デュタステリドが絶対に安全だとは医師としては言い切ることはできません。
女性版AGAに「FAGA(びまん性脱毛症)」が挙げられます。びまん性脱毛症は、髪の毛を育てる役割がある女性ホルモン「エストロゲン」の減少が原因となります。びまん性脱毛症は髪の毛が細くなり、髪の毛全体的なボリュームがなくなる薄毛症状です。主成分が「ケラチン」や「アミノ酸」のパントガールは、妊活中に副作しても重大な胎児危険には陥らないという見解が一般的なようです。しかし、では安全のため、妊活中・妊娠中の女性にはパントガールを使用した治療は行わない場合が多いです。
私個人のお話ですと、私はデュタステリドを内服しながら妊活を行いました。
前の2回では、健常者を対象とした研究を紹介してきましたが、今回の論文は男性不妊症を対象としたものです。フィナステリド中止により劇的に精子数が上昇しています。この研究では乏精子症での改善が主に報告されていますが、精子数が15x106/mLと基準値内の症例でも精子数が3倍以上に増加していました。泌尿器科医師で生殖医療に関わっているものでは、この研究でのフィナステリドや、あるいはもっと強力な5α-還元酵素阻害薬であるデュタステリドを内服しているかどうかを常に確認し、内服していた場合は中止をお願いすることが一般的になっています。今回の研究は海外の検討ですが、我が国からの症例報告もあります(Chiba K et al., Fertil Steril 2011)。この症例は5年前に不妊治療専門のクリニックで乏精子症を指摘されていましたが、不妊治療はしていませんでした。1年前からAGA治療薬としてフィナステリド1日1mgを内服していましたが、再び乏精子症を指摘され、初めて男性不妊症外来を受診しました。その時点ではほとんど精子を認めず、無精子症に近い状態でしたが、フィナステリド中止後16週で精子数10x106/mLを超えるまでに改善しました。つまり、顕微授精が必要な状況から、人工授精が可能なレベルまで改善したということになります。適切な対応であったと思われます。
AGAは男性としては深刻な問題で、フィナステリドやデュタステリドを内服している方は高いお金をはらって治療しています。やめることをお勧めしてもなかなかご理解を得られない場合もありますが、子作りをする場合は、この薬剤のメリット(髪の毛が増える、前立腺癌予防)とデメリット(精子数が減る、持続的な男性機能障害がおきる、薬剤費がかかる、体外受精や顕微授精などより奥様の負担となる治療が必要になるといったリスクがある)をよく考えていただく必要があります。また、男性パートナーの方も早めに泌尿器科の専門医を受診して、検査や必要な治療、アドバイスをうけることが重要です。
3回にわたって5α-還元酵素阻害薬であるフィナステリドとデュタステリドと不妊症について、解説いたしました。若い健常者で精液所見が問題ない男性であれば、これらの薬剤の影響はあまり考えなくてもよいですが、若くても子供を作りたい場合や精液所見が悪い方は内服を避けた方がよいと考えられます。一方で、妊娠や生児獲得までのデータはありません。結局明確な結論はでませんが、男性不妊の場合には、原因は複数あることが多いので、できることはなんでもしていただくことが元気な赤ちゃんを授かることにつながります。ご参考になれば幸いです。
髪の毛は成長期、退行期、休止期というヘアサイクルをくり返すことで生えたり抜けたりしています。髪の毛が太く長く伸びていく成長期は通常なら4~6年ほどありますが、AGAを発症している方ではわずか数ヶ月ほどしかありません。ミノキシジルは、この短くなった成長期を元に戻すことで発毛を促します。
デュタステリドやフィナステリドの副作用に性的欲求の減少やEDがあるのです。
アメリカ合衆国FDA(米国食品医薬品局)は、薬剤が胎児に及ぼす影響をA,B,C,D,Xの5段階で分類していました。AGA治療薬が胎児に及ぼす影響はどれくらいなのでしょうか? ※現在この分類は廃止され薬品ごと文書で記述する形式になりました※
妊娠を成功させるには、排卵に合わせて夫婦生活を持つ必要があります。いわゆる「タイミング法」と呼ばれるもので、男性は女性の排卵日に合わせてコンディションを整えることが大切です。
このような場合はデュタステリドでのAGA治療は適さないでしょう。
ミノキシジルは男女ともに薄毛治療に使用されるお薬です。日本ではミノキシジル外用薬が知られています。使用方法は主に外用で、直接頭皮に塗布します。市販で買える外用薬(発毛剤)としては「リアップ」や「ロゲイン」が有名です。ミノキシジルは血行促進効果があり、毛根へ安定的に栄養素を届けることができます。ミノキシジルは胎児危険度では中間のCという評価でした。パントガール同様に重大な胎児への健康被害を招く可能性は比較的少ないといえるでしょう。しかし、胎児奇形が起きる可能性はゼロではありませんので、妊活中・妊娠中の女性はミノキシジルの使用を控えたほうが安全でしょう。
亀田メディカルセンターでは男性不妊外来を開設しております。
泌尿器科専門医・指導医、生殖医療専門医の小宮顕部長が担当します。
当院のもご参照ください。
ミノキシジルを上手く使うと妊活中でも毛量を増やすことができます。
フィナステリドとデュタステリドは、AGAを進行させるジヒドロテストステロン(DHT)が作られるのを阻害する薬です。ジヒドロテストステロンを作るのに必要な酵素である5αリダクターゼ(5α還元酵素)の働きを抑えてAGAの進行を食い止めます。
亀田メディカルセンターでは男性不妊外来を開設しております。
泌尿器科専門医・指導医、生殖医療専門医の小宮顕部長が担当します。
当院のもご参照ください。
妊活中・妊娠中にAGA治療はできる?胎児への危険性について解説
上記①と②の通り反復投与時の精液中の最高濃度はに対してですから胎児の生殖器の発達に影響を及ぼす割合はデュタステリドの方が高いと思われるかもしれませんが、そもそも成分が違うので比較対象にはなりません。両剤ともに可能性は低いというだけで0(ゼロ)ではないので心配なようでしたら子作りの時には服用を中止する方が良いかと思います。
服用を止めるのであればデュタステリドの場合、反復投与時の消失半減期は3.4±1.2週間もあることから最低でも子作りをする1ヶ月以上前から服用するのを止めておいた方が良いでしょう。完全に血中濃度をゼロにする、つまり精液への移行を完全にゼロにするのであれば6ヶ月前から服用を止める必要があります。
フィナステリドに関しては服用を止めて1ヶ月経過すれば血中濃度はゼロになります。
今後、子作りを予定していて、尚且つAGA治療薬の胎児に対する影響を心配されている方はお薬を選ぶ際に、このような情報も判断材料にしていただければと思います。
デュタステリドとフィナステリド、選ぶならどっち? 効果と副作用
AGA(男性型脱毛症)の治療を検討する中で、このような疑問や悩みを抱く方もいるのではないでしょうか。
本記事では、ミノキシジルが妊活中に与える影響やミノキシジル以外のAGA治療薬と妊活との関連性などを詳しく解説します。妊活中でも安全にミノキシジルを使用したいと考えている方は、参考にしてください。
なお、そもそもミノキシジルがどんな薬なのかについては、に詳しく記載しているため、そちらもあわせてご覧ください。
妊活中にザガーロは使える?AGA治療と妊活を両立する方法はある?
このような薬剤を男性が飲み続けながら妊活をしてもよいのでしょうか。
▽記事の内容をまとめた動画はこちら▽
妊活中なのですが、妻にせかされるとダメなんです…」 そう言って、当院に相談される患者様が最近増えています。妊.
現在、男性が妊活中にミノキシジルを使用しても、男性不妊の原因となる性機能の低下などの副作用は確認されていません。また、妊活中の男性がミノキシジルを使用しても、精子を作る機能への影響はなく、胎児に奇形が起こる「催奇形性」のリスクは低いといわれています。
これは、ミノキシジルが他のAGA治療薬と違い、男性ホルモンに作用するタイプの医薬品ではないためです。
日本皮膚科学会が公開しているでも、AGA治療に対してミノキシジル外用を強く勧めています。
デュタステリドの副作用は?服用できない人やリスクについて解説!
ミノキシジルは、女性も使用が可能な治療薬です。ただし、妊娠中や授乳期の使用については安全性が確認されていないため、現在妊活中で近いうちに妊娠の可能性がある場合には使用をやめましょう。妊娠初期には、母体から胎児へ何らかの影響を与える可能性があります。
また、出産後であっても、授乳期にミノキシジルを使用すると、成分が母乳へ移行することがわかっています。母乳を通して乳児がミノキシジルを摂取してしまう恐れがあるため、内服薬・外用薬ともに使用を控えてください。
AGA治療の基本のお薬。しかし、こんな噂をよく聞きませんか?「妊活中 ..
どちらのお薬にしても胎児に影響があるかどうかを臨床試験にて人間を対象に検証することはできないため5α還元酵素のアミノ酸配列及び生化学的特性がヒトと類似しているアカゲザル、厚労省もガイドラインにて指定しているげっ歯類のラット、非げっ歯類のウサギ等の動物を対象として生殖発生毒性試験といって「精子や卵子が形成され、受精し、胚が形成されるまでの時期」「胚が子宮内に着床してから、胎児の器官や組織が形成されるまでの時期」「雌動物が妊娠し、分娩、授乳を経て、子供が離乳するまでの時期」のそれぞれに被験物質を投与して母胎、胎児に影響がないかを調べて無毒性量(有害な影響が認められなかった最高の暴露量)を算出しています。
この臨床試験にてデュタステリドは精液を介して
フィナステリドは精液を介して
つまり、動物での試験ではありますが、となっています。ちなみにフィナステリド(プロペシア)も発売が開始されて15年近く、デュタステリド(ザガーロ)は4年以上経過していますが服用中に子作りをして男性胎児又は母胎に影響があったという報告はゼロです。
私個人のお話ですと、私はデュタステリドを内服しながら妊活を行いました。 ..
こんにちは。
先日投稿しました、「妊活中のAGA治療はNG?」がきっかけでご相談いただく方が増えましたので、妊活とAGAについてもう少しお話しようと思います。
その上精液に影響を及ぼさないので、子作り中でも問題なく使用可能です。 おんどり先生
論文の要旨:
この研究の目的は、フィナステリドの内服を中止した後に、精液所見がどの程度改善するかを検討することです。
不妊症の評価のために受診した男性の診療情報を集めているデータベースから、精液所見や性ホルモンの値を抽出し、フィナステリドの中止前後の変化を解析しました。対象は2008年から2012年の男性症例です。
結果は以下のようになっていました。データベースに登録された4400名の男性患者のうち、27名(0.4%)が男性不妊症の評価のための受診当初にフィナステリドを内服していました。内服期間は平均57.4ヶ月でした。また、内服用量は1日平均1.04mgでした。フィナステリド内服中止後、平均の観察期間6.45ヶ月の間に、平均11.6倍の精子数増加を認めていました。高度乏精子症(精子数
結論としては、フィナステリドは低用量であっても症例によっては精子数の減少をきたす原因となっている可能性がある、としています。このように男性不妊症とされるような方の場合は、フィナステリド中止によって多くの症例で、精子数が劇的に改善しました。ホルモン値や精子運動率、精子形態は有意な変化はありませんでした。精子数が低下している男性においては、フィナステリドは中止すべきであると同時に、挙児希望の男性の場合はフィナステリドの使用に注意が必要です。
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お子さんを望んで妊活をされているご夫婦のためのブログです。妊娠・タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などに関して、当院の成績と論文を参考に掲載しています。内容が難しい部分もありますが、どうぞご容赦ください。
AGA治療中の妊活はOK?AGA治療薬が妊活・妊娠中に与える影響
これらの副作用は発現率1%未満とごくまれです。しかし、仮に副作用でEDになると満足な性行為が行えない状態となります。また、精液量が減ってしまうことも妊活中は大きな不安材料となるでしょう。
フィナステリドは1か月、デュタステリドであれば6か月休薬する必要が。
プロペシアを服用することで男性の場合は「性欲減退」や「勃起機能不全」など、妊活に悪影響を及ぼす副作用が現れる可能性があります。女性の場合はプロペシアを体内に入れることで、胎児の生殖器の異常が起こる場合があります。特に男の子の生殖器に悪影響を及ぼす可能性が高いようです。プロペシアは皮膚からも体内に吸収される性質を持っています。女性はプロペシアに触れることも大変危険ですので注意しましょう。また、プロペシアは精液にも成分が含まれます。プロペシアの服用を1カ月ほど禁止して、体からプロペシアの成分を排出してから妊活を開始するようにしましょう。心配な方は産婦人科に相談することをおすすめします。
AGA治療が妊活に与える影響を解説|副作用で不妊になるのは本当?
なお、ミノキシジル外用薬は、妊娠中や授乳期でない場合でも注意点があります。それはミノキシジルの含有濃度です。
国内のガイドラインでは、女性にはミノキシジル濃度1%が推奨されています。これは、男性の場合使用できる5%だと濃度が高いため、副作用のリスクが上昇する可能性があるためです。
市販の外用薬にはミノキシジル1%の商品があるので、女性はこちらを選んでください。商品の選び方に不安がある場合は、薬剤師に相談するとよいでしょう。
また、その他にも心配な点がある場合は市販薬を購入するのではなく、クリニックの専門医に相談しながら治療を進めていくのが安全です。