特発性間質性肺炎, 急性増悪, メチルプレドニゾロン, ステロイ ドパルス療法 ..
COVID-19後の広範な肺の器質化、線維化には、COVID-19肺炎をきっかけにした重症器質化肺炎からびまん性肺胞傷害(DAD)による器質化・線維化まで広いスペクトラムの病態が含まれており、さらにCOVID-19の遷延~後遺症(long/post-COVID-19)の要素も加わり、患者毎に病態を考えながら治療を構築する必要があると言えます。過去の報告でも器質化肺炎は予後良好といったもの(Wang Y, et al. Organizing pneumonia of COVID-19: time-dependent evolution and outcome in CT findings. PloS One 2020;15:e0240347.)や、重症器質化肺炎になる例がある(István Vadász, et al. Severe organising pneumonia following COVID-19. Thorax 2021;76(2):201-204.)、剖検したらDADだった、などと一病態のみを報告した断片的なものであり、全体像をあらわした報告はみあたりません。さらに基礎疾患として間質性肺炎を合併しており間質性肺炎急性増悪の要素が加わったと思われる症例もあります。
間質性肺炎又は肺線維症の既往歴又は合併症がある患者(間質性肺炎等の ..
この過程で本質問でいう広範な肺の器質化、線維化が制御できず酸素化が再増悪する症例は、ステロイド再増量(mPSL 40mg 一日2回くらいまでの増量でしのげる症例が多い一方で、重症例や治療抵抗する場合にはステロイドパルス療法をこのタイミングで入れることもいといません)で回復する症例が多い印象があります。しかし、ステロイド増量にあまり反応せず広範囲な器質化・線維化を残して含気が減少したまま病状が固定化する症例も一定数存在します。前者はおそらく重症器質化肺炎でステロイドによく反応する病態が主だったと推定できます。一方で後者は約3~4週で器質化・線維化が固定化して慢性呼吸不全を残し、DADの終末像としての器質化期・線維化期をみている可能性が推定されます。これらの症例では、KL-6が上昇している症例が多い印象で、ステロイドへの反応は必ずしも良好ではないので1か月前後で一旦は深追いしないでステロイドを終了しています。
しかし、質問後半のCOVID-19罹患後数ヶ月経過しても肺の器質化、線維化が強い患者に対して、新たにステロイドを開始する意義はあるでしょうか、ということに対しては、そのタイミングでもステロイド治療によく反応して在宅酸素を中止できた症例も経験されており、その時期でのステロイド導入を完全に否定するものではありません。このような晩期器質化にステロイドが奏功する症例はフェリチンが高い傾向がありそうだ、との意見がありましたのでご参照いただければ幸いです。