マイコプラズマ ニューモニエという病原体(細菌とウイルスの中間の大きさと性質)が原因で気管支炎や肺炎などの呼吸器感染症を引き起こします。
マイコプラズマ肺炎の潜伏期間は2~3週間と長く、ゆっくりと進行します。潜伏期間を経た後、まずは微熱程度の発熱、倦怠感、頭痛、のどの痛みなど、かぜに似た症状が現れます。幼児では、初期に鼻水、鼻づまりが出ることもあります。ただし症状が軽いケースでは発熱がない場合もあるなど、これら全ての症状が出るとは限りません。
数日で初期症状が落ち着くのと入れ替わるようにして、3~5日ほど経ってから咳が出始めることが多いのが特徴です。たんの絡まない乾いた咳が徐々に強くなり、解熱後も長く続きます。特に夜中から明け方にかけて激しく咳込むことがあり、寝苦しく感じる時もあるでしょう。途中からだんだん湿った咳に変わっていく場合もあります。
マイコプラズマ肺炎の症状や検査、感染力について【大人の症状も】
マイコプラズマ肺炎の主な感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」です。感染力はそれほど強くなく、学校や地域で感染が拡大する速度は遅いのですが、長時間一緒に過ごす友人との間で感染したり、家庭内感染をしたりするなど、濃厚接触による感染が見られます。
●飛沫感染
発症者の唾や咳などに含まれた微生物を吸い込むことで感染します。
●接触感染
発症者の唾などの体液に触れたり、体液が付着したタオルやドアノブなどの物に触れたりして、その手で自分の口や鼻、目を触ることで感染します。
発熱や全身の倦怠感、頭痛、咳などの症状がみられます。咳は熱が下がった後も長期にわたって(3~4週間)続くのが特徴です。感染した人の多くは気管支炎で済み、軽い症状が続きますが、一部の人は肺炎となったり、重症化したりすることもあります。また、中耳炎、胸膜炎、心筋炎、髄膜炎などの合併症を併発する症例も報告されています。
インフルとマイコプラズマ肺炎の同時流行に注意 自覚しづらい症状も
マイコプラズマ肺炎の定点当たりの報告数、年齢階級別の報告数を見ることができます。
なお、マイコプラズマ肺炎の初期症状を、かぜと見分けるのは難しいものです。しかし、咳が1週間以上続くようなら、迷わず受診して医師に相談しましょう。一部の人は重症化することもありますし、マイコプラズマ肺炎を起こすと、その後の肺機能が低下することもあるため、長引く咳は放っておかずに治療を受けることが大切です。
この記事では、マイコプラズマ肺炎の症状、診断方法、治療、予防対策を説明しています。症状の進行が緩やかで、咳や発熱などが特徴です。
マイコプラズマ肺炎の原因は、「肺炎マイコプラズマ」という微生物です。この微生物はウイルスと細菌の中間のような性格をもっており、生物学的には細菌に分類されています。
発症の原因は、この微生物が強い毒素を出すからというわけではなく、私たちの体に備わった免疫システムが肺炎マイコプラズマを排除しようとして、咳などの防御反応(免疫応答)を生じさせることで起こります。そのため、免疫システムがまだ整っていない乳児が発症に至ることは少なく、免疫応答が強くなっていく幼児期、学童期、青年期を中心に、比較的若くて健康な人(免疫力が高い人)の発症が多く見られる肺炎です。
肺炎マイコプラズマが気管支に感染するのが「マイコプラズマ気管支炎」、肺胞(はいほう:気管支の先端にある小さな袋で、酸素と二酸化炭素を交換する役割をもつ)に感染して起きるのが「マイコプラズマ肺炎」と呼ばれ、マイコプラズマ肺炎のほうが重症といえます。
潜伏期は通常2~3週間で、初発症状は発熱、全身倦怠、頭痛などである。咳は初発症状出現後3~5日から始まることが多く、当初は乾性の咳であるが、経過に従い咳は徐々に強くなり、解熱後も長く続く(3~4週間)。特に年長児や青年では、後期には湿性の咳となることが多い。鼻炎症状は本疾患では典型的ではないが、幼児ではより頻繁に見られる。嗄声、耳痛、咽頭痛、消化器症状、そして胸痛は約25%で見られ、また、皮疹は報告により差があるが6~17%である。喘息様気管支炎を呈することは比較的多く、急性期には40%で喘鳴が認められ、また、3年後に肺機能を評価したところ、対照に比して有意に低下していたという報告もある。昔から「異型肺炎」として、肺炎にしては元気で一般状態も悪くないことが特徴であるとされてきたが、重症肺炎となることもあり、胸水貯留は珍しいものではない。
他に合併症としては、中耳炎、無菌性髄膜炎、脳炎、肝炎、膵炎、溶血性貧血、心筋炎、関節炎、ギラン・バレー症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群など多彩なものが含まれる。
理学的所見では聴診上乾性ラ音が多い。まれに、胸部レ線上異常陰影があっても聴診上異常を認めない症例があり、胸部レ線検査が欠かせない。胸部レ線所見ではびまん性のスリガラス様間質性陰影が特徴とされてきたが、実際には多いものではなく、むしろウイルス性、真菌性、クラミジア性のものに多いと報告されている。マイコプラズマ肺炎確定例では、大葉性肺炎像、肺胞性陰影、間質性陰影、これらの混在など、多様なパターンをとることが知られている。血液検査所見では白血球数は正常もしくは増加し、赤沈は亢進、CRP は中等度以上の陽性を示し、AST 、ALT の上昇を一過性にみとめることも多い。寒冷凝集反応は本疾患のほとんどで陽性に出るが、特異的なものではない。しかしながら、これが高ければマイコプラズマによる可能性が高いとされる。
マイコプラズマ肺炎の原因や症状、治療法について解説。マイコプラズマニューモニエという細菌が、気管や気管支から感染して起こる肺炎です。
◆広島県のマイコプラズマ肺炎の最新情報は、以下のリンクからご確認ください。
確定診断には、患者の咽頭拭い液、喀痰よりマイコプラズマを分離することであるが、適切な培地と経験があれば難しいことではない。しかしながら早くても1 週間程度かかるため、通常の診断としては有用ではない。近年迅速診断としてPCR 法が開発されており、臨床的に有用性が高いが、実施可能な施設は限られている。
臨床の現場では血清診断でなされることが多い。補体結合反応(CF)、間接赤血球凝集反応(IHA)にて、ペア血清で4倍以上の上昇を確認する。単一血清で診断するには、それぞれ64倍以上、320倍以上の抗体価が必要である。近年、粒子凝集法(PA )、蛍光抗体法(IF)あるいは酵素抗体法(ELISA)によるIgM、IgG抗体の検出も可能となっている。
マイコプラズマ肺炎など約20種類の感染症のデータと情報をお伝えします。新型コロナウイルスとインフルエンザや手足口病やヘルパンギーナなど。
病原体は肺炎マイコプラズマ( )であるが、これは自己増殖可能な最小の微生物で、生物学的には細菌に分類される。他の細菌と異なり細胞壁を持たないので、多形態性を示し、ペニシリン、セフェムなどの細胞壁合成阻害の抗菌薬には感受性がない。専用のマイコプラズマ培地上にて増殖可能であるが、日数がかかり(2~4 週間)、操作もやや煩雑で、雑菌増殖による検査不能例も発生する。肺炎マイコプラズマは熱に弱く、界面活性剤によっても失活する。
感染様式は感染患者からの飛沫感染と接触感染によるが、濃厚接触が必要と考えられており、地域での感染拡大の速度は遅い。感染の拡大は通常閉鎖集団などではみられるが、学校などでの短時間での暴露による感染拡大の可能性は高くなく、友人間での濃厚接触によるものが重要とされている。病原体は侵入後、粘膜表面の細胞外で増殖を開始し、上気道、あるいは気管、気管支、細気管支、肺胞などの下気道の粘膜上皮を破壊する。特に気管支、細気管支の繊毛上皮の破壊が顕著で、粘膜の剥離、潰瘍を形成する。気道粘液への病原体の排出は初発症状発現前2~8日でみられるとされ、臨床症状発現時にピークとなり、高いレベルが約1 週間続いたあと、4~6週間以上排出が続く。
感染により特異抗体が産生されるが、生涯続くものではなく徐々に減衰していくが、その期間は様々であり、再感染もよく見られる。
マイコプラズマ感染症(マイコプラズマ肺炎)急増にあたり、その対策について ..
マイコプラズマ感染症は、マイコプラズマという細菌による感染症で、様々な症状をきたします。現在、流行しているマイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)と呼ばれる菌による呼吸器感染症で、一般的な肺炎と異なり、学童期から成人にみられ、高齢者には少ない感染症です。ほとんどが軽症で、自然に治ることもありますが、ごく稀に重症化することがあります。
以前は、4年に一度のオリンピック開催年に定期的に流行していたため「オリンピック肺炎」と呼ばれていたこともありますが、最近はその傾向はなくなりました。2020 年に新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まってから今年になるまで、大きな流行は確認されていませんでしたが、現在の流行は最後に流行した2016年の流行を超える流行となっています。
マイコプラズマ肺炎藤沢市の小児科・アレルギー科 湘南台あかちゃんこどもクリニック ..
千葉大学医学部卒業。医学博士。千葉大学医学部臨床教授。公認心理師。千葉大学医学部関連病院勤務を経て、1998年千葉大学医学研究院小児病態学教官。2005年外房こどもクリニック開業(千葉県いすみ市)を経て、08年医療法人社団嗣業の会理事長、23年より「図書室のなかのクリニック」をコンセプトにした、こどもとおとなのクリニック パウルームを東京都港区に開業。日本小児科学会専門医・指導医。日本感染症学会専門医・指導医・評議員。日本遠隔医療学会理事。著書に『駆け抜けた17年』(幻冬舎)、『プライマリケアで診る小児感染症 7講』(中外医学社)、共著『最新感染症ガイド R-Book 2018-2021』(日本小児医事出版社)ほか多数。
今回は最近流行しているマイコプラズマ感染症についてお話させていただきます。 目次
マイコプラズマ肺炎にかかると、中耳炎を合併することがあります。中耳炎はかぜでも起こりますが、中耳炎に加えて咳が長引いている場合は、マイコプラズマ肺炎が疑われます。
また、まれにではありますが、無菌性髄膜炎、脳炎、肝炎、膵炎、溶血性貧血、心筋炎、関節炎、ギラン・バレー症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群など、重篤な合併症を引き起こすこともあります。
新型コロナウイルス感染症※, 報告数, 43, 流行なし, 43, 765, 警報レベル:14 ..
千葉大学医学部卒業。医学博士。千葉大学医学部臨床教授。公認心理師。千葉大学医学部関連病院勤務を経て、1998年千葉大学医学研究院小児病態学教官。2005年外房こどもクリニック開業(千葉県いすみ市)を経て、08年医療法人社団嗣業の会理事長、23年より「図書室のなかのクリニック」をコンセプトにした、こどもとおとなのクリニック パウルームを東京都港区に開業。日本小児科学会専門医・指導医。日本感染症学会専門医・指導医・評議員。日本遠隔医療学会理事。著書に『駆け抜けた17年』(幻冬舎)、『プライマリケアで診る小児感染症 7講』(中外医学社)、共著『最新感染症ガイド R-Book 2018-2021』(日本小児医事出版社)ほか多数。
マイコプラズマ肺炎 (まいこぷらすまはいえん)とは | 済生会
マイコプラズマ感染症は、マイコプラズマという細菌による感染症で、様々な症状をきたします。現在、流行しているマイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)と呼ばれる菌による呼吸器感染症で、一般的な肺炎と異なり、学童期から成人にみられ、高齢者には少ない感染症です。ほとんどが軽症で、自然に治ることもありますが、ごく稀に重症化することがあります。
以前は、4年に一度のオリンピック開催年に定期的に流行していたため「オリンピック肺炎」と呼ばれていたこともありますが、最近はその傾向はなくなりました。2020年に新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まってから今年になるまで、大きな流行は確認されていませんでしたが、現在の流行は最後に流行した2016年の流行を超える流行となっています。
【歩く肺炎】マイコプラズマって、いったいどんな病気? | 医師ブログ
栃木県内においては、2021年3月以降、マイコプラズマ肺炎の報告がほとんどない状況が続いていましたが、2024年夏頃から継続して報告が見られるようになり、第38週に大幅に増加しました。全国的にも、報告数が過去5年間の同時期と比較してかなり多い状況で推移しています。
群馬県内の最新の動向 2025年第1週(12月30日~1月5日)
マイコプラズマ肺炎の検査には、胸部聴診、血液検査、レントゲン、遺伝子・抗原検査、核酸検出法などが用いられます(病院の方針や設備によって異なります)。現在では、マイコプラズマ肺炎の迅速な確定診断法として、咽頭あるいは鼻咽頭ぬぐい液を使った遺伝子・抗原検査や、核酸検出法が用いられることが多くなっています。
新型コロナウイルス感染症、マイコプラズマ肺炎の報告が続いています。 これらの ..
旧感染症発生動向調査では「異型肺炎」の発生動向調査が行われていたが、これにはマイコプラズマ肺炎以外にも、クラミジア肺炎やウイルス性肺炎などの疾患が含まれていた。1999年4月施行の感染症法により、マイコプラズマ肺炎として疾患特異的な発生動向調査を行う目的から、病原体診断を含んだ発生動向調査が行われることになった。
本疾患は通常通年性にみられ、普遍的な疾患であると考えられている。欧米において行われた罹患率調査のデータからは、報告によって差はあるものの、一般に年間で感受性人口の5~10%が罹患すると報告されている。本邦での感染症発生動向調査からは、晩秋から早春にかけて報告数が多くなり、罹患年齢は幼児期、学童期、青年期が中心である。病原体分離例でみると7~8歳にピークがある。本邦では従来4 年周期でオリンピックのある年に流行を繰り返してきたが、近年この傾向は崩れつつあり、1984 年と1988年に大きな流行があって以降は大きな全国流行はない。
マイコプラズマ感染症の多くは、いわゆる風邪と見分けのつかない症状で、約1週間程度の経過で治癒します。
マイコプラズマ肺炎では、発熱、倦怠感、頭痛、咽頭痛などの症状がではじめて、数日後に、咳嗽(せき)が出てきます。せきは、痰を伴うことが少ない乾いたせき(乾性咳嗽とよびます)が特徴で、解熱した後も長く持続することがあり、「長引く頑固なせき」と表現されます。ただし、これらの症状だけからマイコプラズマ感染症を診断することは困難です。呼吸器症状以外にも、稀ではありますが、中耳炎、皮疹、心筋炎、ギランバレー症候群(神経の炎症で手足が動きにくくなるなどの症状があります)など肺以外の病気を合併することもあります。
マイコプラズマ肺炎は子供から大人にうつるのか?
以前には、定型的な細菌性肺炎と違って重症感が少なく、胸部レ線像も異なる故に「異型肺炎」に分類されてきた肺炎群があり、その後、マイコプラズマ肺炎は「異型肺炎」の多くを占めるものであることが解った。近年「異型肺炎」の病名は使われなくなる傾向にある。