぐに血糖測定を ..
小児にピボキシルを投与した際、低カルニチン血症(主として低血糖)の発生があると、PMDA (厚生労働省所管の独立行政法人)でから警告がでています
1, 44頁・19行目, 低血糖が疑われる場合,ジアゼパム静注に先立ち,ビタミンB1 100㎎と50%ブドウ糖液50mLを静注する
注 カルニチンは脂肪酸でエネルギーで産生しようとする時、ミトコンドリア内部に運搬する役割を担います。つまりブドウ糖の使い過ぎで低血糖となります。長期投与だけではなく 投与した翌日でも起こります。
水やお茶よりも、OS-1®などの経口補水液やイオン飲料のほうが低血糖や低ナトリウムの予防になります。 ..
第3世代セフェム系抗菌薬のなかで、セフカペンピボキシル:フロモックス®、セフジトレンピボキシル:メイアクト®などピボキシル基がついているものは長期に使用するとカルニチンを消費してしまいになることが分かってきました。カルニチンは脂肪酸をアシルカルニチンにβ酸化してエネルギーを得るために使われるため、長期にピボキシル基がついた抗菌薬を使用すると、脂肪からエネルギーが作れず、糖を消費してしまい低血糖を引き起こしてしまいます。