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表.歯科、口腔手技および処置に対する抗菌薬による予防法[文献1]
[PDF] 歯周病患者における抗菌薬適正使用のガイドライン 2020
<海外のガイドライン>
アメリカ心臓協会(AHA:American Heart Association)[文献 2]、欧州心臓病学会(ECS:European Society of Cardiology)[文献3]のガイドラインでは、歯科処置時の抗菌薬予防投与の対象症例を人工弁置換術後、感染性心内膜炎の既往例、先天性心疾患(未修復のチアノーゼ性先天性心疾患、術後 6 カ月以内)などに限定している。
抗菌剤はいろいろあり選択に迷うところです。いろいろな薬品をはば広く使うより、数種類の薬剤の知識を深くしてパターン化したほうが臨床的に有効と思います。ここではジスロマック、フロモックス、クラビットを主として考察してみました。サワシリン(アモキシシリン)は術前投与としか使用しません。セフゾンもフロモックスが使えないときに使用します。
ダラシンとアモキシシリンでは、どちらが副作用の重さや、下痢や ..
抗菌薬はかなり週類がありどれを使うか迷うところです。歯性感染症の第一選択はセフェム系、歯周組織炎での第一選択は移行率を考慮してマクロライド系、骨髄炎など薬剤の移行が十分で無い時はニューキノロン系が良いとされています。
抗菌薬は、細菌の増殖を抑えたり死滅させたりする力があります。歯科ではペニシリン系、セフェム系、マクロライド系、キノロン系、テトラサイクリン系などが処方されることが多いです。
サワシリン(アモキシシリン)は術前投与としか使用しません。セフゾンも ..
1929年にフレミングが青カビから発見したペニシリンは1940年代にベンジルペニシリンとして患者さんに使われました。歯科ではアモキシシリン水和物(商品名:サワシリン錠 250mg他)バカンピシリン塩酸塩(商品名:ペングッド)などが処方されることが多いです。ペニシリンは禁忌及び薬剤の相互作用は少ない薬剤です。
このコーナーでは、薬剤耐性(AMR)対策のさまざまな事例をご紹介しています。第23回で取り上げるのは、東京医科歯科大学病院歯科外来における、薬剤師主導のASP(抗菌薬適正使用支援プログラム)活動についてです。同院薬剤部の沖畠里恵氏は、歯科外来で処方される経口抗菌薬の適正使用に向け、歯科医師に対するフィードバックを行ってきました。活動を始めた経緯や具体的な取り組み、またその成果について、お話を伺いました。
いて、クリンダマイシン注射剤は歯科口腔外科領域において標準的療法として推奨されてい
東京医科歯科大学病院薬剤部薬剤主任
1986年星薬科大学衛生薬学科卒業、1987年東京大学医学部附属病院薬剤部、2003年保険薬局管理薬剤師、2004年東京医科歯科大学病院(旧歯学部附属病院)薬剤部に入局し、2012年より現職。
歯科の場合、抜歯や歯科の外科的処置後の感染予防を目的に、経口抗菌薬を外来で使うことが多いです。主な起炎菌は口腔連鎖球菌や嫌気性菌ですが、これらは常在菌で、普通の抜歯程度で感染症を起こすことはありません。ただ、口の中に傷をつける訳ですし、口腔内には腸内細菌も含め多くの常在菌が存在します。「何かあったら困る」というので、「広めのスペクトラムで使いやすい経口抗菌薬を、予防で入れよう」という傾向があります。
[PDF] 術後感染予防抗菌薬適正使用のための実践ガイドライン
治療でなく予防で使うことが多いというのは、歯科特有だと思います。歯科全体の抗菌薬使用量は医科に比べれば少なく(図1)、また予防目的なので投与期間も通常は3日前後です。ただ本当に予防が必要な人以外にも、慣習的に処方している部分があるのではないかと考えられます。予防が主なので、起炎菌を調べたりアンチバイオグラムを作成したりといったことはほとんどされません。「予防で使う」は歯科の特徴であり問題でもある、といえるでしょう。
歯科 …………………………………………………………………………………………………………………………52
図1 全国の医科・歯科における抗菌薬(経口+注射)使用量の推移(2015~2020年)
・アンピシリン(ビクシリン)、アモキシリン(サワシリン)は、酸性で効果を発現するので、制酸剤と併用すると効果が減弱する。 ..
インスリンの作用不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝性疾患群のこと。日本での糖尿病有病者(糖尿病が強く疑われる人)の割合は、男性で19.7%、女性で10.8%である。1型糖尿病は主に自己免疫機序による膵β細胞の破壊によりインスリンが絶対的に欠乏して発症する。一方、2型糖尿病は、自覚症状がないまま徐々に病態が進行し、血糖値やHbA1cの異常が指摘されて初めて診断に至るケースが多い。
糖尿病の合併症として①糖尿病性腎症(人工透析が必要)、②糖尿病性網膜症(失明原因の第1位)、③糖尿病性神経障害(歯科では、麻酔や抜歯後に神経麻痺が起こることがある)、④心筋梗塞、⑤脳梗塞があげられる。
なお、クリンダマイシンでは連鎖球菌や⻩⾊ブドウ球菌などの好気性菌のカバーも可能であ
(1)糖尿病患者は易感染性なので、外科処置を行う際には術前に局所の除石処置、消炎処置を行うこと。また、術前2時間前に通常投与量のアモキシシリン(サワシリン等)を投与してもよい。
(2)歯科開業医で外科処置を避けた方が良いケースとしては、①1型糖尿病患者に対する比較的大きな侵襲の観血的処置、②糖尿病治療の中断もしくは治療がなされていない場合、③HbA1cの値が7.0%台なら注意が必要、8.0%台は避けた方が良い。
(3)ニューキノロン抗菌剤(クラビット等)やNSIDs(非ステロイド性消炎鎮痛剤、ロキソプロフェン等)と糖尿病薬のスルホニル尿素薬(アマニール等)を併用すると作用が増強し、低血糖をきたす事がある。
(4)低血糖症の対処法。意識がある場合は砂糖を10gまたはブドウ糖を含むジュース150~200mlを与えるとよい。しかし、歯科開業医で低血糖の判断は難しい。このため、診察時に食事を摂ったかどうかを確認しておくことが大切である。
(5)エピネフリン含有の歯科用カートリッジ麻酔薬の使用について。エピネフリンのβ2作用により肝臓ではグリコーゲンが分解し、嫌気的解糖が進む。その結果、血糖値が上昇するので、糖尿病患者への使用は原則禁忌とされている。しかし、エピネフリンを含まない麻酔薬は効き目が弱い場合が多く、患者は不安や痛みによって体の中でエピネフリン(内因性カテコルアミン)を産生する。この内因性カテコルアミンの量は麻酔薬に含まれているエピネフリンの量の数百倍にあたり、これによって血圧が一気に上昇し脳血管障害を引き起こす危険性がある。エピネフリンを含んだ麻酔薬を糖尿病患者に使用する際には、愛護的にゆっくりと時間をかけて麻酔薬を注入し、薬剤の効果が十分現れるまで5~6分待ってから外科処置を行うのが望ましい。
[PDF] 医薬品の適応外使用に係る保険診療上の取扱いについて
愛知学院大学歯学部附属病院では、抜歯後術後感染予防の抗菌剤投与は①サワシリン(アモキシシリン・合成ペニシリン製剤)、②ケフラール(セファクロル・セファム系抗生物質)、③ダラシン(クリンダマイシン・リンコマイシン系抗菌剤)の3剤から選択している。服用後の血中濃度や耐性菌の観点から第三世代セフェム系抗生物質(フロモックス、バナン、メイアクト等)は、術後の感染予防としては投与していない。
このため、平成16年7月に「審査情報提供検討委員会」、平成23年6月に「審査
最近は状況が変わってきましたが、それでも第3世代セフェム系抗菌薬は多く使われています。ただし、日本感染症学会・日本化学療法学会の「感染症治療ガイド」(以下、ガイドライン)では、以前から歯性感染症に対する抗菌薬としてペニシリン系を第一選択薬に推奨しています。スペクトラムの広い経口第3世代セフェム系は、推奨されていません。
ワイドシリン細粒、サワシリン錠、パセトシン錠、アモキシシリンカプセル、.
2001年6月に日本で発売を開始し900万件以上処方されています。歯科口腔外科領域で約100万件以上処方されています。アナフィラキシ様症状は全体で25件 歯科領域では2件です。かなり少ない数字と思います。
・アモキシシリン(AMPC:サワシリン)1 回 250mg を 1 日 3~4 回。 ☆ペニシリンアレルギーがある場合は
歯性感染症に関するガイドラインは、「JAID/JSC 感染症治療ガイド 2014」(2014 年改訂) に初めて掲載されましが、実際にはガイドラインよりも、「指導医や先輩医師に教わって、それを忠実に守っている」というパターンが多かったようです。予防が主なので、どの抗菌薬を使うかあまりこだわりはなく、慣習的・経験的に処方している部分が大きいのではないかと考えられます。
[PDF] ダラシンカプセル75mg ダラシンカプセル150mg
ここからは、東京医科歯科大学病院の歯科外来におけるASP(抗菌薬適正使用プログラム)の取り組みについて伺います。病院としてはかなり大きいご施設ですね。
・過去にダラシンカプセルに含まれる成分やリンコマイシン系抗生物質に対し過 ..
一日一回2錠を3日間飲んで1週間薬が効いています。マクロライドの薬ですので代謝酵素のチトクロームP-4503A4(CPY3A4)の阻害作用があるはずですが、15員環のジスロマックの場合14員環クラリスなどに比べてその作用はかなり弱くp450による代謝は確認されていません。白血球などに取り込まれて炎症箇所の長くとどまるので、1週間効果があります。
通常は、アモキシリン(サワシリン)のような抗生剤が選択されますが、より広い ..
はい、歯科だけで29の診療科を有し、1つの病院ぐらいの規模があります。経口抗菌薬の採用品目も多く、以前は様々な種類の抗菌薬が次々と処方されてきて、「きちんと使い分けされているのかな」と感じていました。
ペニシリンにアレルギーがある場合は、クリンダマイシン(ダラシン)が奨められる.
フィリピンの土壌から1952年に発見され、ペニシリン、セフェム系とは異なった化学構造で、抗炎症作用、免疫調節作用など抗菌力以外の作用もあるため、慢性閉塞性肺疾患などにも使用されています。歯科ではクラリスロマイシン(商品名:クラリス他)アジスロマイシン(商品名:ジスロマック他)が処方されることが多いです。マクロライド系は、安全性は高いですが、クラリスロマイシンは肝臓のチトクロームで代謝されるため、同じ部位で代謝される薬剤は併用注意となるために、併用注意薬があります。薬局などでご確認ください。重篤なものは併用禁忌となっています。