同人誌通販のアリスブックス。サークル【ガラコン】さんの作品『キッドコブラ(3P ..


ってことだと思うんですね。

小寺 そうかー。これまでやったこともない部分に、いきなり人を雇ってマネージメントをやってもらって何ができるか、っていうところはありますね。ノウハウもないし、ってことか。

古瀬 ええ。うちはほぼ寺沢武一専業なんですけども、漫画家さんのバックアップをしますよ、というような会社は、ここ数年でいくつか出てきてるみたいですけどね。

■二次創作が進行する流れ

小寺 二次著作としてはほかに考えられるものとしては、さっき食玩という話がありましたけど、あとカードみたいなものですか。

古瀬 まあそうですね。

小寺 あとはフィギュアがあって……

古瀬 我々からすると、フィギュアみたいなのはおもちゃ系ですね。あともうひとつは、映像系。アニメとかの映像系は、非常に我々からすると強い力を持ってますね。というのは、そこから派生して、という伝播力がアニメとかは強いので。

小寺 なるほど。

古瀬 『コブラ』の場合も、1982~3年に、テレビシリーズと映画。それがまたフランスでも放映されてけっこうヒットして、っていう状況だったので、それでジャンプを読まない人たちもずいぶん届いた。その結果、この何十年もこのビジネスが続いてる、ということだと思います。アニメとか映像化は、我々は非常に大きい期待を持ってますね。あと、最近だとデジタルコンテンツ系ですか。

小寺 じゃあ階段としては、まずコミックがあって、それがそこそこ売れてヒット作になりましたと。そして、アニメ化っていう大きなステップが一個あって、そこからそこを踏み台をして、またもうひとつ広がっていく、という二段構え、三段構えになってるってイメージでいいですか。

古瀬 そうですね。おそらく他の漫画でも、アニメ化されたものとそうでないもので、商品化──我々はざっくり「商品化」って呼ぶんですけど、二次的著作物としておもちゃなどの商品化のされ方はまったく違うと思いますね。我々がすごくラッキーというか、まあ我々がそういう形にしてるんですけれども……ポイントは、アニメができてたくさんの人が見てくれたわけなんですけれども、それから先の商品化は我々、原作のほうからやってもらうんですよ。

要はアニメを作ってもらう時に、アニメからの再商品化というのを非常に限定的にする。で、「『コブラ』の商品化をやりたかったら原作サイドと契約してください」という形にすることによって、我々としてはわりと大きいビジネスにすることができる、ということですね。

小寺 なるほど。アニメから派生するんじゃなくて、その次の展開は一次側に返してもらう、というイメージですね。

古瀬 そうですね。

小寺 「アニメが伝播力が強い」というのは、やっぱりテレビだからですか。

古瀬 テレビですね。これまではそうですね。

小寺 これまで、ってことは、次は何だと思ってます?

古瀬 非常に典型的な例として、やっぱり最近ではニコ動が『コブラ』の若い人への伝播に非常に役に立っています。ニコ動で「コブラ」とか検索していただくと、『コブラ』自体もちょこちょこ使われてるというのもあるんですけれども、最近だと、『アイドルマスター』と『コブラ』をかけ合わせたMADが、すごい良くできてるんですよ。これで『コブラ』を初めて知った若い人たちがいて。実際、『コブラ』は有料配信とかがいっぱいされてるので、観たらすげえ面白かった、っつって、ニコニコ市場で(Blu-ray)BOXとか、けっこう売れてるんですよ。

小寺 へえ。そのMADというのは、当然グレーなところに入ってくと思うんですけど、そのあたりはどういう風に考えてるんですか。

古瀬 そうですね、我々からすると、我々って原作者サイドって話なんですけども、我々は積極的に黙認してます。

小寺 なるほど。

古瀬 で、こう言っちゃなんなんですけど、それを黒と言うのか白と言うのかは我々次第なんですよ。原著作者なので、「こいつダメだ」っていうような使われ方をするものに関しては「消して」って言うわけですよ。でも、「あ、こ
れは好意的に使われていて、より多くの人が我々の作品に触れる機会になってるな」と思えればそのまま黙ってればいい。みんな楽しんでくれるし、一次著作物にたどり着いて来てくれるので。

そこはなんかうまい共生ができるかなと思うんです。もちろん、積極的にそれをみんなにやってください、とは言いません。言いませんけど、我々としてはそういう状態です。

小寺 なるほどね。そういう意味では、今の日本の著作権法にある親告罪のゆるさ、みたいなのをうまく利用してるということですね。

古瀬 そうですね。

小寺 ということは、今著作権の非親告罪化を進めようとする動きもあるんですけど、そうなってくるとそういう緩い許諾が権利者側でコントロールできなくなっていく可能性がありますね。

古瀬 そうですね、ただ、わかんないですよ。非親告罪化というのが、実際の運用としてどうなるか、っていう問題もありますけれども、だったらこっちから使える素材としてみんなに公開すればいいじゃん、って話でもある。そういうコントロールの仕方もあるので、必ずしも僕自身は、非親告罪化が絶対的にダメか、悪か、とも思ってないですね。そこをもっと慎重に僕は考えたいなと思ってます。

小寺 なるほどなるほど。なったらなったでコントロールのしようはまだあると。ということは、非親告罪化云々は別としても、要するにコンテンツが幅広く人に知られるためには、人に利用されなければならない。ファンに積極的に二次利用や創作を促進していかないと難しいという考え方に現在はある、ということですかね。

古瀬 そうですね。そうなってきてますよね。というのは、テレビの力が相対的に弱まってきていて、それに代わるものってやっぱりネットです。しかも今だとソーシャルで、ってことになりますよね。となるとその中で、話題なりコンテンツなりが独自に、勝手に流通するような扱いにしていかないと、なかなか僕らとしては厳しいだろうな、と思いますね。

■「線」はどこにあるのか

小寺 その二次著作物がどのような態度で作られているか、っていう、非常に判断が難しい……権利者側からはあまりよく見えないところがあるわけじゃないですか。たとえばそれが、パロディなのかパクリなのか、あるいは二次創作なのか、みたいなのって、どう区別してるんですかね。

古瀬 あー……。それは非常に線引きは難しいですよね。我々の中で厳密な運用規定というか、そういうものを持って我々がいろんなものを見ているわけではないです。だから、ひとつひとつ見て判断していくしかない。しかも、全部見れてるわけじゃないと思うんですよ。そんなのずっと追っかけてるわけじゃないんで。

目立つものはいろんなところで教えてもらったり、非常にありがたいことに、ファンから「こんなところで『コブラ』使われちゃってますよ」みたいなことをよくいただくんですよ。それ見て判断したりとか。もう都度判断してる、ってのが現状ですね。

だから、どこからどこまでがどうだ、ってことはないです。で、ひとつ言えるとすれば、我々の──少なくとも我々ですよ、我々のビジネスに悪い影響があるものはダメだ、ってことですね。

小寺 なるほど。それは著作者人格権の問題?


コブラ | 創作系(女性向け/同人誌/同人) | 中古・新品通販の駿河屋

それとも、金銭的な面で見てる?作者にとって、そういう意図ではないものだというような使われ方なのか、ビジネス的にプラスなのかマイナスなのかの判断と、ふたつあると思うんですけど。

古瀬 それはですね……実はどちらかという話ではないと思ってるんですよ。両者は非常に近いところにあると思ってます。というのは、すべての作品がそうとは言いませんけども、少なくとも我々の、寺沢作品の場合はですね、お話ってけっこうシンプルなんですよ。それよりもキャラクターの魅力でバーンと立てて、それで押しちゃうようなところがあるので、これって実は非常に設計が難しいんですよ。舞台設定とか、人格とか、きちんと設計されてないとそうならないんですね。

だからそれが、そうじゃない形、つまり作者が意図してない形って、多分ダメなんですよ。面白くならないし、それはビジネスに繋がらないことのほうが多い。我々の中では、それは決して背反するようなことではなく、両方とも繋がってることですね。

小寺 ああ、お互いにとってプラスにならない。つまり、二次創作をする側にとっても「面白くない」と言われて損だし、一次側にとっても、それは売上とかビジネスの上でプラスになんないから、よろしくない。

古瀬 まあ、大枠ではそうです。たとえば今、ハリウッドでの映画化の話が進んでますけれども、やはり実写の映画にするためには、部分的に翻案したりとか、ストーリーの構造を変えたりとか、ということはせざるを得なかったりしますよね。尺に合わせたりとか、バジェットに合わせたり。

そういう翻案は、我々としては全然認められることなんですけども、やっぱりエッセンスみたいなものというのは、そこをきちんと踏まえないと、多分どんなにお金を突っ込んで、どんなに素晴らしい技術を使っても面白くない。似て非なるつまんないものになっちゃうだろうな、ってことにならないよう、そこは非常に気を付けてますね。




って話。それから、今それを作ろうとしたら、ビジネスモデルとしてどこが大変なの、って話を聞きたいですね。

古瀬 なるほどね。

小寺 まず、ちょっと現状を把握したい、ということで、まず古瀬さんの仕事をご紹介を。

古瀬 そうですね、そっから説明しないとなかなか難しいんですけど。簡単に言うと、まず会社を2つやっていて。1つは、今日来ていただいてる、アールテクニカという会社をやってます。簡単にいうと、こちらはソフトウェアの開発をやっている会社で、業務委託でいろんなものを作ったりとか、システム導入のコンサルティングをさせてもらったりとか。

寺沢武一作品のマネージメントを手がける株式会社エイガアルライツの取締役プロデューサー、古瀬学さん


ひとつテーマとしてもう十年以上やってるのは、ソフトウェアによる音楽とか、映像とか、その表現であったりとか、それを制作するとか。そういったところをコンピュータの力──僕らができるのはそこでソフトウェアを作るっていうことなんだけど、なんか面白いこと、いいことができないかな、ってこと。そういう製品を出したりもしてるし、メーカーさんだとか、放送局さんだとか、そういったところの開発に参加させてもらったり、っていう仕事をしてます。

で、こちらでは一昨年ぐらいからiOS用のアプリを出してて、一番最初に出した、っていうのが僕ら自身の期待値を大きく超えてよく売れているということもあって。

やっぱり新しい、非常に魅力的なデバイスなので、今まで僕らがやってきた──パソコン用のソフトをずっと作ってきたんですけれども、それをスマートデバイスに持ってくる、で、そこで商売していく、というのは、今、我々にとって非常に大きい収益の柱にもなってるし、僕らの活動の柱の大きいひとつにもなってる、という状況です。ただ、今それなりに評価いただいてるアプリを出してるとは言っても、一本何百円かを売り切りで売って……というと、正直に言ってそんなに儲かるもんでもないですね。

一方で最近だと、ソーシャルゲームのビジネスが非常に注目されてますけれども、ああいうモデルをこっちに持ってこれるかというと、我々が提供してるのはツールなんで、なかなか難しいよね、と。でも、あっちの芝生を見ると、もう凄い……我々が一年かかって得られるような収益を何日かで、とかって言われると、なかなかどんよりしちゃうんですけど。

小寺 あはは、どんより(笑)。

古瀬 どんよりするんだけど、まあ、でもね。あれをそのまま持ってくるわけにはいかないし、「ああいうビジネスがやりたいか」と言うとそうでもないし。

小寺 うん。ソーシャルモデルの話はもうちょっとあとで、ゆっくり聞きましょう。

古瀬 あと、もうひとつやってるのが、エイガアルライツという会社。こちらのほうは何をやってるかというと、『コブラ』で有名な漫画家の寺沢武一という人がいまして、「寺沢武一の作品の」マネージメントをやってます。本当は寺沢武一のマネージャーではないんだけれども、実際にはそういう仕事もかなりやってます。

「作品のマネージャー」ということはどういうことか、もう少し砕いて言うと、著作権管理、ライツマネージメントをやっています。ですので、たとえば『コブラ』のフィギュアを作りたいとかいうことがあったら、我々のところに話を持ってきていただいて、我々と条件を詰めていただいて、実際に作るとなったら我々が監修をして、最終的な製品までお付き合いすると。で、そこで得られたロイヤリティを我々のところで受け取って、そこから著作権者である寺沢武一さんにお返しする、という仕事をしています。

窓口業務っちゃ窓口業務なんですけれども、単純に「受け」だけではなくて、いろんなメーカーさんだとか、最近だと映像化とか、デジタルコンテンツ化とか、そういったところに扱っていただけるように、我々のほうから情報発信をしたり。あとは、より魅力的な作品であり続けるようなコントロールをしてる、っていうようなことですかね。

■「フィギュア」というビジネス

小寺 たとえばそのフィギュアって、一瞬のワンポーズを固定したものですけど、もともとのキャラクターデザインというのはコミックのためにあるデザインであって、フィギュアのような立体物を起こすようなデザインじゃない。そうなると、フィギュアってコミックから派生した二次著作物じゃないですか。そういうものも積極的に許諾をしていかないと、作品が広がらないね、ということはあります?

古瀬 それは特に昨今の話だけではなくて、そもそも漫画とか、ことアニメとかだったら、おもちゃで広げていく。そもそもテレビアニメの多くはおもちゃを売るために作られるようなものなので、そことの関連性というのは非常に大きいですね。

ただ漫画の場合は、とりあえず漫画をたくさん作って、その中からおもちゃになるようなものというのはごく一部なんです。非常に自由度の高いとこから始めて、その中からピックアップしていくような状態なので、一回漫画で作ったものを別の形でフィギュアとかにするっていうのは、そこにある意味、翻案とかが必要になってくるんです。それはそれで、我々原作者サイドとしても面白いことだな、とは思ってますけどね。

小寺 そういった二次的著作物というのは、ぶっちゃけ儲かるんですかね。ビジネス的に。

古瀬 我々からすると、二次著作物がないと、けっこうビジネスとしては厳しいんじゃないかな、と思うぐらいですよ。

小寺 二次的著作物って、それが売れることによって、最初の一次の著作物が売れていくというタームがあると思うんですけど、二次著作物そのものにがそれほど悪くない収益率になってると。

古瀬 そうですね。実際売れたもの、というか製造したものの何パーセントをもらいますよ、という契約なので、たくさん出していただければその分だけいただけますし。ただ、フィギュアとかって、市場も限られてるんで。フィギュアを1つ作ってもらったところで、そんなに大きい収益じゃないんですけど、1つ出るとやっぱり続けていくつか出たりとか。

もう落ち着きましたけど、5年ぐらい前まで食玩ブームがあったじゃないですか。あれはもう大量に出るので、我々としても非常に大きいビジネスですね。

小寺 へぇ。『コブラ』は食玩出したんですか?

古瀬 何社さんから出しましたね。やはりシリーズになるので、我々からすると魅力的です。




コブラの作者がポプテ作者・大川ぶくぶにキレる!「礼儀知らずな人

マジかよ!畜生!映画の上映期間中、コミケに向けて同人誌描いてる作家、皆こんな状態だぜ!?

ということである。同人作品はメジャー作品からのスピンアウトだが、そのメジャー作品が成立しづらくなっている現状を、同人作家やその周りでニッチコンテンツを支える人達は、直視していないのではないか。

今回から4回に渡って、有名作品の二次利用、すなわち権利を運用するとはどういうことかを伺っていく。

________________________
COBRAに見る著作権ビジネス、ホントのところ《第1回》
________________________

小寺 ええとですね、こないだひょんな飲み会から古瀬さんと知り合いになって、現代の著作権ビジネスの課題というか懸念みたいな話を古瀬さんから聞いてたわけですよ。

で、僕その時ちょっと早く帰らないといけなかったので話が途中になっちゃったんだけど、すごく重要な話だったんで、いつかその続きをやらないとな、と思っていたんです。今日はいよいよその話をと言うわけなんですが。

これね、読者の皆さんには前もってチャンと説明しとかないといけないんですけど、古瀬さんの話をぱっと聞くと、いわゆるおじいちゃんクリエイターが言っているようなこととあんまり変わらないように聞こえるんですよ。ただ実際にはそうじゃなくて、そこから実は一周回って次のフェーズに来てる。

古瀬 うん。

小寺 で、今日の流れとしては、まずその──現状の、コンテンツをクリエイトして売るっていうこと、そのモデルってだんだん変わってきてますよね、という現状がある。たとえばオタク向けマーケットが盛況だとは言うものの、ああいうごく一部に対して深くトガったコンテンツはごく少数が買い求めていくだけで、あとは狭いマーケットでトガり合戦をやるだけになってきていると。

これを把握した上で──これが古瀬さんのテーマだと思うんですけど、じゃあこれまでやってきた映画みたいな「大作」ってどんどん作るのが難しくなっていく現実が出てきて、そういうのって本当になくなっていいの?

コブラの作者がポプテ作者・大川ぶくぶにキレる!「礼儀知らずな人 ..

左腕に銃 《サイコガン》 を持つ不死身の男 “ コブラ ” の新たなる冒険の幕が上がる !

コブラ30周年を記念して始動した新作アニメプロジェクト 「COBRA THE ANIMATION」 が、
ついにTVアニメーションとなって登場 !

≪ストーリー≫
左腕にサイコガンを持つ不死身の男、コブラ。 姿を消してから数年。
世間では死んだとも噂されていたが、コブラは顔を変え、生きていた。

美しき相棒アーマロイド ・ レディと宇宙を駆けめぐる果てしない旅が始まる !

≪収録内容≫
第06話 「カゲロウ山登り」
第07話 「山頂へ」

≪キャスト≫
コブラ : 内田直哉
アーマロイド・レディ : 榊原良子
セバスチャン : 伊藤和晃
レオ : 沢木郁也
ジェロニモ : 佐々木誠二
リンダ : 五十嵐麗
デイジー : 雨蘭咲木子
バッキー : 姫野惠二
ジャック : 谷昌樹
フランク : 山口りゅう
ほか

<<ドラマ>> 選んだ道の向こう側 / なっつ (コブラ×ムラヤマ×コブラ) / hanare