男児に多い検査…排泄性尿路造影にてcobra head sign ..
尿管瘤の統計は数編の報告をみるが,IVP所見,合併率の高い尿路結石など重要な問題の検討を欠くごとく,必ずしも十分な内容とはなしえない。
瘤,14% が過去の尿失禁手術,4% が尿道狭窄,3% が子宮脱によるものであった6 ..
尿管瘤は尿管下端が膀胱内で囊状に拡張した疾患である。500人に1人の頻度で,男女比は1:4~7,両側例が10%ある。膀胱内に限局し主に単一尿管にみられる単純性尿管瘤と,瘤の下縁が膀胱頸部や尿道に及び,ほとんど重複腎盂尿管に発生する異所性尿管瘤に分類される。
わが国の尿管瘤症例は1975年6月現在252例をかぞえる。年間10例前後の症例報告があり,稀な疾患とはいえない。
Head-to-head placebo-controlled trial
尿路感染による発熱のほか,閉塞により水腎水尿管状態になると腹痛や腹部膨隆を呈する。さらに瘤部分が尿道内に嵌頓すると,排尿困難や尿線途絶が認められる。女児は瘤が尿道口から脱出する場合がある。
超音波検査で膀胱内の後壁に囊胞状の腫瘤が認められる(図1)。排泄性腎盂造影(intravenous pyelography:IVP)では瘤の部分がコブラの頭のようにみえる所見(cobra head sign)を呈する(図2)。排尿時膀胱尿道造影(voiding cystourethrography:VCUG)では瘤の尿道内への伸展の有無を確認する。同側姉妹尿管に50%の膀胱尿管逆流(vesicoureteral reflux:VUR),対側尿管に25%のVURが発生する。腎シンチグラフィーは所属腎機能の相対的評価に役立つ。
(PDF) [Ureteroceles in adult women: report of two cases]
73歳,男性。主訴は無症候性肉眼的血尿。排泄性尿路造影にて左尿管下端部に拡張像が認められ,膀胱鏡検査にて左尿管口部に非乳頭状・浮腫状の腫瘤が認められた。尿管瘤表面を生検したところ,移行上皮癌,gradeⅢと判明したため,膀胱移行上皮癌を合併した左尿管瘤と診断し,経尿道的に尿管瘤および膀胱腫瘍切除を施行した。
尿管の下端が瘤状に膨らんだ状態で、尿の通過障害のため水腎水尿管となります。しばしば膀胱尿管逆流を伴います。尿路感染の頻度が高く、乳児では重症尿路感染も少なくありません。尿管瘤が尿道に落ちこんで排尿困難になったり、女児では膀胱頚部の発育が悪く難治性尿失禁になったりすることもあります。完全重複腎盂尿管の上腎所属尿管瘤は圧倒的に女児・異所性尿管瘤が多く、多くは手術が必要です。単一尿管の尿管瘤は男児・膀胱内のものが多く、小さな尿管瘤は小児期には無症状のことが多いですが、将尿管瘤内に結石を生じるリスクをもちます。尿管瘤下端が膀胱内にとどまるものを膀胱内尿管瘤、尿管瘤下端が膀胱頚部を越えて尿道へ伸びるものを異所性尿管瘤といいます。
Excretory pyelogram showing right hydroureter and cobra head ..
女児では尿道口から尿管瘤が脱出することがあります。また女児の異所性尿管では下腹部を圧迫すると外陰部の開口部や膣から尿流出を認めることがあります。
超音波検査では、尿管瘤・異所性尿管のいずれも多くの症例で水腎水尿管を認めます。膀胱内に風船状の瘤を認めれば尿管瘤と診断できます。
排尿時膀胱尿道造影では、尿管瘤は造影当初に陰影欠損として認められます。女児膣開口尿管では、膣造影で約80%に膣からの逆流を認めます。核医学のDMSA検査は所属腎機能の評価に必要です。MRIを用いたMRウログラフィーや造影CTは必須ではありませんが、尿路全体像がよくわかります。膀胱鏡は、尿管瘤や異所性尿管の開口を直接みることができますが、全身麻酔を必要とするので手術直前に行うのが一般的です。
静脈性腎盂造影、排泄時膀胱造影等のX線写真にて、尿管瘤を示す所見。